10 ,2010
In the blue.On the island. 4
■性的表現があります、年齢に満たない方、または苦手な方はご遠慮ください。
一粒一粒、聞き分けられそうなくらいリアルな雨音、それも次第に2人分の乱れた吐息にかき消されていく。
調理台の上で全裸で横たわらされ、眩しい光に全てを晒す。着ていたTシャツは享一の左の手首に留まり、享一を水栓の根元に繋いでいる。逃げる事も隠す事もできない。
ワイン用の厚めのクロスが、享一の視界も眩しいスポットライトの光も完全に遮断しているのが、享一のせめてもの救いだ。
首の後ろを持ち上げられ周から口移しでシャンパンを飲まされる。飲みきれずに口角から零れ落ちた液体が項を伝いゾクリと粟肌が立つ。縛られていない方の手で拭おうとすると周に止められ、代わりに寄せられた唇とザラりとした舌に吸い取られた。
「アア・・・ウ・・ン」
今日二度目のアルコールと、目隠しされたままの甘い接吻けに意識は酩酊し始める。その癖、感覚は鈍るどころか、過敏なほどに周の唇や膚、バニラに混ざるアルコールより自分を酔わせる白い花の香を嗅ぎ取った。
「く・・・・!」
胸部から鳩尾に垂らされた溶けたアイスクリームの冷たさに一瞬躰が強張った。周の指がとろりとした液体を広げ乳首の周りに円を書くように塗り、舌で吸い上げられる。
「なめらかで甘い」 満足げに呟かれ全身がかっと熱くなる。
指先が移動する度、舌が肌をくじる度、触れた部分で火花が散り体温もセクシャルな気分もまた上昇する。
鳩尾に溜まった液体が指で掬われた。見えなくても、怖いくらい鮮明に周の動きも表情もわかる。脚が持ち上げられ、次にくるであろう衝撃に躰が緊張する。
「察しがいいな。享一、力を抜いて」 笑いを含む声がして唇が合わさる。何か錠剤のような固形物が舌とともに押し込まれ吃驚した。
「枝豆」 ちいさく押し殺した声が笑う。
そうなのかとほっと油断した途端、指が侵入してきた。
「あ・・・ぁ!」
ごくりと喉が鳴る。枝豆を噛まずに飲み込んだ事を抗議したくても、自分の中でいやらしく蠢きだした指のせいでまともに口が聞けなくなる。それどころか、同時に鳩尾や脇腹を伝い始めたアイスを巧みに舌が舐め始め、喘ぎ以外の何も出なくなった。
指が増やされ、腰が揺れだすのを抑えられない。興奮で朧になった分厚い意識の向こう側で軽やかな電子音が鳴るのが聞こえたが、頭の中は熱を追うことでいっぱいだ。
「もしもし、時見享一の携帯ですが」と、周が応えるのを聞いて、はじめて自分の携帯のが鳴っていたことに気がついた。
左腕が繋がれているのを忘れて飛び起きようとし、ステンレスのカウンターに頭を打ち付けた。痛みをこらえて目隠しのクロスを引っ張ると、右側の目だけがずれて電話の応対をしながら気の毒そうに享一を見ている周と目が合う。
誰から?と口の動きだけで聞くと、ふいっと視線を逸らされた。
「ええ、お名前はかねがね。今日は枝豆を下さった方ですね。・・・私ですか?」
片岡だ。周が目を向ける。さっきの”憮然”の目だ。
余計な事を言うなと首を振って合図すると、翠の目がすっと細まり、埋まったままの指先が腹の裏にあたる一点をグリっと擦って出て行った。
声を殺し、強烈な快感の波が去るのを待つ。その間も周の涼やかな声が耳を掠める。
「ああ、私は時見さんの同居人ですが。――いえ、時見さんは起きていますよ。今代わりますので」
話の流れにうろたえる享一の手に、携帯が渡された。
携帯から聞こえる陽気な片岡の声に現実に引き戻される。
『時見?こんな時間にごめんな。いまちょっと酔い覚ましで、店の外に出てんだ』
相当飲んでいるのか、かなりご機嫌な感じだ。
「ああ、片岡。今日はお疲れさん。枝豆本当に美味くてびっくりした。それと、帰る時フォローしてくれて、そっちもありがとうな。ホント助かった」
『いいって。平沢さんは飲み始めたらエンドレスだからな。酒が強くない上に徹夜明けとあっちゃ、時見にはきつ過ぎだろう。おまけに平沢さんまた西元さんにフラれたみたいでさ、お前は早めに帰って正解だったわ。えーと、通算・・・』 8回目の失恋だ。
平沢は社内きっての才女と謳われる西元女史にアタックし続けていた。ほとんど通年行事と言っていいほどで、社内中の人間がそのことを知っている。
だが西元の理想は永邨周だ。いま脚の間に立ってエロい目線で自分を見下ろしている男だ。複雑な心境で見上げると、ナニ?とばかりに周の方眉が上がった。
『それよりお前、だいぶ疲れた顔してたけど、ちゃんと帰れたか?』
酔っていても他人に気が回すことが出来る片岡は、本当にいいヤツだと思う。
それに比べ、自分は片手を水道栓の根元に繋がれ、全裸でキッチンに横たわりながら会社の同僚と携帯で喋っている。とんでもなく恥ずかしい構図だ。
適当なところで切り上げなくてはと思っていると、片岡が本題を投げかけてきた。
『ところでさ、俺は明日クラブに行くんだけど、お前さ、どうする?』
「ああ、スポーツクラブの話だったら明日メールしようと・・・・・」
身体の中心に感じた冷たさに言葉が途切れた。
長い指が傾けたカップから、溶けたアイスクリームが白い糸になって、勢いを失った男性器を目掛け落ちていく。滑らかに蕩けた冷たいアイスが雄蕊に絡まり、会陰や脚の付け根、脇を伝ってゆっくりステンレスの天板へと垂れていく様に言葉を失った。
『時見?』
カップが空になると、中指と人差し指で腹の窪みに溜まったアイスクリームを掻き混ぜ、指先で延ばしながら享一の胸へと滑らせる。ザッと音を立てて血液が逆流するのを感じた。キッチンのカウンターに指二本の杭で打ち付けられ、身動きを完全に封じられる。
携帯で塞がれた反対側の鼓膜にも「君の体力は僕が指導しますから」と釘を刺してきた。
享一のクリームに塗れた雄に凛々しい男雛のような顔を近づけ、切れ味のよい翠の視線で享一の目を捕らえる。
『時見・・・もしもし?』
とんでもないことを企む口許が嗤いながら横に広がり、ゆっくりと開いた。
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翠滴 1―1 →
翠滴 2―1 →
翠滴 3―1 →
一粒一粒、聞き分けられそうなくらいリアルな雨音、それも次第に2人分の乱れた吐息にかき消されていく。
調理台の上で全裸で横たわらされ、眩しい光に全てを晒す。着ていたTシャツは享一の左の手首に留まり、享一を水栓の根元に繋いでいる。逃げる事も隠す事もできない。
ワイン用の厚めのクロスが、享一の視界も眩しいスポットライトの光も完全に遮断しているのが、享一のせめてもの救いだ。
首の後ろを持ち上げられ周から口移しでシャンパンを飲まされる。飲みきれずに口角から零れ落ちた液体が項を伝いゾクリと粟肌が立つ。縛られていない方の手で拭おうとすると周に止められ、代わりに寄せられた唇とザラりとした舌に吸い取られた。
「アア・・・ウ・・ン」
今日二度目のアルコールと、目隠しされたままの甘い接吻けに意識は酩酊し始める。その癖、感覚は鈍るどころか、過敏なほどに周の唇や膚、バニラに混ざるアルコールより自分を酔わせる白い花の香を嗅ぎ取った。
「く・・・・!」
胸部から鳩尾に垂らされた溶けたアイスクリームの冷たさに一瞬躰が強張った。周の指がとろりとした液体を広げ乳首の周りに円を書くように塗り、舌で吸い上げられる。
「なめらかで甘い」 満足げに呟かれ全身がかっと熱くなる。
指先が移動する度、舌が肌をくじる度、触れた部分で火花が散り体温もセクシャルな気分もまた上昇する。
鳩尾に溜まった液体が指で掬われた。見えなくても、怖いくらい鮮明に周の動きも表情もわかる。脚が持ち上げられ、次にくるであろう衝撃に躰が緊張する。
「察しがいいな。享一、力を抜いて」 笑いを含む声がして唇が合わさる。何か錠剤のような固形物が舌とともに押し込まれ吃驚した。
「枝豆」 ちいさく押し殺した声が笑う。
そうなのかとほっと油断した途端、指が侵入してきた。
「あ・・・ぁ!」
ごくりと喉が鳴る。枝豆を噛まずに飲み込んだ事を抗議したくても、自分の中でいやらしく蠢きだした指のせいでまともに口が聞けなくなる。それどころか、同時に鳩尾や脇腹を伝い始めたアイスを巧みに舌が舐め始め、喘ぎ以外の何も出なくなった。
指が増やされ、腰が揺れだすのを抑えられない。興奮で朧になった分厚い意識の向こう側で軽やかな電子音が鳴るのが聞こえたが、頭の中は熱を追うことでいっぱいだ。
「もしもし、時見享一の携帯ですが」と、周が応えるのを聞いて、はじめて自分の携帯のが鳴っていたことに気がついた。
左腕が繋がれているのを忘れて飛び起きようとし、ステンレスのカウンターに頭を打ち付けた。痛みをこらえて目隠しのクロスを引っ張ると、右側の目だけがずれて電話の応対をしながら気の毒そうに享一を見ている周と目が合う。
誰から?と口の動きだけで聞くと、ふいっと視線を逸らされた。
「ええ、お名前はかねがね。今日は枝豆を下さった方ですね。・・・私ですか?」
片岡だ。周が目を向ける。さっきの”憮然”の目だ。
余計な事を言うなと首を振って合図すると、翠の目がすっと細まり、埋まったままの指先が腹の裏にあたる一点をグリっと擦って出て行った。
声を殺し、強烈な快感の波が去るのを待つ。その間も周の涼やかな声が耳を掠める。
「ああ、私は時見さんの同居人ですが。――いえ、時見さんは起きていますよ。今代わりますので」
話の流れにうろたえる享一の手に、携帯が渡された。
携帯から聞こえる陽気な片岡の声に現実に引き戻される。
『時見?こんな時間にごめんな。いまちょっと酔い覚ましで、店の外に出てんだ』
相当飲んでいるのか、かなりご機嫌な感じだ。
「ああ、片岡。今日はお疲れさん。枝豆本当に美味くてびっくりした。それと、帰る時フォローしてくれて、そっちもありがとうな。ホント助かった」
『いいって。平沢さんは飲み始めたらエンドレスだからな。酒が強くない上に徹夜明けとあっちゃ、時見にはきつ過ぎだろう。おまけに平沢さんまた西元さんにフラれたみたいでさ、お前は早めに帰って正解だったわ。えーと、通算・・・』 8回目の失恋だ。
平沢は社内きっての才女と謳われる西元女史にアタックし続けていた。ほとんど通年行事と言っていいほどで、社内中の人間がそのことを知っている。
だが西元の理想は永邨周だ。いま脚の間に立ってエロい目線で自分を見下ろしている男だ。複雑な心境で見上げると、ナニ?とばかりに周の方眉が上がった。
『それよりお前、だいぶ疲れた顔してたけど、ちゃんと帰れたか?』
酔っていても他人に気が回すことが出来る片岡は、本当にいいヤツだと思う。
それに比べ、自分は片手を水道栓の根元に繋がれ、全裸でキッチンに横たわりながら会社の同僚と携帯で喋っている。とんでもなく恥ずかしい構図だ。
適当なところで切り上げなくてはと思っていると、片岡が本題を投げかけてきた。
『ところでさ、俺は明日クラブに行くんだけど、お前さ、どうする?』
「ああ、スポーツクラブの話だったら明日メールしようと・・・・・」
身体の中心に感じた冷たさに言葉が途切れた。
長い指が傾けたカップから、溶けたアイスクリームが白い糸になって、勢いを失った男性器を目掛け落ちていく。滑らかに蕩けた冷たいアイスが雄蕊に絡まり、会陰や脚の付け根、脇を伝ってゆっくりステンレスの天板へと垂れていく様に言葉を失った。
『時見?』
カップが空になると、中指と人差し指で腹の窪みに溜まったアイスクリームを掻き混ぜ、指先で延ばしながら享一の胸へと滑らせる。ザッと音を立てて血液が逆流するのを感じた。キッチンのカウンターに指二本の杭で打ち付けられ、身動きを完全に封じられる。
携帯で塞がれた反対側の鼓膜にも「君の体力は僕が指導しますから」と釘を刺してきた。
享一のクリームに塗れた雄に凛々しい男雛のような顔を近づけ、切れ味のよい翠の視線で享一の目を捕らえる。
『時見・・・もしもし?』
とんでもないことを企む口許が嗤いながら横に広がり、ゆっくりと開いた。
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翠滴 1―1 →
翠滴 2―1 →
翠滴 3―1 →
□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
別にキッチンじゃなくてもよかったのでは・・・・?
そう思われたソコのお嬢様、鋭い!じゃ無かった、そ・・・・そんなことはないから~っ!(かなり弱気・・
せっかくキッチンなのに、オイルもパスタもストローもナスビもキュウリも使いません。
ああ、またお道具とシチュエーションを無駄にしてしまった。。。
それではまた明日。
おやつの時間にお会いしましょう(´・ω・`)ショボン
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けませんが、書いていく励みになります。。


別にキッチンじゃなくてもよかったのでは・・・・?
そう思われたソコのお嬢様、鋭い!じゃ無かった、そ・・・・そんなことはないから~っ!(かなり弱気・・
せっかくキッチンなのに、オイルもパスタもストローもナスビもキュウリも使いません。
ああ、またお道具とシチュエーションを無駄にしてしまった。。。
それではまた明日。
おやつの時間にお会いしましょう(´・ω・`)ショボン
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けませんが、書いていく励みになります。。


まだ 今日は 暑いので アイスコーヒーと 共に 喰しますよ~♪ 甘甘な場面に 相応しい ブラックで!
携帯を 享一に渡しての 悪巧み 周さま、GOOD★JOBを 期待してるからねー。
リアルの方が 急に多忙となり ご無沙汰してました。 これからも 宜しくです(^o^)ゞbyebye☆