12 ,2011
ユニバース 3
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迅を睨む目つきが鋭く尖った。
「迅は、ルドガーがローズ・フィーバーの宿主だと知っていたんだよな?知ってて、仮にも自分の息子である俺や、部下のジタンを須弥山に潜り込ませたんだよな。最低だろ」
迅はひっきり無く各所からの報告が送られてくるタブレットをシートに置いた。
足を組み替え、口の端を上げると悠然とノアに向き直った。
「お前をあの森で見つけた日、5km離れた地点で一台のエアフライが墜落した。大破したエアフライには誰もおらず、遺体も無かったが、遺留品から子供が乗っていたことはすぐにわかった。製造番号から割り出したエアフライのオーナーは、ロボット工学の第一人者、真乃遠海(とうみ)だった」
ノアはシートに投げ出した足を立てて、聞き漏らすまいと姿勢を変えた。
後ろ手に縛られた腕が痺れて痛い。
「医師でもあった真乃はルドガー・ヴィンセントの主治医だ。一向に行方のわからない博士と、孫の主治医。そして、記憶をなくした子供。お前があの時、自分の名前をノアではなく真乃桐羽だと言っていたら、お前はまちがいなく、政府の監視下に置かれていただろうな」
「迅は俺を監視する為に、手元に置いたのか?」
迅は黙って、灰色の瞳をノアに向けた。
「由緒のあるヴィンセント一族に時々、凶悪なウイルスをもつ人間が生まれるという話は、ごく一部の上層部でのみ囁かれる公然の秘密だった。社主の資格のあるルドガーが発見されて、最初に会ったのは俺だ。俺は、自分で確認できないことは信じない主義なのは、お前も知ってるな」
ノアの全神経が迅の声に集中する。そんなノアの姿を、迅は醒めた目で視界に納めた。
迅はダイブこそ出来ないが、読心能力には長けていた。その力を、利用し上手く生かして、若年ながら今の地位に上り詰めた男だ。
「奴の言語能力は5歳児以下で、頭の中はまったく読めなかった」
はっと、夢から醒めたように目を開いたノアに、迅は皮肉な笑いで唇を歪ませた。
「精神など存在しないかのように、何も感じなかった。そこで俺はある仮説を立てた。精神を"持てない"男のな」
何も感じない。精神が存在しない。そうだ、機械に精神など宿るはずがない。
肌を重ね、想いを沿わせ、触れる感情はノアへの深い愛に満ちていた。胸が空洞になる。
ノアが感じていたのは、アンドロイドにリンクした、ルドガーの感情だったのだ。
亡くなった真乃の息子の名前を貰ったアンドロイド。
真乃は、最初から消去されることを承知でTOI-零に自律回路を組み込み、自分の息子の名前をつけたのだろうか?
目を閉じれば、屈託のない笑顔が鮮明に蘇る。
失ったと思った時の悲しみと衝撃は、頬を雨に打たせ瞳を閉じる顔と一緒に、空洞になった胸を雨水で一杯にしてゆく。
「トーイ」と、本当の名前で呼ばれることのなかった男は、生まれてきて幸せだったろうか。
防弾ガラスの嵌った窓の外を、先端に鐘楼を戴くクラシカルな高層ビルが遠ざかってゆく。
ビルを護るように、遠方の空を睨むガーゴイルの上に立っていたルドガーは、ノアを探しに来たTOI‐零だった。
黄昏の中、焦がれる青い視線の先にいた自分。
好き、大好き。と、甘く繰り返す声が耳の奥に張り付いて離れない。
ノアは蘇った声と記憶を閉じ込めるように窓の外に顔を向けたまま目を閉じた。
不意に腕が軽くなって、拘束具から解放された。
痺れた手首にそっと触れると、迅の手は躊躇うように離れていった。
向かいのシートに戻った迅は、マイク付きのイヤホンをつけ外に目をやった。
摩天楼は、ローズ・フィーバーのパンデミックで外出が規制され、眠ったように静まり返っている。リニアモーターレイルも止まり、行きかうエアフライも政府や軍関係のマシンばかりだ。
いつしか、リムジンと後続のエアフライを警護するように台数を何倍にも膨らませた迅たちの一行だけが、閑散としたビルの谷間一杯に広がり、物々しい隊列を組んで滑空していた。
「ジタンを先に派遣したのは、もしもの時のことを考えての予防線だった。みすみす、お前を感染させる気はなかったからな」
窓に向けていた顔を迅に向けると、視線がぶつかった。
「ワクチンが見つかるまで、お前には付き合ってもらうつもりだがな」
盗聴器が仕掛けられたのは迅の部屋だ。
ノア自身がウイルスに対する免疫を持つことをルドガーから聞いたのは、ジタンのメッセージを自分に宛がわれた部屋で再生していたときだった。
迅はノアが抗体を持っていることを知らない。
「ジン・・・・」
迅が方耳のイヤホンを押し込みながら、口を開きかけたノアを手で制した。
険しく眉を吊り上げた迅は黙って報告を聞いていたが、やがて硬い声で指示を出した。
「たった一体しかないプロトモデル(原型)だ、くれぐれも慎重に扱え。電気系統へのダメージは、それ以上与えるな」
言いながら、迅の目がノアの後ろに流れるのを、ノアは見逃さなかった。
後続の黒いエアフライにはルドガーが乗せられている。ルドガーを乗せたエアフライの中で、なにかトラブルが起こっているのは間違いない。
圧倒的な強さと、人知を超えた美しくも強靭なボディ。
高圧電流を流されたルドガーの躰は、薔薇の庭であっけなくも崩れ落ちた。関節のない人形のように地面に落ちた躰は、そのまま立ち上がることも無く、大勢の男達の手によって大型のエアフライへと運び込まれた。
「迅、ルドガーをどうする気だ?」
「知りたいか」 と、怜悧な目を向ける迅に、ノアは硬い表情で肯いた。
「政府は新しい兵器を欲しがっている」
話し始めた迅の貌は、企業に使われる男のマスクを脱ぎ、冷淡な軍人の貌になっていた。
「資源がつきかけた今、大型の大がかりな兵器で都市と人間を同時に破壊する時代は終わった。いま新世界の政府が望むのは、対立国の中枢に入り込み、内側から蝕んで無力化するウイルスのような兵器と、本物のウイルスだ」
ルドガーの祖父、ヴィンセントによるワクチン開発は、政府からの多大な資金援助と、アスクレピオス製薬がより巨大な企業になるための様々な恩恵をもたらした。
だが、機密漏えいをを恐れた政府はヴィンセントを家族ごと須弥山に監禁した。特に幼い宿主であるルドガーの存在は世間から隠蔽された。
ヴィンセントの妻、マチルダは息子ですら敬遠する孫のルドガーを深くいつくしみ可愛がっていた。が、ある日ドアにぶつけて転んだルドガーにすっかり動転してしまい、鼻血にうっかり触れてしまった。
ローズ・フィーバーに感染したマチルダは、もう何も恐れはしなかった。
ルドガーが泣けばその胸に抱き、涙に濡れる頬にキスをした。ずっとそうしたかったのだ。
3年後に発症したマチルダは、「あの子を責めては駄目よ」と幸せそうな微笑を浮かべ息を引き取った。その半年後に、ヴィンセントは5歳になった孫を連れて姿を消した。
「政府は真乃が造った高性能ロボットを手に入れ、俺はワクチンを手に入れる。この二つを手にしたものがこの世界を掌握する」
ルドガーは兵器でもロボットでもない。そう言いかけた脳裏に赤く光る双眸が蘇り、ノアは出かかった言葉を飲み込んだ。
「ルドガーをバラせば、研究所の位置はわからなくなるぞ」
「そんなものは集積回路を取り出せば簡単に割り出せる。生身の人間を相手にするよりよっぽど楽で、正確だ」
ルドガーが分解されるところを想像し、胸が悪くなった。
ノアの頭の中で分解されるルドガーから出てくるのは、血と肉と骨ばかりだった。
「それに、言ったはずだ。ルドガーのエアフライがアスクレピオスのビルに衝突しかけた日以来、不審な電波を捕まえていると」
「まさか、あの事故・・・・」
「ルドガー・ヴィンセントが本物かどうか、試させてもらった。いくら軽量化が進んだバイクタイプとはいえ、落下中の2000kg近いマシンを生身の人間が操れるはずがないからな」
事も無げに話していた迅は、切羽詰ったノアの表情に眉を寄せる。
「複雑でも、所詮機械の集合体だ。バラしてプログラムさえ取り出せば後はどうとでもなる」
「迅・・・止めてくれ」
「なんだ、まさかあれに本気で情が移ったんじゃなかろうな。自分の身を挺してお前を守ったところで、奴にとっては単なるデモンストレーションだぞ。偽物ものの背中出来た傷に意味などない。現実の痛みも、精神的な苦痛も、まったくの無縁のキカイなんだからな」
愕然と見る迅の表情は、相変わらずの冷淡さでその感情は全く読めない。
衛星中継に高感度カメラ。政府の力をもってすれば、秘め事を包むそのベールは簡単に引き裂かれ、プライベートは公のものとなる。
ルドガーの背中の傷の話題に触れられて、迅がルドガーとノアの情交を細かく知っていることにノアは狼狽した。
気まずさにシートを移ろうと立ち上ったノアを迅の足が阻んだ。
感情のない灰色の目がノアを見上げてきた。
「なかなか、色気のある声だった」
かっ、と耳まで熱くなる。
「俺が誰と寝ようと、今まで気にもかけなかったくせ―――」
ドンという音と共に、リムジンが大きく揺れた。
迅もノアも、放射状に撓んだ天井を同時に見上げる。
「な・・・に?」
よろめいた体勢を立て直せないうちに次の衝撃がきて、ノアの目の前ににょきっと腕が生えた。
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迅を睨む目つきが鋭く尖った。
「迅は、ルドガーがローズ・フィーバーの宿主だと知っていたんだよな?知ってて、仮にも自分の息子である俺や、部下のジタンを須弥山に潜り込ませたんだよな。最低だろ」
迅はひっきり無く各所からの報告が送られてくるタブレットをシートに置いた。
足を組み替え、口の端を上げると悠然とノアに向き直った。
「お前をあの森で見つけた日、5km離れた地点で一台のエアフライが墜落した。大破したエアフライには誰もおらず、遺体も無かったが、遺留品から子供が乗っていたことはすぐにわかった。製造番号から割り出したエアフライのオーナーは、ロボット工学の第一人者、真乃遠海(とうみ)だった」
ノアはシートに投げ出した足を立てて、聞き漏らすまいと姿勢を変えた。
後ろ手に縛られた腕が痺れて痛い。
「医師でもあった真乃はルドガー・ヴィンセントの主治医だ。一向に行方のわからない博士と、孫の主治医。そして、記憶をなくした子供。お前があの時、自分の名前をノアではなく真乃桐羽だと言っていたら、お前はまちがいなく、政府の監視下に置かれていただろうな」
「迅は俺を監視する為に、手元に置いたのか?」
迅は黙って、灰色の瞳をノアに向けた。
「由緒のあるヴィンセント一族に時々、凶悪なウイルスをもつ人間が生まれるという話は、ごく一部の上層部でのみ囁かれる公然の秘密だった。社主の資格のあるルドガーが発見されて、最初に会ったのは俺だ。俺は、自分で確認できないことは信じない主義なのは、お前も知ってるな」
ノアの全神経が迅の声に集中する。そんなノアの姿を、迅は醒めた目で視界に納めた。
迅はダイブこそ出来ないが、読心能力には長けていた。その力を、利用し上手く生かして、若年ながら今の地位に上り詰めた男だ。
「奴の言語能力は5歳児以下で、頭の中はまったく読めなかった」
はっと、夢から醒めたように目を開いたノアに、迅は皮肉な笑いで唇を歪ませた。
「精神など存在しないかのように、何も感じなかった。そこで俺はある仮説を立てた。精神を"持てない"男のな」
何も感じない。精神が存在しない。そうだ、機械に精神など宿るはずがない。
肌を重ね、想いを沿わせ、触れる感情はノアへの深い愛に満ちていた。胸が空洞になる。
ノアが感じていたのは、アンドロイドにリンクした、ルドガーの感情だったのだ。
亡くなった真乃の息子の名前を貰ったアンドロイド。
真乃は、最初から消去されることを承知でTOI-零に自律回路を組み込み、自分の息子の名前をつけたのだろうか?
目を閉じれば、屈託のない笑顔が鮮明に蘇る。
失ったと思った時の悲しみと衝撃は、頬を雨に打たせ瞳を閉じる顔と一緒に、空洞になった胸を雨水で一杯にしてゆく。
「トーイ」と、本当の名前で呼ばれることのなかった男は、生まれてきて幸せだったろうか。
防弾ガラスの嵌った窓の外を、先端に鐘楼を戴くクラシカルな高層ビルが遠ざかってゆく。
ビルを護るように、遠方の空を睨むガーゴイルの上に立っていたルドガーは、ノアを探しに来たTOI‐零だった。
黄昏の中、焦がれる青い視線の先にいた自分。
好き、大好き。と、甘く繰り返す声が耳の奥に張り付いて離れない。
ノアは蘇った声と記憶を閉じ込めるように窓の外に顔を向けたまま目を閉じた。
不意に腕が軽くなって、拘束具から解放された。
痺れた手首にそっと触れると、迅の手は躊躇うように離れていった。
向かいのシートに戻った迅は、マイク付きのイヤホンをつけ外に目をやった。
摩天楼は、ローズ・フィーバーのパンデミックで外出が規制され、眠ったように静まり返っている。リニアモーターレイルも止まり、行きかうエアフライも政府や軍関係のマシンばかりだ。
いつしか、リムジンと後続のエアフライを警護するように台数を何倍にも膨らませた迅たちの一行だけが、閑散としたビルの谷間一杯に広がり、物々しい隊列を組んで滑空していた。
「ジタンを先に派遣したのは、もしもの時のことを考えての予防線だった。みすみす、お前を感染させる気はなかったからな」
窓に向けていた顔を迅に向けると、視線がぶつかった。
「ワクチンが見つかるまで、お前には付き合ってもらうつもりだがな」
盗聴器が仕掛けられたのは迅の部屋だ。
ノア自身がウイルスに対する免疫を持つことをルドガーから聞いたのは、ジタンのメッセージを自分に宛がわれた部屋で再生していたときだった。
迅はノアが抗体を持っていることを知らない。
「ジン・・・・」
迅が方耳のイヤホンを押し込みながら、口を開きかけたノアを手で制した。
険しく眉を吊り上げた迅は黙って報告を聞いていたが、やがて硬い声で指示を出した。
「たった一体しかないプロトモデル(原型)だ、くれぐれも慎重に扱え。電気系統へのダメージは、それ以上与えるな」
言いながら、迅の目がノアの後ろに流れるのを、ノアは見逃さなかった。
後続の黒いエアフライにはルドガーが乗せられている。ルドガーを乗せたエアフライの中で、なにかトラブルが起こっているのは間違いない。
圧倒的な強さと、人知を超えた美しくも強靭なボディ。
高圧電流を流されたルドガーの躰は、薔薇の庭であっけなくも崩れ落ちた。関節のない人形のように地面に落ちた躰は、そのまま立ち上がることも無く、大勢の男達の手によって大型のエアフライへと運び込まれた。
「迅、ルドガーをどうする気だ?」
「知りたいか」 と、怜悧な目を向ける迅に、ノアは硬い表情で肯いた。
「政府は新しい兵器を欲しがっている」
話し始めた迅の貌は、企業に使われる男のマスクを脱ぎ、冷淡な軍人の貌になっていた。
「資源がつきかけた今、大型の大がかりな兵器で都市と人間を同時に破壊する時代は終わった。いま新世界の政府が望むのは、対立国の中枢に入り込み、内側から蝕んで無力化するウイルスのような兵器と、本物のウイルスだ」
ルドガーの祖父、ヴィンセントによるワクチン開発は、政府からの多大な資金援助と、アスクレピオス製薬がより巨大な企業になるための様々な恩恵をもたらした。
だが、機密漏えいをを恐れた政府はヴィンセントを家族ごと須弥山に監禁した。特に幼い宿主であるルドガーの存在は世間から隠蔽された。
ヴィンセントの妻、マチルダは息子ですら敬遠する孫のルドガーを深くいつくしみ可愛がっていた。が、ある日ドアにぶつけて転んだルドガーにすっかり動転してしまい、鼻血にうっかり触れてしまった。
ローズ・フィーバーに感染したマチルダは、もう何も恐れはしなかった。
ルドガーが泣けばその胸に抱き、涙に濡れる頬にキスをした。ずっとそうしたかったのだ。
3年後に発症したマチルダは、「あの子を責めては駄目よ」と幸せそうな微笑を浮かべ息を引き取った。その半年後に、ヴィンセントは5歳になった孫を連れて姿を消した。
「政府は真乃が造った高性能ロボットを手に入れ、俺はワクチンを手に入れる。この二つを手にしたものがこの世界を掌握する」
ルドガーは兵器でもロボットでもない。そう言いかけた脳裏に赤く光る双眸が蘇り、ノアは出かかった言葉を飲み込んだ。
「ルドガーをバラせば、研究所の位置はわからなくなるぞ」
「そんなものは集積回路を取り出せば簡単に割り出せる。生身の人間を相手にするよりよっぽど楽で、正確だ」
ルドガーが分解されるところを想像し、胸が悪くなった。
ノアの頭の中で分解されるルドガーから出てくるのは、血と肉と骨ばかりだった。
「それに、言ったはずだ。ルドガーのエアフライがアスクレピオスのビルに衝突しかけた日以来、不審な電波を捕まえていると」
「まさか、あの事故・・・・」
「ルドガー・ヴィンセントが本物かどうか、試させてもらった。いくら軽量化が進んだバイクタイプとはいえ、落下中の2000kg近いマシンを生身の人間が操れるはずがないからな」
事も無げに話していた迅は、切羽詰ったノアの表情に眉を寄せる。
「複雑でも、所詮機械の集合体だ。バラしてプログラムさえ取り出せば後はどうとでもなる」
「迅・・・止めてくれ」
「なんだ、まさかあれに本気で情が移ったんじゃなかろうな。自分の身を挺してお前を守ったところで、奴にとっては単なるデモンストレーションだぞ。偽物ものの背中出来た傷に意味などない。現実の痛みも、精神的な苦痛も、まったくの無縁のキカイなんだからな」
愕然と見る迅の表情は、相変わらずの冷淡さでその感情は全く読めない。
衛星中継に高感度カメラ。政府の力をもってすれば、秘め事を包むそのベールは簡単に引き裂かれ、プライベートは公のものとなる。
ルドガーの背中の傷の話題に触れられて、迅がルドガーとノアの情交を細かく知っていることにノアは狼狽した。
気まずさにシートを移ろうと立ち上ったノアを迅の足が阻んだ。
感情のない灰色の目がノアを見上げてきた。
「なかなか、色気のある声だった」
かっ、と耳まで熱くなる。
「俺が誰と寝ようと、今まで気にもかけなかったくせ―――」
ドンという音と共に、リムジンが大きく揺れた。
迅もノアも、放射状に撓んだ天井を同時に見上げる。
「な・・・に?」
よろめいた体勢を立て直せないうちに次の衝撃がきて、ノアの目の前ににょきっと腕が生えた。
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■最後までお読み頂き、ありがとうございます♪(*^▽^*)
更新時間を大幅に遅れました。おまけに次話から、不定期になります・・・スミマセンm(_ _)m
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当にいつもありがとうございます。
拙文しか書けない私、書いていく励みになります。
■ブログ拍手コメントのお返事は、*こちら*にさせていただいております♪

更新時間を大幅に遅れました。おまけに次話から、不定期になります・・・スミマセンm(_ _)m
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トーイ、
本当に 彼には 精神が存在しなかったのでしょうか。
ノアと接した時のトーイには リンクしたルドガー以外に感じるものがあったような...
ノアも 感じ取ってようですしね。
捕らわれたルドガー、このまま 壊れた玩具扱い?
だけど 紙魚さまの世界ですからね♪
まだまだ 先が読めない展開がーー!... Σ(゚ω゚)b
今年も 後少しとなって来ました。
日頃 手抜き家事をしている私、バタバタの毎日!
紙魚さまも お忙しいと思いますが、くれぐれも お体に無理の無い様に お過ごし下さい。
そして 素敵な年末&年始をお迎え下さいませ。
{{(T-T)}}ブルブル・・・さむっっ ...byebye☆