11 ,2008
翠滴 1-8 オーディナリィ・ラヴ 4 (27)
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□R指定要素の表現があります。苦手な方はスルーで~!□
翠の滴が落ち続けて、淵に水が満たされて、いつの間にか自分の身長を飲み込むまで水位が上がってきていた。早く、逃げなければと思うのに、身体が動かなかった。
この深い緑の水はドロリと、自分の身体を圧して、自由に動く事すら儘ならない。
早く、早く逃げなければ、溺れてしまう・・・
「ああっ!もう・・・赦して・」
「ああ、すみません。これでは全然、足りなかったですね」
躯の奥でで放たれた粘液が指で捏ね回され、粘るような水音を立てていた。
「ちが・・・は・・あぁ」
中を捏ね繰り回していた指が一度抜かれて息を吐いた途端、一気に3本に増えた指が入口の襞を抉るように侵入してきた。進入口が広げられその指を緩慢な動きで廻される。内部の指をグッと曲げられた途端、身体が撓んで跳ね上がった。
「ひっ…」
「享一、僕を見てください」
デリケートな部分が擦れる違和感と、内部でこんな事に使われるには、およそ不似合いな美しい長い指が生み出す激しい快感に耐え震える瞼を、薄っすらと開ける。
潤んだ視界に、いま自分を満たし溺れさせようとしている深緑の瞳が映る。
「周(あまね)さ…ん」
「享一」
唇や頬に散った、長さの揃わないウエンゲ色の髪を、指先で丁寧に摘んでは除けると、周は唇を食むだけの軽いキスを寄越した。そのまま、腕が背中にまわり、そっとマットと肩胛骨の間にクッションを挟まれる。
背中にクッションを充てられ上体が上がると、周を挟む自分の腿や己の蜜で滑りながら勃ちあがる享一自身がつぶさに視界に入って、羞恥に眼をあてていられなくなった。
俯いて顔を背ける享一の唇に、肩に手を伸ばした周が唇を重ねてくる。
軽く触れられただけのキスなのに、そこから痺れが生れて胸の辺りにまた一滴、雫が落ちていく。その痺れに戸惑い、落ちる滴に困惑して瞼を閉じる。喉の奥で笑うような声が聞こえて、ガラリと変わった声音が軽く命令してきた。
リバーシブルで両極端の2面を持つ周が反転する度、自分が手を這わせている相手が別の男にすり替ったみたいで、享一は恥ずかしさをおぼえた。まるで、2人の男を相手にしているようで面食らう。それを解っていて、わざと周は行為の途中で仮面を付け替え、享一を翻弄する。
「享一、見てろよ」
再び侵入してくる指と共に、苦痛を覚える程に膨張したものにサワッと触れられる感覚に驚いて目を見開いた。蜜を零しながら怒張するものに、周が綺麗な指を添えて支え顔を近付けて、ニヤリと嗤った。
「・・・・?」
やがて、形の良い唇が半開きになり、いつか享一の傷を舐めて享一を惑乱し、翻弄した艶かしい舌を覗かせると更に口を開いて、享一の裏側を根元から透明な蜜の溜まる先端まで舌先を蠢かせながら舐めあげた。享一の目が見開かれ、固まる。先端で一旦、口を離すと再び卑猥な形に開け、そのまま亀頭を旨そうに頬張った。
「!!」
淫靡な流し目で、唇に白い粘液を滴らせ微笑みながら顔を上げた周の瞳が、少し大きくなって、唖然と真顔になった。
「享一、・・・・鼻血・・」
白い体液を放つと同時に、赤い血液も噴出していた。
信じられないことに、ティッシュで鼻を抑える俺の隣で、周は腹を抱えて笑い転げている。挙句の果て、キスの雨を降らしながら、「初心」だの「可愛い」だの「免疫が無くて嬉しい」みたいなことを、勝手にのたまった。下品この上ないこの男を、理想の大人だと信じ込んでいた自分が情けない・・
完全に堕してくれ・・・なんて 誰が言ったんだよ!
軽はずみな科白を口にした、浅はかな自分にも溜息した。
カランを捻ると温かい雨が降り出した。周の部屋のバスルームはコンパクトに纏められいて、バスタブが無い代わりに透明ガラスで仕切られたシャワーブースがついている。シンプルで、かつ美しく機能的だ。周の部屋は誰が設計したのか、動線もディテールも本当によく出来ていて、屋敷に負けないくらいの関心を引いている。居心地がいい。
天井から落ちる、レインシャワーに打たれながら、ガラスに片手を付いて空いた手を後ろに添え後処理をする。情けないと思いながらも、吐息交じりの小さな喘ぎ声が上がってしまう。
全てを終えて顔を上げると、シャワーの飛沫の飛び散ったガラスの向こうに、人影を認めてギョッとした。Tシャツに薄手のズボンという部屋着を身に着けた周が大理石のカウンターにもたれて腕を組み、細かい湯に打たれる享一を、じっと見ていた。逆上せとは別の熱さが顔に上る。
享一は、驚いたことや、一部始終を見られた恥ずかしさなど感じていないフリで、乱暴に湯を止めると、ガラスのドアを開け、フックに掛けてあったタオルで全身を拭った。途中、手伝おうと、伸びて来た腕からするりと身を躱し、そのまま周の前を通り過ぎた。
「自分の部屋に戻ります」
「どうして?笑った事、怒っているのか?」
「別に・・・」
そう言うと、さっさと部屋へのドアを開けて自分が脱いだ服を取りにソファへ向かった。気分を害した事もあったが、引き止められないうちに早く周から離れたかった。シャツを取ろうと伸した手首を周に捕まえられ、強引にベッドに引っ張って行かれ驚いた。
「周さん!」
乱暴にベッドに投げ込まれ、享一の上に跨がった周にホールドの形で、両手首を磔られる。
「まだ、足りない。享一が鼻血出すから一回しか出来なかったし」
「周さん そんな」・・・そんなコト、言われたって・・・。
「戻るなら、今から足腰立たなくなるまで犯すけどいい?
俺は、全然足りてねぇんだけど?享一が、全然足りない」
切羽詰ったように言い放たれ、手首を押さえつける手に力が篭る。痛いはずなのに上を向いた掌に官能の熱が溜まってゆく。冴え冴えとした周の目の色は脅しではないことを告げ、その眼差しに胸が苦しくなって、頭ごとずらして視線を外し、小さな声で承諾した。
「わかった、わかったから・・・・・。ここで、眠るから放してください」
漸く手を離し、凄んでいた雰囲気を柔らかくした周がソファからシャツと下着を持ってきて「自分で・・」と抗う享一を断って甲斐甲斐しく着せていった。そのまま抱き込むと、まだ水気の残る髪に顔を埋めて、眠りにつく体勢をとり安心したように息を吐く。廻された腕や背中に密着する胸や腹から、周の体温が伝わってくる。享一は身動ぎもせずその体温を、ただ感じていた。
全く感じないと言ったら嘘になるが、バックを使うセックスには苦痛が附いてくる。自分から積極的にとは、まだ思えない。けれど、周は毎晩、抱きたがる。喩え身体を繋げなかったとしても、毎晩、享一を抱いたまま眠りに就きたがった。あの日から、享一は自分にあてがわれた部屋を寝るために使った事がない。
深夜、背後から周の腕に抱かれて暗闇に目を凝らしていると、穏やかな寝息が項に掛かるのを感じる。
溺れそうだった・・・。
周の吐息にも、周の腕と体温にも。
絡め取られて溺れて呼吸困難に陥りそうだ。
苦しくて・・・身体を添わせて眠るのは、初めから別つのがわかっている心を無理矢理添わせるようで、セックスより辛い。
この体温を持つ男とはここにいる間だけの関係で、自分には他に手にするべき理想の幸せの形があるはずなのに。
人のココロなんて、簡単に変わってしまうのに。
同性間の恋など熱病みたいなもので、直ぐに醒めてしまうに違いない。
妻がいて子供のいる、普通の家庭の幸せを手に入れる。そう願っているはずなのに。
いま、自分の根幹がグラグラと揺れ、これまで自分を支えてきた人生の指針となる目標や価値観が音を立てて崩れそうになっている。どうすればいい?
翠の滴に溺れそうで、不安になる。
□R指定要素の表現があります。苦手な方はスルーで~!□
翠の滴が落ち続けて、淵に水が満たされて、いつの間にか自分の身長を飲み込むまで水位が上がってきていた。早く、逃げなければと思うのに、身体が動かなかった。
この深い緑の水はドロリと、自分の身体を圧して、自由に動く事すら儘ならない。
早く、早く逃げなければ、溺れてしまう・・・
「ああっ!もう・・・赦して・」
「ああ、すみません。これでは全然、足りなかったですね」
躯の奥でで放たれた粘液が指で捏ね回され、粘るような水音を立てていた。
「ちが・・・は・・あぁ」
中を捏ね繰り回していた指が一度抜かれて息を吐いた途端、一気に3本に増えた指が入口の襞を抉るように侵入してきた。進入口が広げられその指を緩慢な動きで廻される。内部の指をグッと曲げられた途端、身体が撓んで跳ね上がった。
「ひっ…」
「享一、僕を見てください」
デリケートな部分が擦れる違和感と、内部でこんな事に使われるには、およそ不似合いな美しい長い指が生み出す激しい快感に耐え震える瞼を、薄っすらと開ける。
潤んだ視界に、いま自分を満たし溺れさせようとしている深緑の瞳が映る。
「周(あまね)さ…ん」
「享一」
唇や頬に散った、長さの揃わないウエンゲ色の髪を、指先で丁寧に摘んでは除けると、周は唇を食むだけの軽いキスを寄越した。そのまま、腕が背中にまわり、そっとマットと肩胛骨の間にクッションを挟まれる。
背中にクッションを充てられ上体が上がると、周を挟む自分の腿や己の蜜で滑りながら勃ちあがる享一自身がつぶさに視界に入って、羞恥に眼をあてていられなくなった。
俯いて顔を背ける享一の唇に、肩に手を伸ばした周が唇を重ねてくる。
軽く触れられただけのキスなのに、そこから痺れが生れて胸の辺りにまた一滴、雫が落ちていく。その痺れに戸惑い、落ちる滴に困惑して瞼を閉じる。喉の奥で笑うような声が聞こえて、ガラリと変わった声音が軽く命令してきた。
リバーシブルで両極端の2面を持つ周が反転する度、自分が手を這わせている相手が別の男にすり替ったみたいで、享一は恥ずかしさをおぼえた。まるで、2人の男を相手にしているようで面食らう。それを解っていて、わざと周は行為の途中で仮面を付け替え、享一を翻弄する。
「享一、見てろよ」
再び侵入してくる指と共に、苦痛を覚える程に膨張したものにサワッと触れられる感覚に驚いて目を見開いた。蜜を零しながら怒張するものに、周が綺麗な指を添えて支え顔を近付けて、ニヤリと嗤った。
「・・・・?」
やがて、形の良い唇が半開きになり、いつか享一の傷を舐めて享一を惑乱し、翻弄した艶かしい舌を覗かせると更に口を開いて、享一の裏側を根元から透明な蜜の溜まる先端まで舌先を蠢かせながら舐めあげた。享一の目が見開かれ、固まる。先端で一旦、口を離すと再び卑猥な形に開け、そのまま亀頭を旨そうに頬張った。
「!!」
淫靡な流し目で、唇に白い粘液を滴らせ微笑みながら顔を上げた周の瞳が、少し大きくなって、唖然と真顔になった。
「享一、・・・・鼻血・・」
白い体液を放つと同時に、赤い血液も噴出していた。
信じられないことに、ティッシュで鼻を抑える俺の隣で、周は腹を抱えて笑い転げている。挙句の果て、キスの雨を降らしながら、「初心」だの「可愛い」だの「免疫が無くて嬉しい」みたいなことを、勝手にのたまった。下品この上ないこの男を、理想の大人だと信じ込んでいた自分が情けない・・
完全に堕してくれ・・・なんて 誰が言ったんだよ!
軽はずみな科白を口にした、浅はかな自分にも溜息した。
カランを捻ると温かい雨が降り出した。周の部屋のバスルームはコンパクトに纏められいて、バスタブが無い代わりに透明ガラスで仕切られたシャワーブースがついている。シンプルで、かつ美しく機能的だ。周の部屋は誰が設計したのか、動線もディテールも本当によく出来ていて、屋敷に負けないくらいの関心を引いている。居心地がいい。
天井から落ちる、レインシャワーに打たれながら、ガラスに片手を付いて空いた手を後ろに添え後処理をする。情けないと思いながらも、吐息交じりの小さな喘ぎ声が上がってしまう。
全てを終えて顔を上げると、シャワーの飛沫の飛び散ったガラスの向こうに、人影を認めてギョッとした。Tシャツに薄手のズボンという部屋着を身に着けた周が大理石のカウンターにもたれて腕を組み、細かい湯に打たれる享一を、じっと見ていた。逆上せとは別の熱さが顔に上る。
享一は、驚いたことや、一部始終を見られた恥ずかしさなど感じていないフリで、乱暴に湯を止めると、ガラスのドアを開け、フックに掛けてあったタオルで全身を拭った。途中、手伝おうと、伸びて来た腕からするりと身を躱し、そのまま周の前を通り過ぎた。
「自分の部屋に戻ります」
「どうして?笑った事、怒っているのか?」
「別に・・・」
そう言うと、さっさと部屋へのドアを開けて自分が脱いだ服を取りにソファへ向かった。気分を害した事もあったが、引き止められないうちに早く周から離れたかった。シャツを取ろうと伸した手首を周に捕まえられ、強引にベッドに引っ張って行かれ驚いた。
「周さん!」
乱暴にベッドに投げ込まれ、享一の上に跨がった周にホールドの形で、両手首を磔られる。
「まだ、足りない。享一が鼻血出すから一回しか出来なかったし」
「周さん そんな」・・・そんなコト、言われたって・・・。
「戻るなら、今から足腰立たなくなるまで犯すけどいい?
俺は、全然足りてねぇんだけど?享一が、全然足りない」
切羽詰ったように言い放たれ、手首を押さえつける手に力が篭る。痛いはずなのに上を向いた掌に官能の熱が溜まってゆく。冴え冴えとした周の目の色は脅しではないことを告げ、その眼差しに胸が苦しくなって、頭ごとずらして視線を外し、小さな声で承諾した。
「わかった、わかったから・・・・・。ここで、眠るから放してください」
漸く手を離し、凄んでいた雰囲気を柔らかくした周がソファからシャツと下着を持ってきて「自分で・・」と抗う享一を断って甲斐甲斐しく着せていった。そのまま抱き込むと、まだ水気の残る髪に顔を埋めて、眠りにつく体勢をとり安心したように息を吐く。廻された腕や背中に密着する胸や腹から、周の体温が伝わってくる。享一は身動ぎもせずその体温を、ただ感じていた。
全く感じないと言ったら嘘になるが、バックを使うセックスには苦痛が附いてくる。自分から積極的にとは、まだ思えない。けれど、周は毎晩、抱きたがる。喩え身体を繋げなかったとしても、毎晩、享一を抱いたまま眠りに就きたがった。あの日から、享一は自分にあてがわれた部屋を寝るために使った事がない。
深夜、背後から周の腕に抱かれて暗闇に目を凝らしていると、穏やかな寝息が項に掛かるのを感じる。
溺れそうだった・・・。
周の吐息にも、周の腕と体温にも。
絡め取られて溺れて呼吸困難に陥りそうだ。
苦しくて・・・身体を添わせて眠るのは、初めから別つのがわかっている心を無理矢理添わせるようで、セックスより辛い。
この体温を持つ男とはここにいる間だけの関係で、自分には他に手にするべき理想の幸せの形があるはずなのに。
人のココロなんて、簡単に変わってしまうのに。
同性間の恋など熱病みたいなもので、直ぐに醒めてしまうに違いない。
妻がいて子供のいる、普通の家庭の幸せを手に入れる。そう願っているはずなのに。
いま、自分の根幹がグラグラと揺れ、これまで自分を支えてきた人生の指針となる目標や価値観が音を立てて崩れそうになっている。どうすればいい?
翠の滴に溺れそうで、不安になる。
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お読みいただいて、ありがとうございます(*^_^*)
ぎゃあ~!わかってます!突っ込まないでください~~卑猥な形って(‐o-;)・・・ナニ?
えろの追求の道は、やはり嶮しゅうございます・・・(苦!)。

お読みいただいて、ありがとうございます(*^_^*)
ぎゃあ~!わかってます!突っ込まないでください~~卑猥な形って(‐o-;)・・・ナニ?
えろの追求の道は、やはり嶮しゅうございます・・・(苦!)。

鼻血噴くのは駄目だよ!
読みながら大爆笑でしたw
周さんも意地悪だこと(笑