07 ,2010
翠滴 3 月櫻 6 (121)
■R指定要素があります、年齢に満たない方の閲覧はご遠慮下さい。
襟を握り締めたままの享一の手を外させ、仰臥させた享一の頭の上にはりつける。
薄い唇が項を行き来する度、糊の利いた白いシーツの上で整った手指に拘束された手が、緩く開いたり閉じたりする。その度、薬指の指輪が月光の滑らかな光を反射した。
興奮に忙しない息を繰り返す唇を自分の薄い唇で塞ぐと、上手く呼吸が出来ないせいか頭を左右に振り弱い抵抗を見せる。接吻けを深めると、享一は頭上でクロスした手を強く握り締めた。
舌を絡めたまま戦慄き始めた漆黒の虹彩の中に、月と月光が雪崩を起こす桜の木が映る。潤んだ瞳の中で、桜も月も崩れて透明な雫となって流れては、また瞳の中に再生される。享一の瞳に囚われた桜を唇で吸い取れば、自分の中に桜の花弁が一気になだれ込み、盛大に舞い上がる気がした。夜気で肺を満たした享一の胸が大きく上下する。
2人して桜の群に溺れているような錯覚を起こす。
囚われているのは享一なのか桜なのか、それとも自分なのか。
空いた手で下肢の袷を割り、愛液で濡れた周の指先がそれを塗り込めるように愛撫を繰り返す。掌が往来する度、享一は身体を仰け反らせ羞恥と官能に翻弄される快感を堪えた。
快感に弱い躰を制するのは容易い。
熱が篭る肌を撫上げながら衣を払い、桜の香のまざる夜気にさらしてゆく。
下肢の全てを月の光の下に剥き出しにすると、繋いだ唇から恥じらいの呻き声が上がった。周の手に拘束された両手首がもがき出す。自分で浴衣の襟を開き、周を誘っておきながら含羞に顔を背ける。
石頭のモラルや羞恥心は厄介ではあるが、享一の美徳のひとつだ。性格上、一生捨て去る事は出来ないだろう。その美徳が征服者の心を煽り、狩る性である男の嗜虐心に火をつけるのを、自分も男の性をもつ享一はわかっていない。
「ア、アマネ・・・は・・・・ぅ」 甘い声と悩ましげな表情で、早々と訪れた精射感を堪えている。
耳朶も項も、襟の肌蹴て露になった慎ましやかな飾りのついた胸も何もかもが恥じらいで艶めき朱に染まる。やがて、潤んだ眼で見上げ全てをゆだねるように全身の力を抜いた。
表情に、仕草のひとつひとつに官能を刺激される。
総て自分だけに向けられるべき恥じらいであり、表情のはずだ。
力の抜けた享一から手を離しても、頭上で手首をクロスしたまま動かない。月明かりの白いシーツに半裸で横たわる姿は神聖な淡い光を纏いながらも、乱れた浴衣の皺や肌の窪みに淫靡で濃密な蜜の影を落とす。
すらりと伸びた大腿を両手で割り、エレクトした享一の素直な欲望を口に含む。
弛緩していた躰がびくんと小さく跳ね上がり、鼻に抜けるような甘い嬌声を上げた。喉の奥まで享一を誘いながら会陰を指で辿り、その奥の固い蕾をくじり一気に追い上げる。
甘い嬌声が切羽詰った声に変る。早々と登りつめた貪欲な躰が慰めを求めて、後孔の縁をなぞる周の指を隠微に追いかけてくる。
「ア・・・・ア、周・・・アマネ・・・・イク」
いよいよ極まり、全身が硬直しところで舌淫をやめる。
口から享一の張り詰めた怒張を抜き、四つん這いで享一に跨った。
「あ・・・・・アマネ?」
火照って今にも絶頂を迎えようとしていた躰が急に放り出され、享一が狼狽える。切羽詰まった瞳が周の翠の瞳に縋ってきた。感情が丸裸になった享一の表情は誠実な人柄がそのまま浮き上がり、あどけなくさえ見えて庇護欲を掻きたてる。享一のこの表情を知っているのは、果たして自分だけだろうか。
享一の愛液に塗れた指を、月光が美しい陰影をつける花弁の唇に塗りつけ狭間に押し込む。驚きながらも反射的に柔らかく巻きついてくる舌の根元や裏、口腔壁を蹂躙し唾液をしっかり絡ませ引き抜いた。
「自分の先走りの味はどうですか?次は君のイク時のあの最高にセクシーな顔を見せてください」
はっと瞳が見開くのと同時に、享一の唾液の絡む指を享一の中に突き入れた。たった一本の指の容赦ない責めに、極まっていた快楽はあっけなく陥落する。悶える間もなく享一は吐精した。
「ア・・・・アァ・・・・・」
白濁した欲望で肌蹴た胸や浴衣を汚しながら全身をしならせる。
切なげに眉根を寄せ、半開きの唇から熱い息を吐く。決定打での吐精で無かったせいか、長く引き摺る快感に艶かしい喉の突起を晒しながら顎が上がった。
焦点の合わなくなった瞳に緩く目蓋を下ろし、うっとりと頬を染める。無防備で、その胸の内で燻ぶる恋情が全身から甘く蕩け出す。深く情を交わした者のみが知ることのできる享一の姿だ。
瀬尾が享一にキスをした時、享一はこちらに背を向けておりその顔は見えなかった。
全くつまらない事だと思う。だが今、その時の享一の表情が酷く気になる。
いや、もっと。
自分の深層を探れば、あのキスの場面の背後にある2人の関りの深さが気になった。
瀬尾の顔に浮かんだ優越。こちらに背を向けたままだった享一の心情。
享一が瀬尾に心を明け渡す瞬間は無かったか。ほんの小さじ一杯ほどの感情でも、瀬尾に預ける事は無かったのか。
『周、桜だ』
考え始めると限が無い。憶測も推測も所詮真実には程遠く、知らない方がいい事もある。
そう思うからこそ、桜だと呟いた享一の言葉を心に打ち込んだ。
自分の脆弱な心を嘲笑うように桜が再びざわめく。
紅の差す翠の目が流し目で桜を一瞥すると、ひときわ豪奢な笑みを享一に向ける。
享一の身体を跨いで膝立ちになった周は、自分の帯を解くとシュッと衣擦れの音を立てながら引き抜いた。
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襟を握り締めたままの享一の手を外させ、仰臥させた享一の頭の上にはりつける。
薄い唇が項を行き来する度、糊の利いた白いシーツの上で整った手指に拘束された手が、緩く開いたり閉じたりする。その度、薬指の指輪が月光の滑らかな光を反射した。
興奮に忙しない息を繰り返す唇を自分の薄い唇で塞ぐと、上手く呼吸が出来ないせいか頭を左右に振り弱い抵抗を見せる。接吻けを深めると、享一は頭上でクロスした手を強く握り締めた。
舌を絡めたまま戦慄き始めた漆黒の虹彩の中に、月と月光が雪崩を起こす桜の木が映る。潤んだ瞳の中で、桜も月も崩れて透明な雫となって流れては、また瞳の中に再生される。享一の瞳に囚われた桜を唇で吸い取れば、自分の中に桜の花弁が一気になだれ込み、盛大に舞い上がる気がした。夜気で肺を満たした享一の胸が大きく上下する。
2人して桜の群に溺れているような錯覚を起こす。
囚われているのは享一なのか桜なのか、それとも自分なのか。
空いた手で下肢の袷を割り、愛液で濡れた周の指先がそれを塗り込めるように愛撫を繰り返す。掌が往来する度、享一は身体を仰け反らせ羞恥と官能に翻弄される快感を堪えた。
快感に弱い躰を制するのは容易い。
熱が篭る肌を撫上げながら衣を払い、桜の香のまざる夜気にさらしてゆく。
下肢の全てを月の光の下に剥き出しにすると、繋いだ唇から恥じらいの呻き声が上がった。周の手に拘束された両手首がもがき出す。自分で浴衣の襟を開き、周を誘っておきながら含羞に顔を背ける。
石頭のモラルや羞恥心は厄介ではあるが、享一の美徳のひとつだ。性格上、一生捨て去る事は出来ないだろう。その美徳が征服者の心を煽り、狩る性である男の嗜虐心に火をつけるのを、自分も男の性をもつ享一はわかっていない。
「ア、アマネ・・・は・・・・ぅ」 甘い声と悩ましげな表情で、早々と訪れた精射感を堪えている。
耳朶も項も、襟の肌蹴て露になった慎ましやかな飾りのついた胸も何もかもが恥じらいで艶めき朱に染まる。やがて、潤んだ眼で見上げ全てをゆだねるように全身の力を抜いた。
表情に、仕草のひとつひとつに官能を刺激される。
総て自分だけに向けられるべき恥じらいであり、表情のはずだ。
力の抜けた享一から手を離しても、頭上で手首をクロスしたまま動かない。月明かりの白いシーツに半裸で横たわる姿は神聖な淡い光を纏いながらも、乱れた浴衣の皺や肌の窪みに淫靡で濃密な蜜の影を落とす。
すらりと伸びた大腿を両手で割り、エレクトした享一の素直な欲望を口に含む。
弛緩していた躰がびくんと小さく跳ね上がり、鼻に抜けるような甘い嬌声を上げた。喉の奥まで享一を誘いながら会陰を指で辿り、その奥の固い蕾をくじり一気に追い上げる。
甘い嬌声が切羽詰った声に変る。早々と登りつめた貪欲な躰が慰めを求めて、後孔の縁をなぞる周の指を隠微に追いかけてくる。
「ア・・・・ア、周・・・アマネ・・・・イク」
いよいよ極まり、全身が硬直しところで舌淫をやめる。
口から享一の張り詰めた怒張を抜き、四つん這いで享一に跨った。
「あ・・・・・アマネ?」
火照って今にも絶頂を迎えようとしていた躰が急に放り出され、享一が狼狽える。切羽詰まった瞳が周の翠の瞳に縋ってきた。感情が丸裸になった享一の表情は誠実な人柄がそのまま浮き上がり、あどけなくさえ見えて庇護欲を掻きたてる。享一のこの表情を知っているのは、果たして自分だけだろうか。
享一の愛液に塗れた指を、月光が美しい陰影をつける花弁の唇に塗りつけ狭間に押し込む。驚きながらも反射的に柔らかく巻きついてくる舌の根元や裏、口腔壁を蹂躙し唾液をしっかり絡ませ引き抜いた。
「自分の先走りの味はどうですか?次は君のイク時のあの最高にセクシーな顔を見せてください」
はっと瞳が見開くのと同時に、享一の唾液の絡む指を享一の中に突き入れた。たった一本の指の容赦ない責めに、極まっていた快楽はあっけなく陥落する。悶える間もなく享一は吐精した。
「ア・・・・アァ・・・・・」
白濁した欲望で肌蹴た胸や浴衣を汚しながら全身をしならせる。
切なげに眉根を寄せ、半開きの唇から熱い息を吐く。決定打での吐精で無かったせいか、長く引き摺る快感に艶かしい喉の突起を晒しながら顎が上がった。
焦点の合わなくなった瞳に緩く目蓋を下ろし、うっとりと頬を染める。無防備で、その胸の内で燻ぶる恋情が全身から甘く蕩け出す。深く情を交わした者のみが知ることのできる享一の姿だ。
瀬尾が享一にキスをした時、享一はこちらに背を向けておりその顔は見えなかった。
全くつまらない事だと思う。だが今、その時の享一の表情が酷く気になる。
いや、もっと。
自分の深層を探れば、あのキスの場面の背後にある2人の関りの深さが気になった。
瀬尾の顔に浮かんだ優越。こちらに背を向けたままだった享一の心情。
享一が瀬尾に心を明け渡す瞬間は無かったか。ほんの小さじ一杯ほどの感情でも、瀬尾に預ける事は無かったのか。
考え始めると限が無い。憶測も推測も所詮真実には程遠く、知らない方がいい事もある。
そう思うからこそ、桜だと呟いた享一の言葉を心に打ち込んだ。
自分の脆弱な心を嘲笑うように桜が再びざわめく。
紅の差す翠の目が流し目で桜を一瞥すると、ひときわ豪奢な笑みを享一に向ける。
享一の身体を跨いで膝立ちになった周は、自分の帯を解くとシュッと衣擦れの音を立てながら引き抜いた。
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□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
すみません。我が家の人事異動で生活が激変です。早速リコメが遅れまくっています。
とりあえず、小説が先かとこっちを先に・・・・コメを書き込んでくださったみなさま遅くなってすみません!!
相方との初同居・・・何かとスリリングです。リズムを掴むまでもう少しかかると思います。
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けませんが、書いていく励みになります。。
■拍手のリコメの閲覧は、サイト左上の”もんもんもん”の
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お手数ですが、踏んでやってくださいませ。
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すみません。我が家の人事異動で生活が激変です。早速リコメが遅れまくっています。
とりあえず、小説が先かとこっちを先に・・・・コメを書き込んでくださったみなさま遅くなってすみません!!
相方との初同居・・・何かとスリリングです。リズムを掴むまでもう少しかかると思います。
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けませんが、書いていく励みになります。。
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(☆_,☆o)キラ-ン
今回、100メラメラぐらい燃えていますね~~、丁寧語もデター!!
傀儡の時に私も、グラッと来た瀬尾さん、いい男なんですよね~。
アマネさまも渋々認めているだけに(どこにも書いてないけど、認めているクサイ)
嫉妬メラメラ~~~~(ฺ◣д◢)/シテナイゾー(←アマネさま)
その気持ちを決して享一には悟らせないように「お仕置き」開始でしょうか?
浴衣の帯をシュルンって引きぬきましたものね~~o(~o~;):ハァハァ・・
お待ちしてたから余計に興奮!!
でも、慣れない生活環境でPCに触れるのも、ままならないのでしょうね。
息子ちゃんもいるのに、初の同居生活ってオシャレな外国映画みたいですよ。
映画だとひと波乱ありそうですが、紙魚さんは、新生活を楽しんでください。
じれじれしながら待っていまーす!!