07 ,2010
翠滴 3 月櫻 8 (123)
■R指定要素があります、年齢に満たない方の閲覧はご遠慮下さい。
一度吐精を果たした躰はどこまでも重い官能が後を引く。
享一の腹の下で素直な欲望が再び兆し始めているが、縛られていては自分で慰めることも出来ない。皺くちゃの浴衣が纏わりつく脇腹、肩甲骨、耳の窪みへと唇を落とし手のひらで愛撫すると、もどかしげに肢体が蠢く。
「ア・・アマネ・・・・・は・・・・ぁあ。も・・・もう」
シーツにつけた肩で上体を支えアマネ、アマネと繰り返し、待ちわびて高く突き出した腰が揺れそうになるを隠そうと必死でこらえている。
固めてあった理性も吹き飛びそうなほど淫靡で扇情的な光景だ。
享一の視線も吐息も熱情に融解し翻弄され、陽炎のようにゆらめいている。敢無く陥落させられそうなるのを、自制心と忍耐を掻き集めてやり過ごす。
もっと、もっとと強請らせて享一がこの手に戻った事を強く実感したい。
和輝と由利に向けられた柔らかい微笑みも。瀬尾の現状と行く末を案じ曇る顔も。そういったこの男の誠実さや寛容さ・・・言い方を変えれば少々おめでたいのではないかと思ってしまえるところも、すべて愛しいと思っている。だが、今だけは享一の父親としての矜持も奪い、諸々の懸念も忘れさせて、永邨 周のものだとこの口から告げさせたい。
シーツに月光の淡い影を落としながら身悶える享一の浴衣をたくし上げ、滑らかな双丘を月下に晒せば甘やかな羞恥の声が上がる。後ろ手に縛られた腕は、大事なものを捜し求めるように周に向けて伸ばされ、肌蹴た浴衣の裾から伸びたしなやかな脚が躰を起こそうとシーツの上でもがいた。
少し持ち上げた背中を反らせて振り返り、切羽詰まった瞳で縋ってくる。
「ああ、アマネ・・・」
淫蕩を漂わせるなまめかしい姿態とは裏腹の至誠の黒い瞳に、涙が浮かぶ。
愛欲と精一杯の誠実さの入り交じった瞳が、独占欲に支配された心に柔らかく触れた。
「頼むから・・・これを・・・」黒曜石が肩越しに戒められた手首を指す。
「俺はちゃんと抱かれたいし、周を抱きたい。だから」自分に仕掛けておいたストッパーが音を立てて弾け飛ぶのを感じた。
きゅっと締まった腰に指を喰い込ませ持ち上げ固定し、指で解してあった窄まりに舌先を突きたて抉った。「あ・・・っ」 バランスを崩してうつ伏せになった享一からくぐもった喘ぎ声があがる。いつまで経っても羞恥をともなう行為から逃げようと、つま先が空しくシーツを掻いた。押し殺した嬌声を上げ、縛られたままの手が周の頭を押しのけようと額に伸びてくる。快感に染まり始めた指先は小さく震えている。
「ア・・マネ・・・さ、先にこれを解いて」
もはや布切れのようになった浴衣を纏わりつかせ、帯でクロスに固定された細い手首が出ている様はひどく官能的で嗜虐的な嗜好を誘発する。行灯の横に置いてあったローションの容器を取り、中身を上を向いた享一の手のひらに垂らした。指の間からとろみのある液体が滴り、艶めいた双丘やその狭間も濡らし享一の大腿を伝ってシーツに零れていく。
「や・・・、なに・・・?」
中身を全部垂らすと、空になった容器をシーツにうつ伏せる享一の目の前に置いた。
「この通り中身は空です。僕のは君の口で濡らしながら自分で塗りこめて下さい」
束の間、周をじっと見ていた享一が、ゆっくり自分の指で後孔を弄り始める。周の怒張を銜えようと顔を近づけた享一の吐息が掛かり、尾骶骨から脳髄へと一気に熱波が駆け上がった。
花弁の唇を開いた享一の顎を捉えると、自分の指が生み出す淫蕩に潤ませた瞳を向けてくる。
「享一」
「周が喜んでくれるなら、俺はなんでもしたいから」
猛った欲望に舌を這わせ口腔に誘う。まるで甘露を滴らせる果実でも口にしたように艶めく睫を緩く下ろす。
「俺を抱きたいと?」
薄っすらと視線を持ち上げ蕩けた瞳で肯く。
一瞬のうちに享一を押し倒していた。
突然の事に驚いて開いた唇を塞ぎ、縛られた腕もそのままの躰を仰臥させ両脚の膝がシーツにつくほど深く折り曲げた。
てらりと花明りにぬめる花蕾を抑えの利かない欲望で貫くと、唇の下から月光を散らすような享一の嬌声が上がった。
熱い隘路が享一の中へ中へと誘い、自由になる脚が宙を掻き周の腰に絡みつく。
唇を離し目を合わせると恍惚の表情を浮かべながら微笑を返してくる。
形はどうであれ、確かに享一に抱かれていると感じた。何度も突き上げながら強烈な快感と互いの世界を共有しながら、高みへと昇りつめていく。
到達の瞬間、豪奢な桜の群れに押し包まれた気がした。
暗闇を無数の桜の花弁が舞う。
自分の躰の中には桜の花弁が詰まっていた。神妙な顔つきで享一が語った事があった。どこからともなく落ちてくる花弁は自分の周りを渦になって巻き上がり、ふわりと纏わりついてはどこかへ消えてゆく。
実態のある腕が背中を抱く。
ローションでぬるついた手は戒めを抜けて、汗の浮いた背中に回されていた。
「離さない。俺が抱きたい抱かれたいと思うのは、周だけだ」
この世でたったひとり。本当の意味で、永邨 周を抱く事のできる男。
「離れている間も、轟音を上げて脈動する周の心臓の音をいつも俺は聞いていた」
「轟音?随分と傍迷惑な心臓だな」
「そうなんだ」
享一が笑う気配が密着した胸から直に伝わってくる。
「眠れなくなるくらいうるさくて・・・でも、そのお蔭でいつでも周を側に感じて自分の大切なものを見失わずにいられた」
これ以上の愛の告白があるだろうか?
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翠滴 1―1 →
翠滴 2―1 →
翠滴 3―1 →
一度吐精を果たした躰はどこまでも重い官能が後を引く。
享一の腹の下で素直な欲望が再び兆し始めているが、縛られていては自分で慰めることも出来ない。皺くちゃの浴衣が纏わりつく脇腹、肩甲骨、耳の窪みへと唇を落とし手のひらで愛撫すると、もどかしげに肢体が蠢く。
「ア・・アマネ・・・・・は・・・・ぁあ。も・・・もう」
シーツにつけた肩で上体を支えアマネ、アマネと繰り返し、待ちわびて高く突き出した腰が揺れそうになるを隠そうと必死でこらえている。
固めてあった理性も吹き飛びそうなほど淫靡で扇情的な光景だ。
享一の視線も吐息も熱情に融解し翻弄され、陽炎のようにゆらめいている。敢無く陥落させられそうなるのを、自制心と忍耐を掻き集めてやり過ごす。
もっと、もっとと強請らせて享一がこの手に戻った事を強く実感したい。
和輝と由利に向けられた柔らかい微笑みも。瀬尾の現状と行く末を案じ曇る顔も。そういったこの男の誠実さや寛容さ・・・言い方を変えれば少々おめでたいのではないかと思ってしまえるところも、すべて愛しいと思っている。だが、今だけは享一の父親としての矜持も奪い、諸々の懸念も忘れさせて、永邨 周のものだとこの口から告げさせたい。
シーツに月光の淡い影を落としながら身悶える享一の浴衣をたくし上げ、滑らかな双丘を月下に晒せば甘やかな羞恥の声が上がる。後ろ手に縛られた腕は、大事なものを捜し求めるように周に向けて伸ばされ、肌蹴た浴衣の裾から伸びたしなやかな脚が躰を起こそうとシーツの上でもがいた。
少し持ち上げた背中を反らせて振り返り、切羽詰まった瞳で縋ってくる。
「ああ、アマネ・・・」
淫蕩を漂わせるなまめかしい姿態とは裏腹の至誠の黒い瞳に、涙が浮かぶ。
愛欲と精一杯の誠実さの入り交じった瞳が、独占欲に支配された心に柔らかく触れた。
「頼むから・・・これを・・・」黒曜石が肩越しに戒められた手首を指す。
「俺はちゃんと抱かれたいし、周を抱きたい。だから」自分に仕掛けておいたストッパーが音を立てて弾け飛ぶのを感じた。
きゅっと締まった腰に指を喰い込ませ持ち上げ固定し、指で解してあった窄まりに舌先を突きたて抉った。「あ・・・っ」 バランスを崩してうつ伏せになった享一からくぐもった喘ぎ声があがる。いつまで経っても羞恥をともなう行為から逃げようと、つま先が空しくシーツを掻いた。押し殺した嬌声を上げ、縛られたままの手が周の頭を押しのけようと額に伸びてくる。快感に染まり始めた指先は小さく震えている。
「ア・・マネ・・・さ、先にこれを解いて」
もはや布切れのようになった浴衣を纏わりつかせ、帯でクロスに固定された細い手首が出ている様はひどく官能的で嗜虐的な嗜好を誘発する。行灯の横に置いてあったローションの容器を取り、中身を上を向いた享一の手のひらに垂らした。指の間からとろみのある液体が滴り、艶めいた双丘やその狭間も濡らし享一の大腿を伝ってシーツに零れていく。
「や・・・、なに・・・?」
中身を全部垂らすと、空になった容器をシーツにうつ伏せる享一の目の前に置いた。
「この通り中身は空です。僕のは君の口で濡らしながら自分で塗りこめて下さい」
束の間、周をじっと見ていた享一が、ゆっくり自分の指で後孔を弄り始める。周の怒張を銜えようと顔を近づけた享一の吐息が掛かり、尾骶骨から脳髄へと一気に熱波が駆け上がった。
花弁の唇を開いた享一の顎を捉えると、自分の指が生み出す淫蕩に潤ませた瞳を向けてくる。
「享一」
「周が喜んでくれるなら、俺はなんでもしたいから」
猛った欲望に舌を這わせ口腔に誘う。まるで甘露を滴らせる果実でも口にしたように艶めく睫を緩く下ろす。
「俺を抱きたいと?」
薄っすらと視線を持ち上げ蕩けた瞳で肯く。
一瞬のうちに享一を押し倒していた。
突然の事に驚いて開いた唇を塞ぎ、縛られた腕もそのままの躰を仰臥させ両脚の膝がシーツにつくほど深く折り曲げた。
てらりと花明りにぬめる花蕾を抑えの利かない欲望で貫くと、唇の下から月光を散らすような享一の嬌声が上がった。
熱い隘路が享一の中へ中へと誘い、自由になる脚が宙を掻き周の腰に絡みつく。
唇を離し目を合わせると恍惚の表情を浮かべながら微笑を返してくる。
形はどうであれ、確かに享一に抱かれていると感じた。何度も突き上げながら強烈な快感と互いの世界を共有しながら、高みへと昇りつめていく。
到達の瞬間、豪奢な桜の群れに押し包まれた気がした。
暗闇を無数の桜の花弁が舞う。
自分の躰の中には桜の花弁が詰まっていた。神妙な顔つきで享一が語った事があった。どこからともなく落ちてくる花弁は自分の周りを渦になって巻き上がり、ふわりと纏わりついてはどこかへ消えてゆく。
実態のある腕が背中を抱く。
ローションでぬるついた手は戒めを抜けて、汗の浮いた背中に回されていた。
「離さない。俺が抱きたい抱かれたいと思うのは、周だけだ」
この世でたったひとり。本当の意味で、永邨 周を抱く事のできる男。
「離れている間も、轟音を上げて脈動する周の心臓の音をいつも俺は聞いていた」
「轟音?随分と傍迷惑な心臓だな」
「そうなんだ」
享一が笑う気配が密着した胸から直に伝わってくる。
「眠れなくなるくらいうるさくて・・・でも、そのお蔭でいつでも周を側に感じて自分の大切なものを見失わずにいられた」
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□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
たぶんこれが最後のRかしらん・・(オワッタ=3)この座敷でエロエロなことしかしない2人に本当は桜も呆れてたりするかもしれません(笑)
更新が滞っていたにもかかわらず、前話にてたくさんのポチと拍手を頂き、ありがとうございました。
また、休止中にご訪問いただいたり応援をくださったみなさま本当に感謝です。
こんなヘタレな作者ですが、もう少しだけお付き合いいただけると幸いでございます。
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けませんが、書いていく励みになります。。
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たぶんこれが最後のRかしらん・・(オワッタ=3)この座敷でエロエロなことしかしない2人に本当は桜も呆れてたりするかもしれません(笑)
更新が滞っていたにもかかわらず、前話にてたくさんのポチと拍手を頂き、ありがとうございました。
また、休止中にご訪問いただいたり応援をくださったみなさま本当に感謝です。
こんなヘタレな作者ですが、もう少しだけお付き合いいただけると幸いでございます。
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きっと桜もガン見ですよ! ←いやな桜だ…
周さま、相変わらず素敵でございます。
享一たん、エロすぎ…
そして紙魚さんの文章は相変わらず美しい。
このままいつまでも読み続けていたいです。