12 ,2009
翠滴 3 傀儡 8 (65)
■性的要素があります、18歳以下または苦手な方はお読みにならないで下さい。
見上げた先に、怒りと苦悶に染まる瀬尾の吊り上った双眸があった。
何も言わず凝視する眼底に、嫉妬に燃える焔を見つけ、自分が犯した過ちに気がついた。
花隈に会ってから心の不意を衝いては、別れを告げたあの夜に封印したはずの周への焦げ付くような恋慕が印を破って感情の中に雪崩れ込んできた。
偏りや個人的な損得のない大らかな花隈の心に抱きしめられ、享一の閉ざされ固く強張り続けていた心に変革が起こった。
花隈は享一の頬に触れながら、心を殺してはいけないといった。
周を恋しい愛しいと想う心を無理に消さないでほしいと。
これはもう、自分の周への想いを抑える術はないのだと諦め、花隈に言われた通り、秘めたる自分の恋心をひっそりと赦した。
随分と呼吸が楽になった。
花隈のような人間的な大らかさや強さを持つ事は出来ないかも知れないが、努力する事は出来る。周を想う気持ちは胸にそっと置いて、和輝のためにも瀬尾との関係を新たに構築し直したいと考えていた。
そしていつか瀬尾にもわかってもらえる・・・そんな日が来ればいいと思った。
「今なら、素直に言えば、許してやる。キョウ、あれはお前の差し金だったのか」
自分を覆う瀬尾から落ちて来た言葉に戸惑った。
三白眼で睥睨する瀬尾の視線が何度も突き刺さる。
「何のことだ。・・・っ」
両手首が掴まれ、頭上に纏め上げられた。
太腿の上に瀬尾の脛が乗りあがり、白いバスローブの間に裸体を曝す形で張付けられた。腰の下からシュッとリネンを擦る音がして、抜かれた腰紐が束ねられた手首に巻き付けられる。瀬尾の意図を知り顔面が引き攣った。
激しく上半身をゆすり、逃げようとしたが瀬尾は堪える風でもなく、頭上の壁についている格子の装飾に紐の端を括りつけてしまった。
「ふざけるな! 外せよ、何でこんなことする」
焦って抗議を始めた享一の唇が、瀬尾の指に押さえられた。
「ブレーキへの細工も、ピッキングも、お前が永邨に言ってやらせたのか」
左の頬に触れんばかりに近付いた瀬尾の口からとんでもない言葉が飛び出し仰天する。
柔らかい表面を弄びだした瀬尾の指先を唇に乗せたまま首を横に振った。瀬尾が、何を言っているのかわからない。
犯罪めいた事項と共に出てきた周の名前と、自分が疑われているという事実に頭が混乱した。
「何の話だ。俺は、俺は何も知らないぞ」
瀬尾が小さく嗤いを漏らした。軽く頬に触れた唇の先端から嗤いに合せて震えが伝わる。
「そりゃあ、普通は自分がやりましたなんて、言う訳はないよな」
舌先がぺろりと頬を舐った。
ぞわりと背筋を寒気が這い上がる。
「知らない。俺は・・・本当に」
自分にかけられた嫌疑を否定しようと、壊れたように何度も「知らない」と繰り返す享一の口に瀬尾のローブの腰紐が食い込んだ。
「お前は、俺が憎いとは思わないのか?」
瀬尾の下で芋虫のように藻掻く享一の躰の動きがピタリと止まった
「俺には、お前の言う言葉が本当なのか嘘なのかわからない。本当であってほしいと思う。もし嘘なら、お前の口からは何も聞きたくはない」
林檎を片手で軽く握りつぶすことも出来る大きな手のひらが、愛おしげに享一の顔を撫でた。その指が頬を横断するタオル地の腰紐を越え、顎を辿り喉に回る。
広げた片掌で易々と動脈を押さえ項の上を滑らせる。そんなことをする筈はないと思いながらも、瀬尾の瞳に宿る狂気に躰が慄えた。
「素直な反応がいいな。やっぱりお前は可愛いよ。キョウ。」
掌が喉を離れても慄えは止まらない。
二本の指先が気紛れな軌跡を描きながら鎖骨をなぞり、胸の尖りに到達すると愛撫の意図も露に捏ね、爪で弾いた。こんな時ですら、尖りの先端はぎゅっと固く凝る。羞恥に歪む顔を、享一は腕の間で背けた。
紅の粒となった胸の飾りを瀬尾の唇が捉え、軽く食みながら舌で転がす。
動きを拘束されたその分、胸で生まれた小さな快感はその強い刺激となって増幅し、頭髪の先まで電流のごとく伝播し体温が上昇する。
「う・・・、うっ、ん・・・・・」
思考をどろリと熱を帯びた快感が押し流す。耐え切れず仰け反った項に瀬尾の顔が埋まり、柔らかい窪みを飢えた獣の激しさで貪った。
全身に朱が散り、血液の集中した中心が浅ましく勃ち上がる。
咽の奥で、さも楽しげに嗤う声がし、頭の下にクッションを挟まれた。
「ちゃんと、自分の目で見ろよ。触れてもないのに厭らしい光景だな。俺は何年もお前のことを、神聖な存在だと思ってきたんだぜ。だから手を出すのを我慢して、指一本触れてこなかったのに。お前が永邨に躰を開いたと知ったときの俺の衝撃が、おまえに理解出来るか?」
まるで享一が自分を裏切った言わんばかりに詰り、顎を掴んだ手に目線を下に向かされた。肌蹴たロ-ブの狭間から覗く瀬尾の浅黒く締まった躰も、透明な糸を引きながら擦れ合う互いの熱を持った昂ぶりも、全てが視界に飛び込んできた。
咬まされたタオル地の腰紐を食いしばり、くぐもった呻き声を上げ瞳を痛いくらいに閉じると、「目をつぶるな」 と前髪を掴まれた。
瀬尾が享一の脚を持ち上げ、後孔にローションを垂らし自分の昂ぶりをあてがう。あまりに露骨な光景に瞠目し、呻き声も上げられず絶句した。
緩められてもいない秘所に凶器を突き立てられ、つぷっと進入してきた切っ先によって切り裂かれ蹂躙される痛みに、くぐもった声を上げながら必死で抵抗した。
「頭ん中の余白がなくなるくらい、お前で満たしてくれよ。明日から、また当分の間お預けになるんだ」
はっと、瀬尾の言葉に反応し動きの止まった躰の中心に、瀬尾の先端の膨らみが一気に衝き入れられた。脳天を突き破る痛みに全身が跳ね上がり、その後強張った躰は微動だにできない。
上手く呼吸が出来ず、ひきつけを起こしそうな享一の頰を瀬尾の掌が包んだ。
「お前も俺の味を忘れないように、この躰に俺を刻み付けておいてやる。」
また少し、自分の中に瀬尾の楔が打ち込まれる。目を閉じたいのに離せなかった。
冒されてゆく。
目の当たりにしたその屈辱的な光景に、享一の魂がやめてくれと叫ぶ。
瀬尾にとってもきついのか、噴出した汗に額は濡れ、輪郭を滴った冷たい雫は享一の胸にぽたりと落ちた。そんなささやかな刺激にも、全身が薙がれたような粟肌が立つ。
またグイッと突き入れられ瀬尾が角度を調節した瞬間、享一の躰から一切の力が抜けた。
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見上げた先に、怒りと苦悶に染まる瀬尾の吊り上った双眸があった。
何も言わず凝視する眼底に、嫉妬に燃える焔を見つけ、自分が犯した過ちに気がついた。
花隈に会ってから心の不意を衝いては、別れを告げたあの夜に封印したはずの周への焦げ付くような恋慕が印を破って感情の中に雪崩れ込んできた。
偏りや個人的な損得のない大らかな花隈の心に抱きしめられ、享一の閉ざされ固く強張り続けていた心に変革が起こった。
花隈は享一の頬に触れながら、心を殺してはいけないといった。
周を恋しい愛しいと想う心を無理に消さないでほしいと。
これはもう、自分の周への想いを抑える術はないのだと諦め、花隈に言われた通り、秘めたる自分の恋心をひっそりと赦した。
随分と呼吸が楽になった。
花隈のような人間的な大らかさや強さを持つ事は出来ないかも知れないが、努力する事は出来る。周を想う気持ちは胸にそっと置いて、和輝のためにも瀬尾との関係を新たに構築し直したいと考えていた。
そしていつか瀬尾にもわかってもらえる・・・そんな日が来ればいいと思った。
「今なら、素直に言えば、許してやる。キョウ、あれはお前の差し金だったのか」
自分を覆う瀬尾から落ちて来た言葉に戸惑った。
三白眼で睥睨する瀬尾の視線が何度も突き刺さる。
「何のことだ。・・・っ」
両手首が掴まれ、頭上に纏め上げられた。
太腿の上に瀬尾の脛が乗りあがり、白いバスローブの間に裸体を曝す形で張付けられた。腰の下からシュッとリネンを擦る音がして、抜かれた腰紐が束ねられた手首に巻き付けられる。瀬尾の意図を知り顔面が引き攣った。
激しく上半身をゆすり、逃げようとしたが瀬尾は堪える風でもなく、頭上の壁についている格子の装飾に紐の端を括りつけてしまった。
「ふざけるな! 外せよ、何でこんなことする」
焦って抗議を始めた享一の唇が、瀬尾の指に押さえられた。
「ブレーキへの細工も、ピッキングも、お前が永邨に言ってやらせたのか」
左の頬に触れんばかりに近付いた瀬尾の口からとんでもない言葉が飛び出し仰天する。
柔らかい表面を弄びだした瀬尾の指先を唇に乗せたまま首を横に振った。瀬尾が、何を言っているのかわからない。
犯罪めいた事項と共に出てきた周の名前と、自分が疑われているという事実に頭が混乱した。
「何の話だ。俺は、俺は何も知らないぞ」
瀬尾が小さく嗤いを漏らした。軽く頬に触れた唇の先端から嗤いに合せて震えが伝わる。
「そりゃあ、普通は自分がやりましたなんて、言う訳はないよな」
舌先がぺろりと頬を舐った。
ぞわりと背筋を寒気が這い上がる。
「知らない。俺は・・・本当に」
自分にかけられた嫌疑を否定しようと、壊れたように何度も「知らない」と繰り返す享一の口に瀬尾のローブの腰紐が食い込んだ。
「お前は、俺が憎いとは思わないのか?」
瀬尾の下で芋虫のように藻掻く享一の躰の動きがピタリと止まった
「俺には、お前の言う言葉が本当なのか嘘なのかわからない。本当であってほしいと思う。もし嘘なら、お前の口からは何も聞きたくはない」
林檎を片手で軽く握りつぶすことも出来る大きな手のひらが、愛おしげに享一の顔を撫でた。その指が頬を横断するタオル地の腰紐を越え、顎を辿り喉に回る。
広げた片掌で易々と動脈を押さえ項の上を滑らせる。そんなことをする筈はないと思いながらも、瀬尾の瞳に宿る狂気に躰が慄えた。
「素直な反応がいいな。やっぱりお前は可愛いよ。キョウ。」
掌が喉を離れても慄えは止まらない。
二本の指先が気紛れな軌跡を描きながら鎖骨をなぞり、胸の尖りに到達すると愛撫の意図も露に捏ね、爪で弾いた。こんな時ですら、尖りの先端はぎゅっと固く凝る。羞恥に歪む顔を、享一は腕の間で背けた。
紅の粒となった胸の飾りを瀬尾の唇が捉え、軽く食みながら舌で転がす。
動きを拘束されたその分、胸で生まれた小さな快感はその強い刺激となって増幅し、頭髪の先まで電流のごとく伝播し体温が上昇する。
「う・・・、うっ、ん・・・・・」
思考をどろリと熱を帯びた快感が押し流す。耐え切れず仰け反った項に瀬尾の顔が埋まり、柔らかい窪みを飢えた獣の激しさで貪った。
全身に朱が散り、血液の集中した中心が浅ましく勃ち上がる。
咽の奥で、さも楽しげに嗤う声がし、頭の下にクッションを挟まれた。
「ちゃんと、自分の目で見ろよ。触れてもないのに厭らしい光景だな。俺は何年もお前のことを、神聖な存在だと思ってきたんだぜ。だから手を出すのを我慢して、指一本触れてこなかったのに。お前が永邨に躰を開いたと知ったときの俺の衝撃が、おまえに理解出来るか?」
まるで享一が自分を裏切った言わんばかりに詰り、顎を掴んだ手に目線を下に向かされた。肌蹴たロ-ブの狭間から覗く瀬尾の浅黒く締まった躰も、透明な糸を引きながら擦れ合う互いの熱を持った昂ぶりも、全てが視界に飛び込んできた。
咬まされたタオル地の腰紐を食いしばり、くぐもった呻き声を上げ瞳を痛いくらいに閉じると、「目をつぶるな」 と前髪を掴まれた。
瀬尾が享一の脚を持ち上げ、後孔にローションを垂らし自分の昂ぶりをあてがう。あまりに露骨な光景に瞠目し、呻き声も上げられず絶句した。
緩められてもいない秘所に凶器を突き立てられ、つぷっと進入してきた切っ先によって切り裂かれ蹂躙される痛みに、くぐもった声を上げながら必死で抵抗した。
「頭ん中の余白がなくなるくらい、お前で満たしてくれよ。明日から、また当分の間お預けになるんだ」
はっと、瀬尾の言葉に反応し動きの止まった躰の中心に、瀬尾の先端の膨らみが一気に衝き入れられた。脳天を突き破る痛みに全身が跳ね上がり、その後強張った躰は微動だにできない。
上手く呼吸が出来ず、ひきつけを起こしそうな享一の頰を瀬尾の掌が包んだ。
「お前も俺の味を忘れないように、この躰に俺を刻み付けておいてやる。」
また少し、自分の中に瀬尾の楔が打ち込まれる。目を閉じたいのに離せなかった。
冒されてゆく。
目の当たりにしたその屈辱的な光景に、享一の魂がやめてくれと叫ぶ。
瀬尾にとってもきついのか、噴出した汗に額は濡れ、輪郭を滴った冷たい雫は享一の胸にぽたりと落ちた。そんなささやかな刺激にも、全身が薙がれたような粟肌が立つ。
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□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
ま、まだ続くのか。。とお思いのみなさまも多いと思います。この不毛なRを次話で終らせたい…
持ち越したくないのに、年内の更新が出来るのか微妙です。
■拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
ほんの拙文しか書けない私ですがですが、書いていく励みになります。。
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とかしながら読んでる人間が最初のコメですいません。
瀬尾さんいいなあ……この狂気をはらんだどSなところがたまらない。
人間として好きなキャラじゃないけど(私もSなので)、ものすごく創作意欲をそそられるキャラですね。
Rシーン、書くのも、読むのも、しんどいかもしれませんが(私はぜんぜん)続いていく先に必要なシーンだったら、とことん書いてください。
誰かがなにかをたくらんでいるのですね。たぶん。
続きが楽しみです。