04 ,2010
さくらんぼさまより、SSを頂きました♪
先日、「テツヲるーむ」の方でUPしたイラストに
『BL風味のさくらんぼ』の柚子季 杏さまが文章を書いてくださいました(*^▽^*)
もう既に柚子季さまのサイトでご覧になった方も多いかと思いますが、
本当に素敵な散文詩でご本人の承諾を頂きまして
こちらでもUPさせていただく事にしました。
柚子季さまといえば、しなやかで繊細な中にも一本筋の通った男らしさをもつという
魅力溢れる登場人物を書かれる方なのですが、
今作品にもその魅力を存分に発揮していただいております。
既読の方もそうでない方も今一度、
柚子季さまの繊細かつ細やかな心情溢れる世界をお楽しみくださいませ。
*****
こちらでもUPさせていただく事にしました。
柚子季さまといえば、しなやかで繊細な中にも一本筋の通った男らしさをもつという
魅力溢れる登場人物を書かれる方なのですが、
今作品にもその魅力を存分に発揮していただいております。
既読の方もそうでない方も今一度、
柚子季さまの繊細かつ細やかな心情溢れる世界をお楽しみくださいませ。
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堕ち往き
堕ち逝くとも――
寂しい、と。
哀しい、と。
遥か遠い場所から届いたその声。
一向に止む気配の無い声に、心が引寄せられて。
天界の規律を破り舞い降りた下界で出逢ったのは、寂しい独りの男だった。
地界の悪魔よりも暗い色を宿した瞳。
地位も美貌も手中に収めて見えるその男の中から感じる、虚空。
「貴方は、何がそんなに悲しいの? これほどまでに恵まれているのに」
覗き見た彼の心に、色と呼べるものは何も見当たらなくて。
息苦しいほど感じる空虚な世界に、たった独り。
問い掛けた僕の声は、本来であれば人間である彼の耳には届く筈が無かったのに。
「誰だ貴様は? どうやってここまで入って来た?」
セキュリティの見直しが必要だな、等と冷静に語る男の姿に、驚かされたのは僕の方だった。彼には声どころか、僕の姿形までもが見えている。
「コスプレか? 生憎だが、俺にはそんな趣味は無い。警備を呼ばれたくなければとっとと出て行く事だな」
「コスプレ? って、何? 僕は天使だよ。貴方が呼んだんだ」
「俺が? ――ふっ、馬鹿馬鹿しい」
「本当だよ、僕は貴方を救う為にやって来たんだ」
「救う? 貴様が、この俺を? 誰の差し金か知らんが、必要無い」
そんな遣り取りを交わしたのは、いつだったか。
「――俺がこの羽を捥いだら、お前は天に帰る事が出来なくなるな……」
包み込んだ羽の内、そう嘯いて嗤う貴方に、いつしか僕は恋をしていた。
そして彼にとっても僕は多分唯一の、たったひとつの存在になれたのだろう。
力任せに掴まれた羽は、折れそうなほどに痛く。
取り残されまいと縋る彼の心情が、伝わって来るかのようだった。
「……良いよ」
「ん? 何がだ?」
「それで貴方が安心出来るなら、僕は何処まででも堕ちてあげる。貴方がそれを望むなら……僕は、貴方を救う為にやって来たんだから」
「――馬鹿な事を……」
微かに震える彼の肩を、ふぁさりと音を立て自由になる片一方の翼で優しく抱き込めば、無色だった彼の世界に、幾許か見える煌く色。
この色を齎した存在が僕ならば、僕は本当に、何処まで堕ちても良いと思えた。
「俺の命が尽きた時、この羽が無ければ道案内も頼めまい」
「……そうだね。その時が来たら、僕が君を連れて行くから。その時まではずっと、僕は貴方の傍に――」
例えそれが天の規律に刃向かう事になったとしても、貴方がそれを望むのならば……。
――堕ちて 堕ち往き 堕ち逝くとも――
哀しい、と。
遥か遠い場所から届いたその声。
一向に止む気配の無い声に、心が引寄せられて。
天界の規律を破り舞い降りた下界で出逢ったのは、寂しい独りの男だった。
地界の悪魔よりも暗い色を宿した瞳。
地位も美貌も手中に収めて見えるその男の中から感じる、虚空。
「貴方は、何がそんなに悲しいの? これほどまでに恵まれているのに」
覗き見た彼の心に、色と呼べるものは何も見当たらなくて。
息苦しいほど感じる空虚な世界に、たった独り。
問い掛けた僕の声は、本来であれば人間である彼の耳には届く筈が無かったのに。
「誰だ貴様は? どうやってここまで入って来た?」
セキュリティの見直しが必要だな、等と冷静に語る男の姿に、驚かされたのは僕の方だった。彼には声どころか、僕の姿形までもが見えている。
「コスプレか? 生憎だが、俺にはそんな趣味は無い。警備を呼ばれたくなければとっとと出て行く事だな」
「コスプレ? って、何? 僕は天使だよ。貴方が呼んだんだ」
「俺が? ――ふっ、馬鹿馬鹿しい」
「本当だよ、僕は貴方を救う為にやって来たんだ」
「救う? 貴様が、この俺を? 誰の差し金か知らんが、必要無い」
そんな遣り取りを交わしたのは、いつだったか。
「――俺がこの羽を捥いだら、お前は天に帰る事が出来なくなるな……」
包み込んだ羽の内、そう嘯いて嗤う貴方に、いつしか僕は恋をしていた。
そして彼にとっても僕は多分唯一の、たったひとつの存在になれたのだろう。
力任せに掴まれた羽は、折れそうなほどに痛く。
取り残されまいと縋る彼の心情が、伝わって来るかのようだった。
「……良いよ」
「ん? 何がだ?」
「それで貴方が安心出来るなら、僕は何処まででも堕ちてあげる。貴方がそれを望むなら……僕は、貴方を救う為にやって来たんだから」
「――馬鹿な事を……」
微かに震える彼の肩を、ふぁさりと音を立て自由になる片一方の翼で優しく抱き込めば、無色だった彼の世界に、幾許か見える煌く色。
この色を齎した存在が僕ならば、僕は本当に、何処まで堕ちても良いと思えた。
「俺の命が尽きた時、この羽が無ければ道案内も頼めまい」
「……そうだね。その時が来たら、僕が君を連れて行くから。その時まではずっと、僕は貴方の傍に――」
例えそれが天の規律に刃向かう事になったとしても、貴方がそれを望むのならば……。
美しいお話をお読みいただいた後に、元になったわたくしの駄・イラストでございます(;^_^A
私のこの拙い絵に、美しい孤独と愛のお話をつけてくださった
柚子季 杏さまに心よりの感謝を送りたいと思います。
柚子季さま、本当にありがとうございます ( ̄3 ̄)ぶちゅう~!!
すみません、タイトルが激長な事に気付き縮めました。
や~~~ん(TωT) この辺に自分のセンスのなさが滲んでくるんですよね。
わわ、柚子季さんのお名前が柚子木さんに・・・・失礼しました~~すみません!
変換登録がリセットされていたのを忘れてましたm(_ _)mm(_ _)mm(_ _)m
ランキングに参加しています
お読みになられましたら踏んでいただけると嬉しいです。
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普段の柚子季とはちょっと表現を変えてのSSにチャレンジしてみたのですが……こちらに飾って頂くと、稚拙さが際立つ気がします(苦笑)
こんな駄文を快くお納め下さってありがとうございました♪
本人楽しんで書かせて頂きました!!
やっぱり紙魚さんのイラストって素敵です…イメージが広がります。
ありがとうございました゜+.゜.(⊃Д`*)゜+.゜
紙魚さまのFANの皆様、イラストのイメージを損なっていたら本当にすみません!!