04 ,2010
翠滴 3 born 13 (96)
■R指定要素があります、ご注意ください下さい。
「卑猥だな、享一」
ほんの少し掠れた低い声に、周の顔を仰ぎ見た。
周の視線に促されるように眼球を動かす。
夜の帳を閉じ込めた大きなガラスに獣のように這い、己の牡を勃てながら男の性を貪る貧相な裸体を晒す男と目が合った。自らのペニスに鮮やかな緋色の紐で縛り、突き出した尻をいやらしく振る男。唾液の滴る唇で牡芯を頬張る姿は周の言う通り卑猥で下品で、救いようのないほど淫猥で妖しげな生き物に見えた。
音を立てて血の気が引く。
淫乱な自分の本性を見せつけられ、眩暈がしそうだった。
狼狽え引こうとした頭を素早く捕らえられ、抗う隙も無く性急に咽喉の奥を侵された。
口腔で大きさを増した熱の塊に、戒められた下腹がずくりと疼く。隠微に見上げる目線の先に、うっすら紅潮し汗に濡れる周の顔があった。男らしい色香を漂わせる眉根の下の瞳には、確かに燃え盛る熱情がある。
だがその奥に、享一を解体し本質を見抜こうとする鋭く研ぎ澄まされた輝きを見つけ、胸が締め付けられた。
ああ、どうしようもなくこの男に惚れている。
静かに息を吐き、瞳を閉じた。欲望の先端に柔らかい咽喉を擦り付け、口腔を埋める塊に何度も接吻けた。今までどことなく肉体を繋げる為の助走のように捉えていた行為が、今は意味を持ち、相手を愛しいむための大切な行為のように思える。
「ふっ・・・・享一・・・・」
快感に色づく掠れた声につられ、上を向いた瞬間口中の熱が引き抜かれた。「あ‥」っと漏れた溜息交じりの声を断つように半開きの口許や頬に重みのある温もりが迸る。
唖然と見上げる享一の口許から周の放った白濁が伝い、ほたりと顎からシーツへ滴り落ちた。
無意識に濡れた口許を拭おうと手の甲を押し付けた途端、小さな木の葉が突風に攫われる勢いでシーツの上に放り出され、振り返ろうとしたところをシーツに押さえつけられた。
「あ・・・・や、アマ・・・」
伸びてきた周の指が口許の精液を拭い、唇を割る。一瞬で口の中に広がった周の味に、頭の芯まで発情し始めた。いつの間にか夢中で舌を絡める指は、享一の舌を味わい挑発する周の舌にかわり、苦味の残る唾液を奪い合うみたいに貪りあった。
心も躰も興奮し、煽られ、周に向けて暴走し始める。
戒められた性が感情の昂ぶりに呼応し、荒れ狂った血潮にドクドクと脈を打った。キスだけで触発の危険を孕むいたいけな肌を、周の精の混じる唾液で濡れた指が滑る。
気紛れに脊髄をなぞっていたかのように思えた指は尾骶骨を刺激し、泣き声のような切ない声を上げさせると、逼迫する官能を牽きながら双丘の狭間に割り入った。期待と興奮で気が触れそうになって、更に結合を深める唇を重ねたまま強く眼を閉じた。ツプリ、とつぼまりを破られる感触に、足の爪の先から髪の毛の先端までざわっと痺れた。
「う・・・・んっ、ん・・」
指一本も呑み込んでいない。
とば口に浅く埋まる指先の間接ひとつに震える程に感じるのは、周だからだ。周の一部だと思うからこそ心も躰も切ないくらいに騒がしくどよめき、震えた。
「固いな・・・・・」 呟く周の吐息が項を撫で、かっと熱が燈る。
瀬尾と最後に躰を重ねてから半月以上が経っていた。
躰はリセットできても、自分の中に残る瀬尾の影に心のどこかで怯えている。
思考を邪魔するように、また少し周の指がめり込んだ。
ゆっくりと侵食する指にかき回され、恐ろしいくらい一気に上り詰める苦痛と快感、歓喜と怯えで揉みくちゃになる感情が熱波に翻弄される。
「ああ、イヤ・・やめ・・・や、はぁ・・・っ」
完全に埋まった指の根元で襞を広げるように緩慢に円を書く。周の手の動きに合わせた指先が焦れ始めた官能の塊を浅く掠める度、心もとない刺激に餓え切った欲望が煽られる。
足りないと躰中が泣き叫んだ。
更なる快感を求めて腰が蠢き出すのを止められなかった。もう感情も躰も昂ぶって、我慢できないところまで来ているのがわかっている筈なのに、周は長い指を埋めただけで更なる情をかけてくれようとはしない。
「アマネ・・・あ・・・あ」
「まだ固さが取れていない。このままだと享一が辛い」 余裕を漂わせる声にかぶりを振る。
周の昂ぶりのあたる大腿がじりじり焦げてゆく。いくら渇望していても手の届かなかった熱が、今ここにあるのに、与えてもらえないもどかしさに乱れた喘ぎと共に欲望の涙が頬を伝う。
辛くて、切なくて、恋しくて、欲しくて。
ああ、愛しい・・・・。
心の奥底の封印を破いて、艶やかな雄の色香を纏う男の記憶が生々しいほどに鮮明に浮き上がる。
快感と共にゆっくりと体温を上げる、理想的な筋肉を覆う肌。抱き合うほどに濃度が増す花の匂い。思考も理性も蹴散らす吐息と我が身を切り裂く情熱。
鮮烈で淫靡なうねりの中にありながら、自分を抱く男の強い生命力や瑞々しい魂の躍動を感じている。
周・・・・。
かつては手を伸ばせば、いつでも男も快感も与えられると思っていた。
こんなに遠くなってしまった今、どうすればいい。どうすればまたあの情熱を抱けるというのか。
「は・・・・あぁ。周・・・」
涙で霞む目で周を振り返った。
<< ←前話 / 次話→ >>
目次を見る
翠滴 1―1 →
翠滴 2―1 →
翠滴 3―1 →
「卑猥だな、享一」
ほんの少し掠れた低い声に、周の顔を仰ぎ見た。
周の視線に促されるように眼球を動かす。
夜の帳を閉じ込めた大きなガラスに獣のように這い、己の牡を勃てながら男の性を貪る貧相な裸体を晒す男と目が合った。自らのペニスに鮮やかな緋色の紐で縛り、突き出した尻をいやらしく振る男。唾液の滴る唇で牡芯を頬張る姿は周の言う通り卑猥で下品で、救いようのないほど淫猥で妖しげな生き物に見えた。
音を立てて血の気が引く。
淫乱な自分の本性を見せつけられ、眩暈がしそうだった。
狼狽え引こうとした頭を素早く捕らえられ、抗う隙も無く性急に咽喉の奥を侵された。
口腔で大きさを増した熱の塊に、戒められた下腹がずくりと疼く。隠微に見上げる目線の先に、うっすら紅潮し汗に濡れる周の顔があった。男らしい色香を漂わせる眉根の下の瞳には、確かに燃え盛る熱情がある。
だがその奥に、享一を解体し本質を見抜こうとする鋭く研ぎ澄まされた輝きを見つけ、胸が締め付けられた。
ああ、どうしようもなくこの男に惚れている。
静かに息を吐き、瞳を閉じた。欲望の先端に柔らかい咽喉を擦り付け、口腔を埋める塊に何度も接吻けた。今までどことなく肉体を繋げる為の助走のように捉えていた行為が、今は意味を持ち、相手を愛しいむための大切な行為のように思える。
「ふっ・・・・享一・・・・」
快感に色づく掠れた声につられ、上を向いた瞬間口中の熱が引き抜かれた。「あ‥」っと漏れた溜息交じりの声を断つように半開きの口許や頬に重みのある温もりが迸る。
唖然と見上げる享一の口許から周の放った白濁が伝い、ほたりと顎からシーツへ滴り落ちた。
無意識に濡れた口許を拭おうと手の甲を押し付けた途端、小さな木の葉が突風に攫われる勢いでシーツの上に放り出され、振り返ろうとしたところをシーツに押さえつけられた。
「あ・・・・や、アマ・・・」
伸びてきた周の指が口許の精液を拭い、唇を割る。一瞬で口の中に広がった周の味に、頭の芯まで発情し始めた。いつの間にか夢中で舌を絡める指は、享一の舌を味わい挑発する周の舌にかわり、苦味の残る唾液を奪い合うみたいに貪りあった。
心も躰も興奮し、煽られ、周に向けて暴走し始める。
戒められた性が感情の昂ぶりに呼応し、荒れ狂った血潮にドクドクと脈を打った。キスだけで触発の危険を孕むいたいけな肌を、周の精の混じる唾液で濡れた指が滑る。
気紛れに脊髄をなぞっていたかのように思えた指は尾骶骨を刺激し、泣き声のような切ない声を上げさせると、逼迫する官能を牽きながら双丘の狭間に割り入った。期待と興奮で気が触れそうになって、更に結合を深める唇を重ねたまま強く眼を閉じた。ツプリ、とつぼまりを破られる感触に、足の爪の先から髪の毛の先端までざわっと痺れた。
「う・・・・んっ、ん・・」
指一本も呑み込んでいない。
とば口に浅く埋まる指先の間接ひとつに震える程に感じるのは、周だからだ。周の一部だと思うからこそ心も躰も切ないくらいに騒がしくどよめき、震えた。
「固いな・・・・・」 呟く周の吐息が項を撫で、かっと熱が燈る。
瀬尾と最後に躰を重ねてから半月以上が経っていた。
躰はリセットできても、自分の中に残る瀬尾の影に心のどこかで怯えている。
思考を邪魔するように、また少し周の指がめり込んだ。
ゆっくりと侵食する指にかき回され、恐ろしいくらい一気に上り詰める苦痛と快感、歓喜と怯えで揉みくちゃになる感情が熱波に翻弄される。
「ああ、イヤ・・やめ・・・や、はぁ・・・っ」
完全に埋まった指の根元で襞を広げるように緩慢に円を書く。周の手の動きに合わせた指先が焦れ始めた官能の塊を浅く掠める度、心もとない刺激に餓え切った欲望が煽られる。
足りないと躰中が泣き叫んだ。
更なる快感を求めて腰が蠢き出すのを止められなかった。もう感情も躰も昂ぶって、我慢できないところまで来ているのがわかっている筈なのに、周は長い指を埋めただけで更なる情をかけてくれようとはしない。
「アマネ・・・あ・・・あ」
「まだ固さが取れていない。このままだと享一が辛い」 余裕を漂わせる声にかぶりを振る。
周の昂ぶりのあたる大腿がじりじり焦げてゆく。いくら渇望していても手の届かなかった熱が、今ここにあるのに、与えてもらえないもどかしさに乱れた喘ぎと共に欲望の涙が頬を伝う。
辛くて、切なくて、恋しくて、欲しくて。
ああ、愛しい・・・・。
心の奥底の封印を破いて、艶やかな雄の色香を纏う男の記憶が生々しいほどに鮮明に浮き上がる。
快感と共にゆっくりと体温を上げる、理想的な筋肉を覆う肌。抱き合うほどに濃度が増す花の匂い。思考も理性も蹴散らす吐息と我が身を切り裂く情熱。
鮮烈で淫靡なうねりの中にありながら、自分を抱く男の強い生命力や瑞々しい魂の躍動を感じている。
周・・・・。
かつては手を伸ばせば、いつでも男も快感も与えられると思っていた。
こんなに遠くなってしまった今、どうすればいい。どうすればまたあの情熱を抱けるというのか。
「は・・・・あぁ。周・・・」
涙で霞む目で周を振り返った。
<< ←前話 / 次話→ >>
目次を見る
翠滴 1―1 →
翠滴 2―1 →
翠滴 3―1 →
□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
○ドさまのご希望で、一旦捨てたアワワなエピを若干ソフトにして組み込んでみました♪
無理から心情を組み込むせいか全く話が進みません。
ようやっと指です(先日、Yさまがコメントで同じようなこと仰ってたな~・笑)
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けない私ですがですが、書いていく励みになります。。
■拍手のリコメの閲覧は、サイト左上の”もんもんもん”の
ブログ拍手コメ・メールのお返事か、もしくは*こちら*からお越しくださいませ。
ランキングに参加しています
よろしければ、踏んでいってくださいませ~♪
↓↓↓

にほんブログ村

○ドさまのご希望で、一旦捨てたアワワなエピを若干ソフトにして組み込んでみました♪
無理から心情を組み込むせいか全く話が進みません。
ようやっと指です(先日、Yさまがコメントで同じようなこと仰ってたな~・笑)
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けない私ですがですが、書いていく励みになります。。
■拍手のリコメの閲覧は、サイト左上の”もんもんもん”の
ブログ拍手コメ・メールのお返事か、もしくは*こちら*からお越しくださいませ。
ランキングに参加しています
よろしければ、踏んでいってくださいませ~♪
↓↓↓

にほんブログ村

嬉しいくせに…