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紙魚

Author:紙魚
近畿に生息中。
拙い文章ですが、お読み頂けましたら嬉しいです。


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*お知らせ*
長らくみなさまから頂戴した拍手コメント・メールへのお返事は、別ブログの”もんもんもん”にてさせて頂いていましたが、2016年4月より各記事のコメント欄でお返事させて頂くことにしました。今まで”もんもんもん”をご訪問くださり、ありがとうございました。く



    
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Category: 煩悩スクランブル (全4話)

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煩悩スクランブル 4
←(3)                                                 
   
 玄関ドアのすぐ内側でキスをした。

帰って灯りも点いていない暗い室内に、互いの唇を噛み合いながら舌を絡める濡れた音だけがしている。長いキスを終えて、スイッチに手を伸ばす。リビングとダイニングが一体になった室内に柔らかな明かりが点く。

 「お前、泣いてんの?」
 真理の頬が涙で濡れていた。眉根を寄せ、堪えるようにして流す涙は、赤ん坊を見ても小動物を見ても何の感情も起こらないオレにすら庇護欲を催させる。真理が小さく鼻を啜った。

 「今朝はゴメン。ハルがライブに来てくれて本当に嬉しかった」
 「うん・・・背中、大丈夫か?」
 「平気」

 見かけによらず、抱き応えのある真理の身体が腕の中に納まる。

 「今日、ハルに言われた事ずっと考えてた」
 「・・・・」、えーと、何だっけ?
 「ハルに嫌われちゃったんなら、本当に出家しちゃってもいいかなって」 
 ハァァァ?
 「真理?ちょっと、待てよ!」

 これは、ちゃんと顔見て話すべしと、肩をつかんで真理の顔を覗き込む。
オレ、ちゃんと真理に惚れてるって、気づいたのに。こんな急展開アリかよ?
真理は、泣き笑いの顔を向けてきた。

 「でもね、クラブでハルの顔を見たら、ぶっ飛んじゃったの。
 ハルと、離れるなんて出来ない。ハルが他の誰かのものになっちゃうなんて
 耐えられないもん・・・寺の子なのに、僕って人より煩悩の数が多いのかな?」

 涙をためた睫が切なげに揺れる。
オレは、もう一度その身体を今までになかった愛おしさを感じながら抱きしめた。

 ついさっきまで、クラブのフロアでライトを浴びマイク片手に身を躍らせていた真理は、カラコンを嵌めた瞳を挑発するように真直ぐ前に向けて、唇から魂を迸らせていた。
ビートに低く甘い声を絡め、聞くものを違う次元へと掻っ攫ってゆく真理を見て、オレは 真理ほど輝いている奴を見たことがないと思った。
ああ、オレって、ホントに惚れちゃってる?

 ライブの最後に”happy birthday”が合唱されて驚いた。
今日は真理の誕生日だった・・・らしい。知らなかった。
真理はオレに関する数字なら、出生時の目方まで知ってるというのに。

 かなわねえ。
その真理が、今、オレの目の前で、オレと離れたくないと泣き、涙に濡れた瞳を向けて訊いてくる。オレが本当に乱れたところを見たいのは、この顔かもしれない。

 「ハル、僕のこと嫌い?」  

  マイリマシタ・・。

 「・・・ス・・・・・・好き・・・・?」 なんだ、この疑問符。
 真理相手だとなんか素直になれねえのよ。ツマんねー年上のプライドってヤツ?

 「嬉しい!ね、ハル、ゴハンは?食べてないんでしょ。今から一緒に食べよ?」
 腕を引かれた。テーブルに手付かずの夕食が並ぶ。
ここで何で急に、ご飯なの?
やっぱ、お前ポイントがズレてねぇ?・・・へんてこで、可愛すぎるぞ。

 「真理、プレゼントなにがいい。ネットなら今からでも覘けるぞ?」
 「嬉しいな。でも”後で”もらうから、今はいいよ」

 普段は人一倍疑り深いオレなのに、なんでこの時、真理の言葉を深読みしなかったのか・・・
今朝のブツの箱に巻きついた赤いリボンの警告を、なぜ汲み取らなかったのか?

 零れ落ちるシャワーの湯の下で、またキスをする。
 「ハル、僕、覚悟を決めた。どうしても、ハルとひとつになりたいもん」
 「え?本当にいいのか?」 
 「うん、もう手段なんか選んでいられない。
 どうしてもハルとひとつになりたい。深く繋りたいんだ」

 頬を染めて、ウルウルと潤んだ、キラキラのオメメが祈りを捧げる天使の如くオレを見つめる。
あろう事か、オレは感動してしまった。
あれだけ、自分の『牡』に拘った真理がオレの為に自分の信条を曲げると言う。

 「先にロフトに上ってて。僕、もう少しだけ食器とか片付けて行くから」
バスローブを着た天使が、はにかんだ笑顔で言う。

 ベッドに大の字で倒れ込んだ。これから起る事を考えると頭がギンギンに冴えそうなものなのに、頭の中がボンヤリする。身体も少し熱い。階下の灯が消え階段を足音が上がってきた。
その時になって初めて異変に気が付いた。

 重い頭はそのままで、足元に立った真理を見上げる。
興奮に頬を染め、欲望に濡れる瞳でまっすぐにオレを見下ろすエロい天使の顔。
何でこいつの奸計に気付かなかったの?オレの、バカバカバカバカ・大バカ野郎ーーーっ!

 真理の羽織っただけのローブの前はストンと下まで開いていて、真ん中では天使のカンバセを裏切る立派なものがそそり立ってる。その右手にはピンクのスリコギが、左手にはチューブのついた太い注射器のようなものと例の赤いリボンが握られている。俯き加減で微笑み頬を染める表情は天使そのものだが、上目遣いの瞳には計算高い悪魔の笑みと、溢れんばかりの欲望がネットリとぐろを巻いている。

 「真理っ。テメェ・・・盛りやがったな?」
 「ハルったら、晩ごはん食べてなかったんだもん、
 お迎えは嬉しかったけど、内心はちょっと焦っちゃった」

 オメェの歌う姿に感動した、オレの気持ちはどうしてくれるってのよ?
そうか、お前は手段を選ばないって言ったんだっけな? こんチクショウッ!!

膝を立ててオレの身体跨った真理が、オレの首に赤いリボンを巻き、チョウチョ結びをする。

 「・・・・・・・」
 「18歳の決意・・・ふふ。”襲ってでも、ハルとひとつになる”覚悟をしたの。
 ハルさ、僕の誕生日知らなかったでしょう?」
 ごめんなさい。すみません。申し訳ござりませぬ。そこは謝る、素直に謝る。
 「だからね、ハルからのプレゼントは僕が勝手に決めさせてもらっちゃった」
 ちょっと待て。

 真理はオレの首に結んだリボンを、プレゼントのラッピングを開けるようにはらりと解いた。

 「こ・・・の、堕天使、ヤロウ・・・・・」
 「僕、仏教徒だもーん。いつもハルが言う通り、ちゃんと残さず、
 きれいに食べてあげる。じゃ、おテテとおテテを合わせて」 

 フザケルナぁぁーーーーッ!!実際は、もう口も動かない。
合掌した煩悩天使は極上の笑みで小首を傾げニッコリ笑った。

 いただきまぁす。


 ・・・FIN ・・・

<< 煩悩スクランブル 3 / 1>>

 最後までお読み頂きありがとうございました。

 圧縮が完了しましたので、更新!ポチッ\(≧▽≦)丿
速攻、フザケルナーーーーッ!!と声が飛んできそうです(汗
当初の予定はSSだったのに、いつの間にか短編に・・
圧縮中、ラストを2通り作ってみて・・・(純愛タイプ)と(チョッピリえろタイプ)
紙魚は当然のごとく後者を選択(キラキラ☆
みなさま、どうぞ、軽~く、読み流してくださいマセ。

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テーマ : BL小説    ジャンル : 小説・文学

Comments

こんにちわw
最後の「いただきまぁす。」がいいです。
気に入りました。

そして、ハルの「フザケルナーーッ!」(笑
私がハルの立場だったら連呼しますねw
きゃ~~~!!
(チョッピリえろタイプ)で、OKでございます!!
ナイスな選択!

その後を想像しちゃうような、真理の
「いただきまぁす」
うぉぉぉ・・・。
燃え尽きました・・・・。

ヘロヘロ顔がしばらく抜けそうにないです・・・。
恐るべし・・・紙魚さま・・・。
・・・・千澄さま・・・・

 こんばんわ~!
 寛容な千澄さまに、ザブトン一枚!!

 その、「フザケルナーーッ!」を繰り返しても
食べられちゃうのが、BLの真骨頂!(ウソデス!

 「おてての、シワとシワを合わせてシアワセ~」って
知ってます?関西だけかな~?



・・・・ミートン・メートンさま・・・・

 おばんで~す!
 寛容なミートン・メートンさまにも、ザブトン一枚!!

 [恐るべし・・・紙魚さま・・・。]
 自分でも、いろんな意味で、恐くなりました・・・(笑)

 でもどうせなら、もっと極めるべきだったかと(ナニヲ?(゜Д゜;)
少々、反省・・・サクッと、笑って流してくださいネ☆
 
やっと来られた..
辛かったですーこの2週間!!
やっとこちらにお邪魔することができて、早速気になってた天使ちゃんの続きを...アレッ?・・・・・Σ( ̄⊥ ̄lll)・・・・・
恥ずかしい!!恥ずかしいです私(泣)朝ごはんに反応し過ぎて、勝手に妄想しまくって..穴があったら入りたいとはまさにこういう事を言うのですね。ホントに私ったら..

さて、気を取り直して。
さすが、邪な天使はやることがエグイ(笑)でも、ホントにホントにハルのことが大好きな可愛らしい部分も垣間見えて、微笑ましいです♡
ハルは年上のプライドが邪魔してたみたいなので、一服盛られた方がそのせいに出来るし、良かったのかもしれないですね( ̄ー ̄)ニヤリッ

えろえろ妄想が激しくて、申し訳ありませんでしたm(_ _)m
とても楽しく読ませていただきました!!

>シマシマ猫さま、おかえりなさいませ~!!

 笑って、許してくださいましーーーーーっ!

 お疲れのシマシマ猫さまを癒して差し上げるはずのお話が
更に、疲れを倍増させてしまったかもや・・・・オロロ・・・

 ハルはバリタチ君なので、お子ちゃまに一服盛られて
キュンキュン言わされた日にゃプライド木っ端微塵かと・・・
アラ、ソコ、、書いて見たかったかもです(笑

 振返れば、色々と悔恨の残る一編になってしまいました(汗。。
おバカも、えろも、中ーーー途半端だったなと反省。。。

>とても楽しく読ませていただきました!!
   ↑  ↑  
   ひたすら、この言葉に、救われまする~~(号泣~っ

 笑って、許して~♪ハッ!(←ワダアキコフウデ・・・シツレイシマシタ・・・ペコペコペコ
あはははは面白かったです!!
きゃ~~~~紙魚さまコメディもいける方だったんですね!
可笑しい…ハルったら…真理がうわてでしたね。
こんな可愛らしいのにバックポジションとるのに一服盛るとは。
ぷくくく…。
楽しませていただきました!
男っぽい奴がひょんなことであ~れ~な展開になっちゃうのとか
バリタチがひっくり返されるのとか大好きです(まったくもう…
ハルこれからもツンツンしつつ結局は、のパターンで愛を深めれば
いいと思います。
きっと研究熱心だと思うし真理。
りりさま、いらっしゃいませ!!
  いや、もう、その、、、あのあの、え~~~と、イヤン!?
もう、これはコメディというよりギャグかも・・・です。

 これは、今連載してるのの次に・・・と思ってたのから
短編にしたんですけど、翠滴1の終盤が重くてしんどくて
突発的に手を出してしまい、詰めも甘くて、メチャ後悔~~~
たった、4Pなのにラストを2つ書く羽目に・・ハァ=3、、ラスト恐るべし・・

 りりさまに面白方と言ってもらえて報われた~~(感涙
サイトから下ろさなくてよかったっすヽ(´∀`)

>きっと研究熱心だと思うし真理。
 ↑ぬぬ、さすが、りりさまスルドイ・・本編に手をつける日が来た暁にゃ
 この辺、ネチネチ書いてやろうと・・・・(笑

*コメありがとうございました~♪*

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