11 ,2008
翠滴 1-10 宵闇の舞 2 (34)
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□R指定要素の表現があります。苦手な方はスルーで!□
部屋を出て周を探しはじめた。
「サクラ、サクラって、頭が痛くなる。それに、設定くらい最初に教えとけよなっ」
部屋にはいなかった周を探しながら、小さな声でブツブツ不満を口にする。
"サクラ"は周が享一を連想して命名した名前だが、女性名のこの名で呼ばれるのは、
どうもピンと来ないし、はいそうですか、と早々馴染めるものではない。
薄暗い渡り廊下で周らしいシルエットを見付けた。
「アマ…」と呼びかけて口を噤む。誰かと話をしている様子で、よくは分からないが険悪ムードのようだ。お互いの声を潜めた会話ははっきり聞こえてこないが、声音の硬さからも周の怒気を含んだ雰囲気が此所まで伝わってくる。少し歩くと壁で隠れていた相手が見え、背の高いその男は、さっきぶつかりかけた男だと認識できた。
何をするつもりか、周は片手を肩の高さまで挙げ構えている。その動きがぴたりと止まった。周より少し高い位置にある男の顔を見上げ一呼吸置いた後、恐る恐るといった感じでこちらに顔を向けた。周の目が享一の姿を捕えると愕然と見開かれる。挙げた手を握り締めそのまま下におろすと、享一のもとへと凄い勢いでやって来て享一は驚いた。足音からでさえ機嫌の悪さが伝わってくる程だ。ここまで、憤った周を見るのは初めてだ。
「サクラ、コンタクトを忘れてましたよ」
口調だけは丁寧に早口で言い、享一の掌にコンタクトのケースを落とすと、背中に腕をまわされて連行されるように引っ張って行かれる。そのまま、花隈の待つ離れ行くのかと思いきや、廊下に面した薄暗い納戸の中に押し込められて、いきなり余裕のないキスで唇を貪られた。
「享一、綺麗だ」
「周…あの…ちょ、んっ」
化粧が取れる…という言葉は周の舌に吸い取られ、早急に襦袢の合わせを割り、下肢に這わせてくる手に慌てた。
「時間が…!」
享一の声が耳に入らないかのように、身を返され壁に縋らされて、裾をたくしあげられた。下着をつけていない尻が露になり、間に割込んだ周の足で左右に大きく開かれる。
足袋だけを着けた下半身が恥ずかしくて抗議の声を荒げる。
「周っ、こんなのはイヤだ!」
「静かに。納戸の戸は薄いですよ。汚したく無かったら、しっかり咥えていなさい」
「時間が…ないん…だ、って……ぐうっ」
納戸の前の廊下を忙しそうに人が行き交う足音が響いて身を竦ませた。吐息にくすぐられながら耳許に命令口調で囁かれると、突然、襦袢の裾を口に突っ込まれ抗議も非難も封じ込められた。強い力で背中から抱きすくめられ、背後から項に這わせた唇が、ガラリと声音をを変え、喉の奥で笑いながら声を低く潜め耳元で囁く。
「フフ…ねぇ、もう手遅れなんでしょう、享一君? ここは、ちゃんと硬くなって僕を
欲しがっているみたいですけど?ああ・・・僕の手が濡れています・・・享一?」
「うぐっ・・・ぐ」
周は、時々セックスの時に礼儀正しい言葉をわざと使い、享一を煽り追い詰める。
意地が悪い。喉の奥で発せられた愉悦の響きを含んだ嗤い声と、耳朶を掠める優しく揶揄うような言葉が 淫らなシチュエーションに羞恥と欲情を煽り躯が震える。
優しい口調とは裏腹の、乱暴に中心を握った周の長い指が、吐精を促そうと荒々しく扱き、呆気なく周の掌中に果てた。
感じ切った瞳から涙が零れ。口に含まれた襦袢の裾が唾液で湿り気を帯びていく。
額と両手を壁につき、なんとか態勢を保ち、苦しい呼吸を堪える。。
周の指が享一の様子を伺うように緩慢な動きで双丘の間を割り入ってきて、淫猥な
濡れ音をたてながら襞の辺りを円を描くように焦らしながら愛撫する。
セックスの意味を知り、愛される快感を覚えた躯にブルッと震えが走り、再び血液が集中する。
「ここも僕を欲しがり、悶え狂うようになるまで調教するつもりでしたが、残念ながら、
もう時間が足りないようです」
享一を嬲ろうと囁かれた言葉だが、ポツと呟いたその声に微妙なニュアンスと感情が絡むのを感じて、確かめようと身を捩った瞬間、総ての思考を奪い攫われた。今のは、どういう意味なのか・・・と思考を留めようとするが定まらず、頭の中が快感に狂いはじめ 猛る熱に貫かれくぐもった声を上げながら自らも再び放っていた。
離れに戻ると控の間で鳴海と2人で 周と享一を待っていた花隈は、2人を見た瞬間、瞠目して声を荒げた。
「周っ!アンタっ…」
周が素っ気無い態度で言葉を遮る。
「薫さん、サクラをお願いします。僕の支度は自分で出来ますから。鳴海」
呼ばれた鳴海は、何も言わず周の後について隣室に入り、襖を閉めた。
「花隈さん、すみません」
花隈は大袈裟に溜息を吐いて苦笑した。
「あんた達、そういう激しいのは、式が跳ねてから愛のシトネで時間を掛けて
ネッチョリとやるもんでしょうが。まあ、周は若いから、
サクラちゃん見て理性がブっ飛んだのも分るけどねぇ」
花隈は仕方ないな、とばかりに再び苦笑する。
眩暈のしそうな事を言われて、享一は俯いたまま赤面した。
□R指定要素の表現があります。苦手な方はスルーで!□
部屋を出て周を探しはじめた。
「サクラ、サクラって、頭が痛くなる。それに、設定くらい最初に教えとけよなっ」
部屋にはいなかった周を探しながら、小さな声でブツブツ不満を口にする。
"サクラ"は周が享一を連想して命名した名前だが、女性名のこの名で呼ばれるのは、
どうもピンと来ないし、はいそうですか、と早々馴染めるものではない。
薄暗い渡り廊下で周らしいシルエットを見付けた。
「アマ…」と呼びかけて口を噤む。誰かと話をしている様子で、よくは分からないが険悪ムードのようだ。お互いの声を潜めた会話ははっきり聞こえてこないが、声音の硬さからも周の怒気を含んだ雰囲気が此所まで伝わってくる。少し歩くと壁で隠れていた相手が見え、背の高いその男は、さっきぶつかりかけた男だと認識できた。
何をするつもりか、周は片手を肩の高さまで挙げ構えている。その動きがぴたりと止まった。周より少し高い位置にある男の顔を見上げ一呼吸置いた後、恐る恐るといった感じでこちらに顔を向けた。周の目が享一の姿を捕えると愕然と見開かれる。挙げた手を握り締めそのまま下におろすと、享一のもとへと凄い勢いでやって来て享一は驚いた。足音からでさえ機嫌の悪さが伝わってくる程だ。ここまで、憤った周を見るのは初めてだ。
「サクラ、コンタクトを忘れてましたよ」
口調だけは丁寧に早口で言い、享一の掌にコンタクトのケースを落とすと、背中に腕をまわされて連行されるように引っ張って行かれる。そのまま、花隈の待つ離れ行くのかと思いきや、廊下に面した薄暗い納戸の中に押し込められて、いきなり余裕のないキスで唇を貪られた。
「享一、綺麗だ」
「周…あの…ちょ、んっ」
化粧が取れる…という言葉は周の舌に吸い取られ、早急に襦袢の合わせを割り、下肢に這わせてくる手に慌てた。
「時間が…!」
享一の声が耳に入らないかのように、身を返され壁に縋らされて、裾をたくしあげられた。下着をつけていない尻が露になり、間に割込んだ周の足で左右に大きく開かれる。
足袋だけを着けた下半身が恥ずかしくて抗議の声を荒げる。
「周っ、こんなのはイヤだ!」
「静かに。納戸の戸は薄いですよ。汚したく無かったら、しっかり咥えていなさい」
「時間が…ないん…だ、って……ぐうっ」
納戸の前の廊下を忙しそうに人が行き交う足音が響いて身を竦ませた。吐息にくすぐられながら耳許に命令口調で囁かれると、突然、襦袢の裾を口に突っ込まれ抗議も非難も封じ込められた。強い力で背中から抱きすくめられ、背後から項に這わせた唇が、ガラリと声音をを変え、喉の奥で笑いながら声を低く潜め耳元で囁く。
「フフ…ねぇ、もう手遅れなんでしょう、享一君? ここは、ちゃんと硬くなって僕を
欲しがっているみたいですけど?ああ・・・僕の手が濡れています・・・享一?」
「うぐっ・・・ぐ」
周は、時々セックスの時に礼儀正しい言葉をわざと使い、享一を煽り追い詰める。
意地が悪い。喉の奥で発せられた愉悦の響きを含んだ嗤い声と、耳朶を掠める優しく揶揄うような言葉が 淫らなシチュエーションに羞恥と欲情を煽り躯が震える。
優しい口調とは裏腹の、乱暴に中心を握った周の長い指が、吐精を促そうと荒々しく扱き、呆気なく周の掌中に果てた。
感じ切った瞳から涙が零れ。口に含まれた襦袢の裾が唾液で湿り気を帯びていく。
額と両手を壁につき、なんとか態勢を保ち、苦しい呼吸を堪える。。
周の指が享一の様子を伺うように緩慢な動きで双丘の間を割り入ってきて、淫猥な
濡れ音をたてながら襞の辺りを円を描くように焦らしながら愛撫する。
セックスの意味を知り、愛される快感を覚えた躯にブルッと震えが走り、再び血液が集中する。
「ここも僕を欲しがり、悶え狂うようになるまで調教するつもりでしたが、残念ながら、
もう時間が足りないようです」
享一を嬲ろうと囁かれた言葉だが、ポツと呟いたその声に微妙なニュアンスと感情が絡むのを感じて、確かめようと身を捩った瞬間、総ての思考を奪い攫われた。今のは、どういう意味なのか・・・と思考を留めようとするが定まらず、頭の中が快感に狂いはじめ 猛る熱に貫かれくぐもった声を上げながら自らも再び放っていた。
離れに戻ると控の間で鳴海と2人で 周と享一を待っていた花隈は、2人を見た瞬間、瞠目して声を荒げた。
「周っ!アンタっ…」
周が素っ気無い態度で言葉を遮る。
「薫さん、サクラをお願いします。僕の支度は自分で出来ますから。鳴海」
呼ばれた鳴海は、何も言わず周の後について隣室に入り、襖を閉めた。
「花隈さん、すみません」
花隈は大袈裟に溜息を吐いて苦笑した。
「あんた達、そういう激しいのは、式が跳ねてから愛のシトネで時間を掛けて
ネッチョリとやるもんでしょうが。まあ、周は若いから、
サクラちゃん見て理性がブっ飛んだのも分るけどねぇ」
花隈は仕方ないな、とばかりに再び苦笑する。
眩暈のしそうな事を言われて、享一は俯いたまま赤面した。
しかしこんな設定もこの家ならではというか。
こんなところが、この話の雰囲気を、ただのBLにはない特殊なものにしています。