09 ,2009
花喰い 上 『秋の特別企画』参加作
この度、春に続いて『ひまつぶし』さま宅の秋の特別企画、に参加させて頂きました。
―花喰い 上―
石化柳は思う曲線が出ず、イライラと思いのままに撓ませると枝が左右の指の間で、ボキリと折れてしまった。
水盤の竜胆も外して折れた石化柳と一緒に花屋の包み紙の上に広げたエニシダや山査子(さんざし)の上に投げつけた。
ぱさりと軽い音を立て複雑な柳の枝の間に落ちた青紫の花をちらりと見る。もう一度手に取り、今度は花が痛んでいないかを確かめてそっと紙の上に置き直す。
開け放った障子の外の澄んだ虫の声につられ、月の光も無い闇ばかりの庭を漫然と眺めた。
叶うわけのない期待に浮き足立つ不埒な心を静めようと思い、花を活け始めたのに心は静まるどころか、益々浮付いて、全く集中できない。
大体、いつもならもっといろんな種類の花や草木のストックがあるはずなのに、今日に限って難しい石化柳やエニシダ、ナデシコや孔雀草といった興の乗らないアイテムしか倉庫に残っていなかった。
ただでさえ上滑りな集中力は急速に目の前の水盤から離れ、風呂場にいる友人の元へと飛んでしまう。
今夜は家の者全員が都内で催される活け花展の準備に泊りがけで出ており、留守を任された自分は同じ学校の友人・福井 朋樹を家に呼んだ。
自分達の高校は中高一貫の私立の進学校で、朋樹とはあまりのタイプの違いに最初は反目し、どちらかと言うと子供っぽい朋樹を見下してさえいたが、それが2度3度と同じクラスになるうちに朋樹の立ち位置が微妙に変わり丸4年経った今、完全に自分は秘めたる恋に落ちていた。
ハンドボールの部活が終わって、直接忠桐の家へやって来た朋樹は家に着くなり
「忠桐っ、とにかくフロ、風呂に入らせてくれ」と喚き、忙しなくドタドタと風呂場に直行し部活で流した健全な汗を流している。そして自分は、ザワザワとざわめき出した邪な心を静めようと花を生け始めた。
忠桐(ただひさ)は小さな溜息ひとつ吐くともう一度、竜胆を手に取った。
「己(うぬ)は難儀よの」
誰もいない闇の庭からの声に、紫の花を手にしたままちらりと顔を上げる。
闇に目を凝らしても、室内の明かりの届く範囲には誰もおらず澄んだ虫の音ががあるのみだ。
突然、庭の茂みがガサガサと揺れ、菖蒲の植わっているあたりからそれこそ先程へし折った石化柳のような細くて皺しわの脚がにょきっと伸びてきて光の中に立った。
体長60センチほどの黄土色の身体は、膨れた腹に対して手足は非常に細い。口が大きく一見蛙のようにも見える顔だが、飛び出した目だけが異常に大きく左右の瞳の位置が大きくズレており一体どこを見ているのかさっぱり判らない。
「のう、忠桐(ただひさ)、決心はついたかの?」
忠桐は庭に佇む此の世のものではない異形のモノに半眼の一瞥をくれ、すぐに竜胆に意識を戻すと茎に残る余計な葉を落とし始めた。
剣山に切り口を刺すと、ぴんと張った水面に竜胆の青が映り込む。
竜胆と一緒に水盤の端に小さな幼児くらいの大きさの頭部の影が落ちた。
「やっぱり、竜胆には月が似合うな」
「つれぬのう、忠桐。己はほんに難儀な男(おのこ)じゃ」
「僕にとっては、月隠り(つごもり)の闇に紛れて現れ、決断を迫るお前の方が
よっぽど鬱陶しくて、難儀だ」
「のう、これは喰うてよいのかのう」
いつの間にか傍に来て一緒に水盤を覗き、無邪気に竜胆を指しながらニマリと哂う。
「まだ駄目だ。生け終わったら、朱温(しゅおん)の好きにしろよ」
「ほうか。じゃが今夜のメニューはシケとるの、花はこれだけかのう?」
包装紙に広げられた残りの竜胆やなでしこを見て、指を咥えつまらなさそうに言う。
「お前が”メニュー”とか言うな、その容姿で外来語を使われると、見た目が裏切られて
ガックリだ。それに、勘違いするなよ。僕は、お前のために花を揃えている訳じゃ
ないんだ。気に入らなければ庭に生えている吾亦紅でも喰ってろよ」
「ワは、己の生けた花が好物じゃと知っておる癖に。なんと情の薄い男に育って
しもうたものよ。童(わらし)の頃は、もうちっと可愛げもあったのを。難儀よのう」
細い腕を後ろ手に組み、肩を窄めて俯き加減で顔をチラリとこちらに向ける。朱温の視線は左右が極度のロンパリで読み取りにくい。イジイジと肩を揺らす仕草は、どうやら”拗ね”を表現したいらしい。
「全く面倒くさい奴だな、今日は家の者がみな出払ってるから花の数も種類も少ないんだ
後で保存庫にのこっていた蘭も持ってきてやるから今は我慢しろよ」
「ほぉぉーーーぅ」
小さな頭部のかなりの部分を占める目玉が左右バラバラで上下にせわしなく動く。
”嬉しさ”の表現らしい。蘭は朱温の大好物だ。
「知っておるぞ。それで、今宵は己の好いた男(おのこ)を連れ込んだのじゃろ」
「人聞きの悪いこというな」
秀でた小さな頭にデコピンをくれてやる。「痛い、痛い」と大袈裟に痛がった朱温が、頭を抑え恨めしげな顔を向けた。カメレオンのような目で、感情を表現しにくい朱温は全身を使って気持ちを表現する。が、人を食った風貌のせいでどうにも嘘臭い。
「チイーーーッ。手篭めにするつもりの癖に・・・」
本気で蹴り倒してやろうと立ち上がったら、ひょええぇぇとふざけた声を上げて縁側まですっ飛んで逃げた。
「まったく腹立たしい邪鬼だな、お前は」
「図星で怒り出すなんぞ、己もちと幼のう過ぎはせんかのう」
「何百年生きて、まったく進歩がなさそうなお前にだけは言われたくない」
忠桐はその整った横顔をフンとそびやかし、鬼の泣き言をスパンと切って捨てた。
「人間は寿命こそ延びたが、その分成長も間延びしおるようじゃ。300年も前であれ
ば、己の歳は疾うに一人前よ。で、決心はついたかのう?」
朱温は障子の影からうろんげに見下げる忠桐の前に出た来た。
「はようワを、その躰に飼うてくれ、己はワと約束したがの」
「だから、月の無い夜は嫌いなんだ・・・」うんざり小声で忠桐は独りごちる。
「己がワを飼うてくれたら、ワはもう月の光も怖うなくなる。いつでも好きな時に
人界(にんがい)を歩ける」
朱温と初めて会ったのは6歳の頃だ。
茶道の稽古を忘れて学校の帰りに近所の子供と遊びにいったのを父に咎められ、蔵の中に閉じ込められた。父は厳しい人間で、日が暮れても出してもらえず、月のない暗い夜で暗い土蔵の隅に縮こまっていると反対側の闇の中からボウと赤く光る玉を持った朱温が現れた。
あまりの滑稽なその姿に悲鳴をあげるのも忘れ唖然と見ていると、ニマリと笑って二足歩行のカメレオンが口を開いた。
『童(わらし)、己が15になったらワをその躰に飼うてくれんか』
何を血迷ったか、6つの僕は咄嗟に頷いてしまった。呆気に取られたのと、好奇心とで、まともな思考が出来てなかったのだ。
おまけに、自分はどこの馬の骨とも判らない邪鬼に、赤く光る玉から取った『朱温』という名前までくれてやった。朱温は、それで痛く感銘を受けてしまったらしい。
もし、今その場面に居合わせたなら、間違いなく6歳の自分の側頭を、「余計なことするな」とグリグリやって、「知らない鬼とは、しゃべっちゃダメ!」 と、説教を垂れてやるところだ。
それ以来、朱温は年に数回の月の出ない月篭りの夜になると、闇に紛れては約束を確認しに現れ、15を過ぎてからは早く自分を飼えとせっつくようになった。
「前にも言ったとおり、お前を飼ってもお前が自由になるだけで、僕のメリットがどこにあるのかわからない」
それどころか、とんでもないデメリットが隠れ潜んでいるような気さえした。
朱温は口には出さないが、この話をする時の朱温は妙にソワソワして、胡散臭さがいつもの5割り増しになる。
「約束を違えるのは、男らしゅうないと思わんかのう?」
「邪鬼が人間の男らしさなんか説くな。所詮、6歳のガキの約束だ、お前も真に受けるなよな」
「機嫌が悪いのう、さては湯浴みの男(おのこ)との宵をワに邪魔されたと思うて、拗ねとるんとるんじゃろうて。・・・さすれば、忠桐は”メリット”があれば良いのじゃな?」
「横文字を使うな。お前の言い方は、いちいち気に障ってムカつく」
「怒るな。いいものを己にやるから、ちいと待っておれ」
引っ掛る言い方をして、ただでさえでかい口を更に両側に引いてカメレオン顔が哂う。
厭な予感がして顔を眇めるとニイと哂いを深くした朱温は、いそいそと障子の裏に再び隠れた。微かに花の匂いが強くなる。
「忠桐・・・」
聞きなれた少年の名残を強く残す声に呼ばれ、弾かれるようにして顔を向ける。
忠桐は、おもむろに障子の陰から現れた朱温の姿に唖然とした。
―花喰い
花喰い 下 →
<<関連作品>>
flower Ⅰ ―放春花
flower Ⅱ ―Sakura Spiral
□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
ああ、もう死語のオンパレードですね。(;´Д`A
すみません。例によってかっ飛ばし&トコロテンで、推敲もろくすっぽ出来てません。
なんとか期日には間に合わせたいとその一心でしたので、いつにも増して荒い文章に
なってしまいました。
もし、気が向かれましたら『花喰い 下』を時間までに更新いたしますので、
お越しくださいませ。
紙魚
拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
大変、励みになります。。
ブログ拍手コメントのお返事は、サイトの”もんもんもん”の
ブログ拍手コメ・メールのお返事からか、もしくは*こちら*から

↑
続き書いてもいいよ~♪
と思っていただけましたらポチっとお願いします。
↓
―花喰い 上―
石化柳は思う曲線が出ず、イライラと思いのままに撓ませると枝が左右の指の間で、ボキリと折れてしまった。
水盤の竜胆も外して折れた石化柳と一緒に花屋の包み紙の上に広げたエニシダや山査子(さんざし)の上に投げつけた。
ぱさりと軽い音を立て複雑な柳の枝の間に落ちた青紫の花をちらりと見る。もう一度手に取り、今度は花が痛んでいないかを確かめてそっと紙の上に置き直す。
開け放った障子の外の澄んだ虫の声につられ、月の光も無い闇ばかりの庭を漫然と眺めた。
叶うわけのない期待に浮き足立つ不埒な心を静めようと思い、花を活け始めたのに心は静まるどころか、益々浮付いて、全く集中できない。
大体、いつもならもっといろんな種類の花や草木のストックがあるはずなのに、今日に限って難しい石化柳やエニシダ、ナデシコや孔雀草といった興の乗らないアイテムしか倉庫に残っていなかった。
ただでさえ上滑りな集中力は急速に目の前の水盤から離れ、風呂場にいる友人の元へと飛んでしまう。
今夜は家の者全員が都内で催される活け花展の準備に泊りがけで出ており、留守を任された自分は同じ学校の友人・福井 朋樹を家に呼んだ。
自分達の高校は中高一貫の私立の進学校で、朋樹とはあまりのタイプの違いに最初は反目し、どちらかと言うと子供っぽい朋樹を見下してさえいたが、それが2度3度と同じクラスになるうちに朋樹の立ち位置が微妙に変わり丸4年経った今、完全に自分は秘めたる恋に落ちていた。
ハンドボールの部活が終わって、直接忠桐の家へやって来た朋樹は家に着くなり
「忠桐っ、とにかくフロ、風呂に入らせてくれ」と喚き、忙しなくドタドタと風呂場に直行し部活で流した健全な汗を流している。そして自分は、ザワザワとざわめき出した邪な心を静めようと花を生け始めた。
忠桐(ただひさ)は小さな溜息ひとつ吐くともう一度、竜胆を手に取った。
「己(うぬ)は難儀よの」
誰もいない闇の庭からの声に、紫の花を手にしたままちらりと顔を上げる。
闇に目を凝らしても、室内の明かりの届く範囲には誰もおらず澄んだ虫の音ががあるのみだ。
突然、庭の茂みがガサガサと揺れ、菖蒲の植わっているあたりからそれこそ先程へし折った石化柳のような細くて皺しわの脚がにょきっと伸びてきて光の中に立った。
体長60センチほどの黄土色の身体は、膨れた腹に対して手足は非常に細い。口が大きく一見蛙のようにも見える顔だが、飛び出した目だけが異常に大きく左右の瞳の位置が大きくズレており一体どこを見ているのかさっぱり判らない。
「のう、忠桐(ただひさ)、決心はついたかの?」
忠桐は庭に佇む此の世のものではない異形のモノに半眼の一瞥をくれ、すぐに竜胆に意識を戻すと茎に残る余計な葉を落とし始めた。
剣山に切り口を刺すと、ぴんと張った水面に竜胆の青が映り込む。
竜胆と一緒に水盤の端に小さな幼児くらいの大きさの頭部の影が落ちた。
「やっぱり、竜胆には月が似合うな」
「つれぬのう、忠桐。己はほんに難儀な男(おのこ)じゃ」
「僕にとっては、月隠り(つごもり)の闇に紛れて現れ、決断を迫るお前の方が
よっぽど鬱陶しくて、難儀だ」
「のう、これは喰うてよいのかのう」
いつの間にか傍に来て一緒に水盤を覗き、無邪気に竜胆を指しながらニマリと哂う。
「まだ駄目だ。生け終わったら、朱温(しゅおん)の好きにしろよ」
「ほうか。じゃが今夜のメニューはシケとるの、花はこれだけかのう?」
包装紙に広げられた残りの竜胆やなでしこを見て、指を咥えつまらなさそうに言う。
「お前が”メニュー”とか言うな、その容姿で外来語を使われると、見た目が裏切られて
ガックリだ。それに、勘違いするなよ。僕は、お前のために花を揃えている訳じゃ
ないんだ。気に入らなければ庭に生えている吾亦紅でも喰ってろよ」
「ワは、己の生けた花が好物じゃと知っておる癖に。なんと情の薄い男に育って
しもうたものよ。童(わらし)の頃は、もうちっと可愛げもあったのを。難儀よのう」
細い腕を後ろ手に組み、肩を窄めて俯き加減で顔をチラリとこちらに向ける。朱温の視線は左右が極度のロンパリで読み取りにくい。イジイジと肩を揺らす仕草は、どうやら”拗ね”を表現したいらしい。
「全く面倒くさい奴だな、今日は家の者がみな出払ってるから花の数も種類も少ないんだ
後で保存庫にのこっていた蘭も持ってきてやるから今は我慢しろよ」
「ほぉぉーーーぅ」
小さな頭部のかなりの部分を占める目玉が左右バラバラで上下にせわしなく動く。
”嬉しさ”の表現らしい。蘭は朱温の大好物だ。
「知っておるぞ。それで、今宵は己の好いた男(おのこ)を連れ込んだのじゃろ」
「人聞きの悪いこというな」
秀でた小さな頭にデコピンをくれてやる。「痛い、痛い」と大袈裟に痛がった朱温が、頭を抑え恨めしげな顔を向けた。カメレオンのような目で、感情を表現しにくい朱温は全身を使って気持ちを表現する。が、人を食った風貌のせいでどうにも嘘臭い。
「チイーーーッ。手篭めにするつもりの癖に・・・」
本気で蹴り倒してやろうと立ち上がったら、ひょええぇぇとふざけた声を上げて縁側まですっ飛んで逃げた。
「まったく腹立たしい邪鬼だな、お前は」
「図星で怒り出すなんぞ、己もちと幼のう過ぎはせんかのう」
「何百年生きて、まったく進歩がなさそうなお前にだけは言われたくない」
忠桐はその整った横顔をフンとそびやかし、鬼の泣き言をスパンと切って捨てた。
「人間は寿命こそ延びたが、その分成長も間延びしおるようじゃ。300年も前であれ
ば、己の歳は疾うに一人前よ。で、決心はついたかのう?」
朱温は障子の影からうろんげに見下げる忠桐の前に出た来た。
「はようワを、その躰に飼うてくれ、己はワと約束したがの」
「だから、月の無い夜は嫌いなんだ・・・」うんざり小声で忠桐は独りごちる。
「己がワを飼うてくれたら、ワはもう月の光も怖うなくなる。いつでも好きな時に
人界(にんがい)を歩ける」
朱温と初めて会ったのは6歳の頃だ。
茶道の稽古を忘れて学校の帰りに近所の子供と遊びにいったのを父に咎められ、蔵の中に閉じ込められた。父は厳しい人間で、日が暮れても出してもらえず、月のない暗い夜で暗い土蔵の隅に縮こまっていると反対側の闇の中からボウと赤く光る玉を持った朱温が現れた。
あまりの滑稽なその姿に悲鳴をあげるのも忘れ唖然と見ていると、ニマリと笑って二足歩行のカメレオンが口を開いた。
『童(わらし)、己が15になったらワをその躰に飼うてくれんか』
何を血迷ったか、6つの僕は咄嗟に頷いてしまった。呆気に取られたのと、好奇心とで、まともな思考が出来てなかったのだ。
おまけに、自分はどこの馬の骨とも判らない邪鬼に、赤く光る玉から取った『朱温』という名前までくれてやった。朱温は、それで痛く感銘を受けてしまったらしい。
もし、今その場面に居合わせたなら、間違いなく6歳の自分の側頭を、「余計なことするな」とグリグリやって、「知らない鬼とは、しゃべっちゃダメ!」 と、説教を垂れてやるところだ。
それ以来、朱温は年に数回の月の出ない月篭りの夜になると、闇に紛れては約束を確認しに現れ、15を過ぎてからは早く自分を飼えとせっつくようになった。
「前にも言ったとおり、お前を飼ってもお前が自由になるだけで、僕のメリットがどこにあるのかわからない」
それどころか、とんでもないデメリットが隠れ潜んでいるような気さえした。
朱温は口には出さないが、この話をする時の朱温は妙にソワソワして、胡散臭さがいつもの5割り増しになる。
「約束を違えるのは、男らしゅうないと思わんかのう?」
「邪鬼が人間の男らしさなんか説くな。所詮、6歳のガキの約束だ、お前も真に受けるなよな」
「機嫌が悪いのう、さては湯浴みの男(おのこ)との宵をワに邪魔されたと思うて、拗ねとるんとるんじゃろうて。・・・さすれば、忠桐は”メリット”があれば良いのじゃな?」
「横文字を使うな。お前の言い方は、いちいち気に障ってムカつく」
「怒るな。いいものを己にやるから、ちいと待っておれ」
引っ掛る言い方をして、ただでさえでかい口を更に両側に引いてカメレオン顔が哂う。
厭な予感がして顔を眇めるとニイと哂いを深くした朱温は、いそいそと障子の裏に再び隠れた。微かに花の匂いが強くなる。
「忠桐・・・」
聞きなれた少年の名残を強く残す声に呼ばれ、弾かれるようにして顔を向ける。
忠桐は、おもむろに障子の陰から現れた朱温の姿に唖然とした。
―花喰い
花喰い 下 →
<<関連作品>>
flower Ⅰ ―放春花
flower Ⅱ ―Sakura Spiral
□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
ああ、もう死語のオンパレードですね。(;´Д`A
すみません。例によってかっ飛ばし&トコロテンで、推敲もろくすっぽ出来てません。
なんとか期日には間に合わせたいとその一心でしたので、いつにも増して荒い文章に
なってしまいました。
もし、気が向かれましたら『花喰い 下』を時間までに更新いたしますので、
お越しくださいませ。
紙魚
拍手ポチ、コメント、村ポチと・・本当に、いつもありがとうございます。
大変、励みになります。。
ブログ拍手コメントのお返事は、サイトの”もんもんもん”の
ブログ拍手コメ・メールのお返事からか、もしくは*こちら*から

↑
続き書いてもいいよ~♪
と思っていただけましたらポチっとお願いします。
↓