11 ,2011
Love or world 9
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甘い蜜が、触れ合う素肌を介して注ぎ込まれ、脳の中まで痺れている。
傾いた月は温室で育つ見事な薔薇の木の影を深く落とし、2人が褥にするカウチをすっかりその陰の内側に隠してしまった。
ルドガーの接吻けに躰中を埋められ、その薔薇の陰で溜息する。
「疲れた?」
気遣う瞳に首を振れば、優しいキスを落とされる。
疲れるようなことはまだしていない。「甘いキスに酔った」と素直に言えば、ルドガーが喜んでくれることはわかっていても、気恥ずかしくて口に出せない。
「あのね、ここに・・・いい?」
脇から背後に潜り込んだ大きな手が、双丘にやんわり手を添えたまま訊いてくる。
ここまで散々不埒な所業で翻弄してきた男がいきなり遠慮するのが可笑しい。
「いいよ。たくさんしようって言ったのは俺なんだから」
薔薇の枝葉を通して零れる斑な光の中で、もう一度接吻けする。
ルドガーがCMのナレーション通り3滴、慎重に中指の腹に落とす姿に、また笑いたくなった。いや、口の端はもう吊り上っていたらしい。
「なんだか、ノアは笑ってばっかりだね」
『この瞬間がすごく幸せだから』 って言ったら、この男はどんな顔をするのだろうか。
替わりに手を伸ばしローションに濡れた指を秘所に導いた。
「ああ・・・ノア、好き。好き」
長い指がまだ固い蕾に薄紅の液体を塗り込めながら、ゆるゆると円を描く。
それだけで期待と興奮で再び勃ち上がった花芯の先端で透明な蜜が溢れる。重たげに膨らんで形を崩した蜜は、て雄蕊を濡らしながら流れ落ちた。
自分でも信じられないくらいに、指の先が生む熱を感じている。
先端を濡らす蜜を舌が舐め取るのと、滑りのよくなった指先がぷつりと蕾を破るのは同時だった。
上擦った声が上がり、戦慄く吐息が緩んだ唇から吐き出される。
ルドガーの指の節の太さや、長さが躰に刻み込まれてゆく。ふと、自分の中から消えていこうとする色あせた執着や、やるせなかった想いに哀惜を感じ、切ない吐息をひとつ吐いて目を閉じた。
ノアの心の動きを読んだのか、沈められた指が中で鍵型に曲がる。
「うっ・・・・・ぁぁ」
弾けそうな快感に反り返った腰から指が去り、本数を増やされた指が再び埋まった。
「あ・・・ぁ!いや・・・・」
強烈な熱が込み上げ、下肢や背中が反り返った。指から逃れようとした躰が淫靡なしなりを造って捩れる。
「ノア、クロストの事なんか考えないで。こっちを向いて僕を見て!」
そむけた頭を大きな手が包み持ち上げられる。軽々と膝の上に抱え上げられ、埋められたままの快感に霞む目に、端正な男の顔が毒のような色香を撒き散らしながら嗤う。
「桐羽・・・・」
「ルド」
向かい合い抱きしめ、接吻けを交す。指が抜かれ、落とされたノアの躰を熱が貫いた。脳天を突き抜ける快感に、刺し貫かれたからだが咆哮を上げながら仰け反った。
高速で広がる閃光に全てが呑み込まれる。
黄昏の摩天楼、舞い上がる白い花、波に流される砂の城。急速に膨らんだ光は一気に萎み、暗闇の中に立つ2人の周りを錐の先のように細く鋭い光が幾筋も走り抜けてゆく。
闇の中にあっても輝きを放つルドガーが身を屈め、そっとノアに接吻ける。
世界が熱をもち、ドクンと脈打ち出した。
薔薇の毒。薔薇の熱。どうしようもなく侵されている。
気がつくと月光に照らされた温室のガラスの天井がゆらゆらと揺れて見えた。
横たえられたカウチの上で優しい律動に揺さぶられ、満たされる心地よさに気持ちに官能が曳き摺られる。
極まったノアの快感に連動するようにルドガーが果てる。
背中を硬直させ仰け反らせた男らしい喉や、眉根を寄せるセクシーな表情に、男が腹の上に落ちてくるまで見惚れた。
やがて身を起こした男は、ノアに自分を埋めたまま四つん這いになってノアを見下ろした。迷うような困ったような顔に、ノアの胸も掻き乱される。
「どうしよう。もう、好きすぎて泣きたくなってくる」
こう言いたいと思ったノアの心は、全てルドガーが代弁してくれる。
替わりに、「ルドって年下みたいだ」と笑うノアにルドガーは軽くショックを受け、「可愛いって思えるから困った」と白状したノアの顔を大きな両手で挟んで、「もう一度」と接吻けてきた。
何度でも、何度でも。許されるなら、一緒にいたい。
目が醒めて真っ先に眼の中に飛び込んできたのは薄い更紗に重なるベルベッドの天蓋と、太いロープが天に昇るような彫刻の施された4本の柱だった。
随所に彫刻の施された豪奢なベッドは、ノアが先日まで占拠していたルドガーのベッドだ。
起き上がって隣に眠る男を見下ろす。
2人とも裸体のままだということは、裸のルドガーが裸の自分を温室からここに運んだということだろうか。
まさか・・な、と思いつつ眉間をおさえた。この能天気な男ならやりかねない。
ボディガードの立場でいた時は、直に接する機会は殆ど無かったが、屋敷にはそれなりの数の使用人がいる。
夜更けに真っ裸の館主が裸の男を抱いて歩くところを目撃したら・・・。
能天気男は平気でも、遭遇してしまった哀れな使用人は仰天したに違いない。
もしその相手がエリオットだったとしたら。例の澄ました慇懃さで「おめでとうございます」、とか言ったかもしれない。いや、絶対言った。
なんと言っても、ノアにルドガーと深い関係になるよう示唆し、可愛い主人にファンシーなピンクのローションの瓶を握らせるような男だ。
「・・・・・・・・」
押えた眉間に深い皺をこしらえたノアの背中が失意に大きく傾ぐ。
エリオットはルドガーが子供の頃から仕えている。世話係であり、教育係であり、いわば親代わりみたいな存在だ。
そういえば、自分の主人であるルドガーより他の大人に可愛がられるノアにはいくぶん冷たかった気がする。
この須弥山のロビーで会った瞬間から苦手感がしていたのは、きっとそのせいだ。
傍にいたエリオット甘やかしすぎたせいで、あの繊細で気高かった少年はこんな能天気男になってしまったのかもしれない。
こんな能天気で、真っ直ぐで、眩しい太陽のような男に。
傾いだ視線の先で、ロイヤルブルーのベルベットの優雅なドレープの隙間から陽光が差し込み、絡まった2人分の足を照らす。
その眩しさと清々しさに、口許が自然に解け綻んだ。
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甘い蜜が、触れ合う素肌を介して注ぎ込まれ、脳の中まで痺れている。
傾いた月は温室で育つ見事な薔薇の木の影を深く落とし、2人が褥にするカウチをすっかりその陰の内側に隠してしまった。
ルドガーの接吻けに躰中を埋められ、その薔薇の陰で溜息する。
「疲れた?」
気遣う瞳に首を振れば、優しいキスを落とされる。
疲れるようなことはまだしていない。「甘いキスに酔った」と素直に言えば、ルドガーが喜んでくれることはわかっていても、気恥ずかしくて口に出せない。
「あのね、ここに・・・いい?」
脇から背後に潜り込んだ大きな手が、双丘にやんわり手を添えたまま訊いてくる。
ここまで散々不埒な所業で翻弄してきた男がいきなり遠慮するのが可笑しい。
「いいよ。たくさんしようって言ったのは俺なんだから」
薔薇の枝葉を通して零れる斑な光の中で、もう一度接吻けする。
ルドガーがCMのナレーション通り3滴、慎重に中指の腹に落とす姿に、また笑いたくなった。いや、口の端はもう吊り上っていたらしい。
「なんだか、ノアは笑ってばっかりだね」
『この瞬間がすごく幸せだから』 って言ったら、この男はどんな顔をするのだろうか。
替わりに手を伸ばしローションに濡れた指を秘所に導いた。
「ああ・・・ノア、好き。好き」
長い指がまだ固い蕾に薄紅の液体を塗り込めながら、ゆるゆると円を描く。
それだけで期待と興奮で再び勃ち上がった花芯の先端で透明な蜜が溢れる。重たげに膨らんで形を崩した蜜は、て雄蕊を濡らしながら流れ落ちた。
自分でも信じられないくらいに、指の先が生む熱を感じている。
先端を濡らす蜜を舌が舐め取るのと、滑りのよくなった指先がぷつりと蕾を破るのは同時だった。
上擦った声が上がり、戦慄く吐息が緩んだ唇から吐き出される。
ルドガーの指の節の太さや、長さが躰に刻み込まれてゆく。ふと、自分の中から消えていこうとする色あせた執着や、やるせなかった想いに哀惜を感じ、切ない吐息をひとつ吐いて目を閉じた。
ノアの心の動きを読んだのか、沈められた指が中で鍵型に曲がる。
「うっ・・・・・ぁぁ」
弾けそうな快感に反り返った腰から指が去り、本数を増やされた指が再び埋まった。
「あ・・・ぁ!いや・・・・」
強烈な熱が込み上げ、下肢や背中が反り返った。指から逃れようとした躰が淫靡なしなりを造って捩れる。
「ノア、クロストの事なんか考えないで。こっちを向いて僕を見て!」
そむけた頭を大きな手が包み持ち上げられる。軽々と膝の上に抱え上げられ、埋められたままの快感に霞む目に、端正な男の顔が毒のような色香を撒き散らしながら嗤う。
「桐羽・・・・」
「ルド」
向かい合い抱きしめ、接吻けを交す。指が抜かれ、落とされたノアの躰を熱が貫いた。脳天を突き抜ける快感に、刺し貫かれたからだが咆哮を上げながら仰け反った。
高速で広がる閃光に全てが呑み込まれる。
黄昏の摩天楼、舞い上がる白い花、波に流される砂の城。急速に膨らんだ光は一気に萎み、暗闇の中に立つ2人の周りを錐の先のように細く鋭い光が幾筋も走り抜けてゆく。
闇の中にあっても輝きを放つルドガーが身を屈め、そっとノアに接吻ける。
世界が熱をもち、ドクンと脈打ち出した。
薔薇の毒。薔薇の熱。どうしようもなく侵されている。
気がつくと月光に照らされた温室のガラスの天井がゆらゆらと揺れて見えた。
横たえられたカウチの上で優しい律動に揺さぶられ、満たされる心地よさに気持ちに官能が曳き摺られる。
極まったノアの快感に連動するようにルドガーが果てる。
背中を硬直させ仰け反らせた男らしい喉や、眉根を寄せるセクシーな表情に、男が腹の上に落ちてくるまで見惚れた。
やがて身を起こした男は、ノアに自分を埋めたまま四つん這いになってノアを見下ろした。迷うような困ったような顔に、ノアの胸も掻き乱される。
「どうしよう。もう、好きすぎて泣きたくなってくる」
こう言いたいと思ったノアの心は、全てルドガーが代弁してくれる。
替わりに、「ルドって年下みたいだ」と笑うノアにルドガーは軽くショックを受け、「可愛いって思えるから困った」と白状したノアの顔を大きな両手で挟んで、「もう一度」と接吻けてきた。
何度でも、何度でも。許されるなら、一緒にいたい。
目が醒めて真っ先に眼の中に飛び込んできたのは薄い更紗に重なるベルベッドの天蓋と、太いロープが天に昇るような彫刻の施された4本の柱だった。
随所に彫刻の施された豪奢なベッドは、ノアが先日まで占拠していたルドガーのベッドだ。
起き上がって隣に眠る男を見下ろす。
2人とも裸体のままだということは、裸のルドガーが裸の自分を温室からここに運んだということだろうか。
まさか・・な、と思いつつ眉間をおさえた。この能天気な男ならやりかねない。
ボディガードの立場でいた時は、直に接する機会は殆ど無かったが、屋敷にはそれなりの数の使用人がいる。
夜更けに真っ裸の館主が裸の男を抱いて歩くところを目撃したら・・・。
能天気男は平気でも、遭遇してしまった哀れな使用人は仰天したに違いない。
もしその相手がエリオットだったとしたら。例の澄ました慇懃さで「おめでとうございます」、とか言ったかもしれない。いや、絶対言った。
なんと言っても、ノアにルドガーと深い関係になるよう示唆し、可愛い主人にファンシーなピンクのローションの瓶を握らせるような男だ。
「・・・・・・・・」
押えた眉間に深い皺をこしらえたノアの背中が失意に大きく傾ぐ。
エリオットはルドガーが子供の頃から仕えている。世話係であり、教育係であり、いわば親代わりみたいな存在だ。
そういえば、自分の主人であるルドガーより他の大人に可愛がられるノアにはいくぶん冷たかった気がする。
この須弥山のロビーで会った瞬間から苦手感がしていたのは、きっとそのせいだ。
傍にいたエリオット甘やかしすぎたせいで、あの繊細で気高かった少年はこんな能天気男になってしまったのかもしれない。
こんな能天気で、真っ直ぐで、眩しい太陽のような男に。
傾いだ視線の先で、ロイヤルブルーのベルベットの優雅なドレープの隙間から陽光が差し込み、絡まった2人分の足を照らす。
その眩しさと清々しさに、口許が自然に解け綻んだ。
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■最後までお読み頂き、ありがとうございます♪(*^▽^*)
ルドガー、ややこしすぎます。早く謎を解明させてすっきりしたいです。
エリオットは完全な親バカですね。
お爺さんなのにルドガー坊ちゃんのためにローションの新商品を用意するとことか、
だんだん好きになってきましたv
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当にいつもありがとうございます。
拙文しか書けない私、書いていく励みになります。
■ブログ拍手コメントのお返事は、*こちら*にさせていただいております♪

ルドガー、ややこしすぎます。早く謎を解明させてすっきりしたいです。
エリオットは完全な親バカですね。
お爺さんなのにルドガー坊ちゃんのためにローションの新商品を用意するとことか、
だんだん好きになってきましたv
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ZZzz…(ii -ω-)。。ooO((【・:*:・悪夢・:*:・】))
ルド君とノアの幸せに満ち溢れた時間♪
でも
そんな時に限って・・・( ̄ー ̄)ニヤリ
ね~紙魚さま、そうでしょ?
今夜は、裸のルド君が裸のノアを お姫さま抱っこしている夢かな?
ZZzz…(*。-ω-)。。ooO((【・:*:・萌夢・:*:・】))...byebye☆