04 ,2010
翠滴 3 born 12 (95)
■R指定要素があります、ご注意ください下さい。
前髪に隠れた享一の瞳が無性に見たくなる。
額にかかる髪を掻き揚げると、切なげに眉根を寄せその下で綺麗に生えそろった睫の縁取る艶かしさに染まる目蓋が、黒い魅惑を隠している。
血色も鮮やかな唇を唾液で濡らし、自分の欲情を美味そうに咥える様に頭の芯が沸騰する。
およそこの2週間、享一を煽り続けた。
それは自分にとっても、自制心と激しい欲望の葛藤の毎日だった。
腹立たしさから出た制裁の気持ちも確かにあった。だが、自分の中に何らかの区切りをつけた今こそ、享一の中にある世間体や倫理観といった社会的な建前みたいなものを完全に追い出し、享一に腹を括らせるチャンスだと思った。
心を預けながら、いつまでも煮え切らない態度を取る享一に、生涯を伴にする相手が自分であるということをはっきり認識させ覚悟を決めさせる。これまでみたいなぬるさでは、この男に余計な時間を与えるのみで、決断を引き出すのは到底無理だということが、今回の事ですぎるくらいわかった。
かきあげた享一の髪の毛を強く掴むと汗を滲ませた額があらわになり、その下の甘く蕩け切り焦点の定まらなくなった黒い虹彩が見上げてくる。じわりと視線が合うと弾かれたように目の縁まで朱に染め、綺麗に生え揃った睫で瞳を隠す。その癖、舌の動きはより滑らかに敏感な場所に絡みつき、滲み出る露を丁寧に舌で掬い上げ唇で吸い取った。
もう一度、顎を持ち上げこちらを向かせようとすると、恥ずかしそうに抵抗を見せるも、結局は吸い寄せられるように潤んだ黒曜石の瞳を向けてくる。少し困ったような、それでいてグラマラスな甘い雰囲気を滲ませる視線を、恥ずかしげに逸らし破壊的な力で悩殺してくる。
享一は自分の意思で、あの優雅な檻と化したガーデンスイートの囚人(めしうど)となった自分の前に現れた。それは、可憐な揚羽蝶が甘くて強い毒の香に誘われて、おびき寄せられる図に近かったかもしれない。
だが、こうしてこの腕に舞い戻ったからにはもう逃がさない。
迸るようにして享一の口を衝いて出た「殺してくれ」という言葉は、切れ味最悪の諸刃の刃となって胸に突き刺さる。再び俯いた享一の左肩甲骨の下、心臓の裏あたりを爪の先で引っ掻くと背中が震えた。享一の素直な反応に周は薄く笑う。
ここに、死にたいなどと思う余裕も無くなるいくらい永邨 周を充填してやる。
自分を包む舌のぬめりと温かさが気持ちいい。舌技としてはまだ拙さが残るが、自分の牡を銜えているのが享一だというそれだけで頭の中枢が熱く熟れ痺れた。
緩かに下ろされ発情に艶めく瞼の縁を飾る睫毛が濡れている。戒められる性が苦しいのか、時折苦しげな貌をし、小さく切なげな喘ぎ声をあげる。服従する獣の姿勢を強いられた背中は、しっとりと汗が滲み、腰の辺りがもの欲しげに淫靡な動きで揺れ始めている。
この程度では赦さない。
もっと狂って、身も世もなく自分の名を叫び、懇願し、本心を曝け出すまで享一が死よりも望むものを与えるつもりはない。
あからさまに揺れ出した享一の願望に、熱い息を吐く薄い唇が深い笑みを浮かべる。
弱みに付け込むのは信条に反する。だが、こちらも我慢の限界だ。
かつて享一は一緒に堕ちてくれると約束をした。
今こそ、この石頭に根強く巣くう糞みたいなモラルを叩き砕いて、俺がいないと息が出来なくなる所まで堕してやる。
ふと、恨めしげに見上げる享一と目が合った。
清廉な桜の花弁を思わせる唇は淫らに濡れ、獣の凶暴さを喚起させる血の色に染まる。
ふつふつと血が沸き、牡蕊に躰中の血液が押し寄せ、享一の口の中で膨張した。
緩慢に目蓋が伏せられ黒曜石が消えると、享一は欲望の全てを呑み込んだ。
「・・・・・・うっ。」
享一の咽喉の狭さと熱さに、全神経が奪われた。
眉根を寄せ快感に昂揚する周の頬を汗が伝い、享一の背中へと滑り落ちる。
「く・・・・、享一・・・。」
享一の頭がゆっくり前後に動き始める。ガラスに俯いた享一の一部始終が映っていた。
緋色の紐の搦まる牡を勃て、しなやかな躰をシーツに這わせた服従の姿勢で、我が身と同じ牡の徴をその口に咥えている。以前の享一では考えられない姿だ。
享一の変化を感じ取る心は、上り詰める熱の速度を緩やかなものへと変えてゆく。
ガラスの外、都会の闇の中でミモザの黄色い花が夜風にそよいだ。
季節は春に手を掛け、圧倒的な再生の季節を手繰り寄せようとしている。
『周、サクラだ』
享一の中の薄紅の花は、再会を果たしたあの日のまま変わらずに咲き続けているのだろうか。
二人揃って春の夜に抱かれる幻を見る。刹那、自分たちを包む闇の中に、薄紅の花弁が盛大に舞い散る花吹雪が見えた気がした。
享一の、興奮で乱れた熱い吐息が皮膚の表面で砕け、思考を引き戻す。
戒められた自分の劣情を切なそうに握り、赤裸々な渇望に揺れる双丘の狭間には、淫欲に喘ぐ蕾が見え隠れする。柔らかい唇と器官に包まれた劣情を、音を立てて吸い上げられ脳内に白い火花が散った。
「享一・・・・・っ」
再び自分を仰ぐ享一の瞳は、こくのある夜色に潤み深い情欲を湛えているくせに、清らかな湧き水のような偽りのない真情を真っ直ぐに向けてくる。自我を喪失するほどに淫蕩に耽ろうと、そのすぐ内側に素直で誠実な人間性が滾々と湧き出る泉が満ちている。
見つめ合う頬も目尻も朱に染め、控えめな懇願の眼差しから欲情の涙がぽろりと零れた。
これが時見 享一だ。
俺だけの享一。
享一がエレクトした茎に手を添えなめ始めた。頬を濡らし時折口の中で、アマネ、アマネとくり返しながら愛おしそうに紅い舌先を這わせ、湿った音を立てて何度も接吻ける。
誰にも触らせたくない。誰の目にも触れさせてはならない、自分だけの・・・・・
治まりかけた業火が静かに燃え広がり、理性を焼き尽くしてゆく。
「卑猥だな、享一」
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翠滴 1―1 →
翠滴 2―1 →
翠滴 3―1 →
前髪に隠れた享一の瞳が無性に見たくなる。
額にかかる髪を掻き揚げると、切なげに眉根を寄せその下で綺麗に生えそろった睫の縁取る艶かしさに染まる目蓋が、黒い魅惑を隠している。
血色も鮮やかな唇を唾液で濡らし、自分の欲情を美味そうに咥える様に頭の芯が沸騰する。
およそこの2週間、享一を煽り続けた。
それは自分にとっても、自制心と激しい欲望の葛藤の毎日だった。
腹立たしさから出た制裁の気持ちも確かにあった。だが、自分の中に何らかの区切りをつけた今こそ、享一の中にある世間体や倫理観といった社会的な建前みたいなものを完全に追い出し、享一に腹を括らせるチャンスだと思った。
心を預けながら、いつまでも煮え切らない態度を取る享一に、生涯を伴にする相手が自分であるということをはっきり認識させ覚悟を決めさせる。これまでみたいなぬるさでは、この男に余計な時間を与えるのみで、決断を引き出すのは到底無理だということが、今回の事ですぎるくらいわかった。
かきあげた享一の髪の毛を強く掴むと汗を滲ませた額があらわになり、その下の甘く蕩け切り焦点の定まらなくなった黒い虹彩が見上げてくる。じわりと視線が合うと弾かれたように目の縁まで朱に染め、綺麗に生え揃った睫で瞳を隠す。その癖、舌の動きはより滑らかに敏感な場所に絡みつき、滲み出る露を丁寧に舌で掬い上げ唇で吸い取った。
もう一度、顎を持ち上げこちらを向かせようとすると、恥ずかしそうに抵抗を見せるも、結局は吸い寄せられるように潤んだ黒曜石の瞳を向けてくる。少し困ったような、それでいてグラマラスな甘い雰囲気を滲ませる視線を、恥ずかしげに逸らし破壊的な力で悩殺してくる。
享一は自分の意思で、あの優雅な檻と化したガーデンスイートの囚人(めしうど)となった自分の前に現れた。それは、可憐な揚羽蝶が甘くて強い毒の香に誘われて、おびき寄せられる図に近かったかもしれない。
だが、こうしてこの腕に舞い戻ったからにはもう逃がさない。
迸るようにして享一の口を衝いて出た「殺してくれ」という言葉は、切れ味最悪の諸刃の刃となって胸に突き刺さる。再び俯いた享一の左肩甲骨の下、心臓の裏あたりを爪の先で引っ掻くと背中が震えた。享一の素直な反応に周は薄く笑う。
ここに、死にたいなどと思う余裕も無くなるいくらい永邨 周を充填してやる。
自分を包む舌のぬめりと温かさが気持ちいい。舌技としてはまだ拙さが残るが、自分の牡を銜えているのが享一だというそれだけで頭の中枢が熱く熟れ痺れた。
緩かに下ろされ発情に艶めく瞼の縁を飾る睫毛が濡れている。戒められる性が苦しいのか、時折苦しげな貌をし、小さく切なげな喘ぎ声をあげる。服従する獣の姿勢を強いられた背中は、しっとりと汗が滲み、腰の辺りがもの欲しげに淫靡な動きで揺れ始めている。
この程度では赦さない。
もっと狂って、身も世もなく自分の名を叫び、懇願し、本心を曝け出すまで享一が死よりも望むものを与えるつもりはない。
あからさまに揺れ出した享一の願望に、熱い息を吐く薄い唇が深い笑みを浮かべる。
弱みに付け込むのは信条に反する。だが、こちらも我慢の限界だ。
かつて享一は一緒に堕ちてくれると約束をした。
今こそ、この石頭に根強く巣くう糞みたいなモラルを叩き砕いて、俺がいないと息が出来なくなる所まで堕してやる。
ふと、恨めしげに見上げる享一と目が合った。
清廉な桜の花弁を思わせる唇は淫らに濡れ、獣の凶暴さを喚起させる血の色に染まる。
ふつふつと血が沸き、牡蕊に躰中の血液が押し寄せ、享一の口の中で膨張した。
緩慢に目蓋が伏せられ黒曜石が消えると、享一は欲望の全てを呑み込んだ。
「・・・・・・うっ。」
享一の咽喉の狭さと熱さに、全神経が奪われた。
眉根を寄せ快感に昂揚する周の頬を汗が伝い、享一の背中へと滑り落ちる。
「く・・・・、享一・・・。」
享一の頭がゆっくり前後に動き始める。ガラスに俯いた享一の一部始終が映っていた。
緋色の紐の搦まる牡を勃て、しなやかな躰をシーツに這わせた服従の姿勢で、我が身と同じ牡の徴をその口に咥えている。以前の享一では考えられない姿だ。
享一の変化を感じ取る心は、上り詰める熱の速度を緩やかなものへと変えてゆく。
ガラスの外、都会の闇の中でミモザの黄色い花が夜風にそよいだ。
季節は春に手を掛け、圧倒的な再生の季節を手繰り寄せようとしている。
享一の中の薄紅の花は、再会を果たしたあの日のまま変わらずに咲き続けているのだろうか。
二人揃って春の夜に抱かれる幻を見る。刹那、自分たちを包む闇の中に、薄紅の花弁が盛大に舞い散る花吹雪が見えた気がした。
享一の、興奮で乱れた熱い吐息が皮膚の表面で砕け、思考を引き戻す。
戒められた自分の劣情を切なそうに握り、赤裸々な渇望に揺れる双丘の狭間には、淫欲に喘ぐ蕾が見え隠れする。柔らかい唇と器官に包まれた劣情を、音を立てて吸い上げられ脳内に白い火花が散った。
「享一・・・・・っ」
再び自分を仰ぐ享一の瞳は、こくのある夜色に潤み深い情欲を湛えているくせに、清らかな湧き水のような偽りのない真情を真っ直ぐに向けてくる。自我を喪失するほどに淫蕩に耽ろうと、そのすぐ内側に素直で誠実な人間性が滾々と湧き出る泉が満ちている。
見つめ合う頬も目尻も朱に染め、控えめな懇願の眼差しから欲情の涙がぽろりと零れた。
これが時見 享一だ。
俺だけの享一。
享一がエレクトした茎に手を添えなめ始めた。頬を濡らし時折口の中で、アマネ、アマネとくり返しながら愛おしそうに紅い舌先を這わせ、湿った音を立てて何度も接吻ける。
誰にも触らせたくない。誰の目にも触れさせてはならない、自分だけの・・・・・
治まりかけた業火が静かに燃え広がり、理性を焼き尽くしてゆく。
「卑猥だな、享一」
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□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
自分を充填って・・・うーん。周は相変わらずのオレ様男だなあ。。親の躾がなってない?ごもっともです。
さて、ここまで延々とフェ○について語ったのは初めてです。瀬尾っちには満足してもらえたのに、
技術が足りないとのたまう周さん。一体どんなえちライフをしてきたのか?
まだフェ○を引っ張るつもりかと食傷気味な方も多いはず。私もです。
でも、まだ続くんです(笑) ごめんなさい。
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けない私ですがですが、書いていく励みになります。。
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自分を充填って・・・うーん。周は相変わらずのオレ様男だなあ。。親の躾がなってない?ごもっともです。
さて、ここまで延々とフェ○について語ったのは初めてです。瀬尾っちには満足してもらえたのに、
技術が足りないとのたまう周さん。一体どんなえちライフをしてきたのか?
まだフェ○を引っ張るつもりかと食傷気味な方も多いはず。私もです。
でも、まだ続くんです(笑) ごめんなさい。
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ほんの拙文しか書けない私ですがですが、書いていく励みになります。。
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いやいや、可愛いじゃありませんか。
アダルトのフェ○シーンはうっとおしいですが、文で表現されると、なんとも微笑ましいですね。
がんがんいっちゃってください。