04 ,2009
深海魚 30
■18Rです。苦手な方は閲覧にご注意ください。
「大丈夫か?シズカ?」
薄く眼を開けると圭太が覗き込んでいる。自分を気遣う真剣な眼差しに、心が打たれた。
圭太の解放をされていない熱さを孕んだ欲情が静の下肢に当たりカウパーで濡らした。自分の欲情を抑え静を労わり愛しんでくれる圭太の優しさを感じて、至誠に打たれた心が喜びに震え出す。
陽は傾き、ベッドを縦半分に割るように青い影を落とした。
「圭太さん、・・・最後まで抱いて」
『ダメ』と小さく呟き、優しく静の前髪を掻き上げ額にキスをひとつ、くれる。
「お前、自分が何を言ってるのか、わかってないだろう?」
「でも・・・」
「こんなに感じ易いくせに、今日はこれ以上続けたらお前がもたないぞ。
俺は、もっとお前を大切にしたいんだ、わかれよ。俺も、お前の感じてくれている姿に煽られて、つい我を忘れて無理をさせてしまって、悪かった。」
圭太はそう言いながら、愛おしそうに静の頭を抱き込んだが、静は圭太の腕の中で頭を振った。
「違うんだ。俺は・・・・俺が、圭太さんを欲しいんだ」
「シズカ・・・?」
「お願いだ、圭太さん。俺の中の伊原さんを圭太さんで消してほしい。
俺には圭太さんだけでいい。圭太さん以外は俺の中に残したくない・・・だから」
見上げる鳶色の瞳が潤み、必死の懇願が浮かぶ。
圭太の腕にしがみ付いていた手が剥され、左腕が青い影の中へ右手が白い陽光の下へと再びシーツに圧し付けられた。圭太の強い光を放つ瞳が、潤み始めた鳶色の瞳を射抜き、静はゆるやかに目蓋をおろし熱の籠った吐息を一つ吐いた。
「わかった。そういう事なら遠慮はしない。俺がどれだけ我慢しているのか・・・お前も男なんだから、わかるよな?始めたら、お前が泣き叫んでも止めないから、覚悟しろよ」
無言で頷いた。
美しい躯がゆっくり自分に圧し掛かるのを、静は心も躯も、自分のすべてを開いて受け入れる。
光と影の間で抱き合った。
圭太と視線を絡ませ、微笑み合う。
下腹部に強い圧迫を感じ、全身を撓らせる。声にならない叫び声を上げて、圭太を感じた。
ああ、嬉しくて気が狂いそうだ。
苦しさを伴う圧迫感もリアルな苦痛も、すべて圭太によって齎されている、そう思うと自分の中に幸福感のようなものが満ちてきて涙が零れた。その涙を優しい唇が掬ってくれる。
「シズカの中、すっごい気持ちいい・・・・うっ・・」
ズクン・・・。切羽詰るような圭太の声を聞いた途端、自分の中で何かが、ごそりと蠢くのを感じた。一気に静自信も張り詰め呻き声を漏らす。自分の中で生まれた強烈な快感に翻弄され、喘ぎと一緒にうわ言が唇からこぼれる。
「アァ・・・・気持ちいい・・・どうしよう?圭太さん、助けて・・狂いそう」
「狂えよ・・・シズカ。見ててやるから」
頭を横に振り、仰け反らせた瞳から睫を伝い涙が零れ落ちる。
ろれつの上手く回らない言葉が小さく何度も繰返された。
「イヤ・・・イ・・ヤ、タスケテ、圭太さ・・」
「もっと、もっとだ・・・。お前を、全部見せて」
「ア・・・・そ・・んな・・・ハ・・ァ」
たった一度、熱がとば口まで引き抜かれ、勢いよく最奥まで突く。
自分の口から、甘く啼くような悲鳴が上がるのを快楽の底で聞いた。
快感に凌駕され仰け反る躯を強く抱きしめられ、より深く繋がったまま同時に精を放った。
2人で手を取り合って2人を隔てていたカテゴリーから零れ深海へとゆっくり落ちてゆく。
ほんの少しだけ、もう少しだけ、自分に正直に生きてみたい。心を開きたい。
自分の総てで、愛する人を受け止めたい。圭太のすべても見せて欲しい。
ベッドの片隅に陽だまりが残る。その春を思わせる明るい陽光の中に、まるで光を掬うかのように、しずかな寝息を立てる静の掌が伸びている。その掌に一回り大きな掌が重なり、握り締めた。もう一度、静の唇にキスを落とすと、携帯をOFFにし静の肩口に鼻を潜り込ませ圭太も眠りについた。
起きたら、先ず仕事を片付けよう。自分がこちらにいることで、今回は随分と所員に負担をかけてしまった。起きたら、アトリエに連絡を入れ仕事をこなし、静のために粥を作ろう。
静が起きるのを待って食事をしながらこれからの事を話をする。一番の難関である薫にどう説明するか・・?目を閉じたまま苦笑する。何があっても、この愛おしいぬくもりを手放す気はない。腕の中で疲れを滲ませながらも、幸せそうに眠る静の寝顔を眺めた。
静の寝息はまるで、波の音のようだ。
ふと、静の下を泳ぐ黒い魚影を思い出した。
圭太は、感慨深げに瞳を細めると、腕の中で息衝く穏やかな体温を強く抱きしめ自分も眠りについた。
←前話 エピローグ→
■深海魚 1 から読む
■静×圭太 関連<SS> ― 願い ―
■河村 圭太 関連作 翠滴 2
「大丈夫か?シズカ?」
薄く眼を開けると圭太が覗き込んでいる。自分を気遣う真剣な眼差しに、心が打たれた。
圭太の解放をされていない熱さを孕んだ欲情が静の下肢に当たりカウパーで濡らした。自分の欲情を抑え静を労わり愛しんでくれる圭太の優しさを感じて、至誠に打たれた心が喜びに震え出す。
陽は傾き、ベッドを縦半分に割るように青い影を落とした。
「圭太さん、・・・最後まで抱いて」
『ダメ』と小さく呟き、優しく静の前髪を掻き上げ額にキスをひとつ、くれる。
「お前、自分が何を言ってるのか、わかってないだろう?」
「でも・・・」
「こんなに感じ易いくせに、今日はこれ以上続けたらお前がもたないぞ。
俺は、もっとお前を大切にしたいんだ、わかれよ。俺も、お前の感じてくれている姿に煽られて、つい我を忘れて無理をさせてしまって、悪かった。」
圭太はそう言いながら、愛おしそうに静の頭を抱き込んだが、静は圭太の腕の中で頭を振った。
「違うんだ。俺は・・・・俺が、圭太さんを欲しいんだ」
「シズカ・・・?」
「お願いだ、圭太さん。俺の中の伊原さんを圭太さんで消してほしい。
俺には圭太さんだけでいい。圭太さん以外は俺の中に残したくない・・・だから」
見上げる鳶色の瞳が潤み、必死の懇願が浮かぶ。
圭太の腕にしがみ付いていた手が剥され、左腕が青い影の中へ右手が白い陽光の下へと再びシーツに圧し付けられた。圭太の強い光を放つ瞳が、潤み始めた鳶色の瞳を射抜き、静はゆるやかに目蓋をおろし熱の籠った吐息を一つ吐いた。
「わかった。そういう事なら遠慮はしない。俺がどれだけ我慢しているのか・・・お前も男なんだから、わかるよな?始めたら、お前が泣き叫んでも止めないから、覚悟しろよ」
無言で頷いた。
美しい躯がゆっくり自分に圧し掛かるのを、静は心も躯も、自分のすべてを開いて受け入れる。
光と影の間で抱き合った。
圭太と視線を絡ませ、微笑み合う。
下腹部に強い圧迫を感じ、全身を撓らせる。声にならない叫び声を上げて、圭太を感じた。
苦しさを伴う圧迫感もリアルな苦痛も、すべて圭太によって齎されている、そう思うと自分の中に幸福感のようなものが満ちてきて涙が零れた。その涙を優しい唇が掬ってくれる。
「シズカの中、すっごい気持ちいい・・・・うっ・・」
ズクン・・・。切羽詰るような圭太の声を聞いた途端、自分の中で何かが、ごそりと蠢くのを感じた。一気に静自信も張り詰め呻き声を漏らす。自分の中で生まれた強烈な快感に翻弄され、喘ぎと一緒にうわ言が唇からこぼれる。
「アァ・・・・気持ちいい・・・どうしよう?圭太さん、助けて・・狂いそう」
「狂えよ・・・シズカ。見ててやるから」
頭を横に振り、仰け反らせた瞳から睫を伝い涙が零れ落ちる。
ろれつの上手く回らない言葉が小さく何度も繰返された。
「イヤ・・・イ・・ヤ、タスケテ、圭太さ・・」
「もっと、もっとだ・・・。お前を、全部見せて」
「ア・・・・そ・・んな・・・ハ・・ァ」
たった一度、熱がとば口まで引き抜かれ、勢いよく最奥まで突く。
自分の口から、甘く啼くような悲鳴が上がるのを快楽の底で聞いた。
快感に凌駕され仰け反る躯を強く抱きしめられ、より深く繋がったまま同時に精を放った。
2人で手を取り合って2人を隔てていたカテゴリーから零れ深海へとゆっくり落ちてゆく。
ほんの少しだけ、もう少しだけ、自分に正直に生きてみたい。心を開きたい。
自分の総てで、愛する人を受け止めたい。圭太のすべても見せて欲しい。
ベッドの片隅に陽だまりが残る。その春を思わせる明るい陽光の中に、まるで光を掬うかのように、しずかな寝息を立てる静の掌が伸びている。その掌に一回り大きな掌が重なり、握り締めた。もう一度、静の唇にキスを落とすと、携帯をOFFにし静の肩口に鼻を潜り込ませ圭太も眠りについた。
起きたら、先ず仕事を片付けよう。自分がこちらにいることで、今回は随分と所員に負担をかけてしまった。起きたら、アトリエに連絡を入れ仕事をこなし、静のために粥を作ろう。
静が起きるのを待って食事をしながらこれからの事を話をする。一番の難関である薫にどう説明するか・・?目を閉じたまま苦笑する。何があっても、この愛おしいぬくもりを手放す気はない。腕の中で疲れを滲ませながらも、幸せそうに眠る静の寝顔を眺めた。
静の寝息はまるで、波の音のようだ。
ふと、静の下を泳ぐ黒い魚影を思い出した。
圭太は、感慨深げに瞳を細めると、腕の中で息衝く穏やかな体温を強く抱きしめ自分も眠りについた。
←前話 エピローグ→
■深海魚 1 から読む
■静×圭太 関連<SS> ― 願い ―
■河村 圭太 関連作 翠滴 2
□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
最終話だったのですが、あまりに長すぎて、
後半に入れていたエピローグを、新たに31話として記事を移動しました(*^_^*)
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辛いこともあったけど、それを補って余りある幸福な時間の中を、これから二人が一緒に泳いでいくのかと思うと、私も幸せな気分になりました。
静さんも想いを重ね合った後は、すっかり『素直』になったようですね(笑)。
きっと周りから見たら、冷やかすのも馬鹿らしくなるくらいラブラブなんだろうなぁ。
私は影響されやすいので、紙魚さんのお話を読み始めた当初は「切ない話」を書きたくなり、少し進んだら「イタ切ない話」を書きたくなり、今は「ほっこりラブラブな話」を書きたくなってます。
罪なお人です、紙魚さんは~。
ゆっくり英気を養って、また素敵な作品を生み出してくださいませね。
それでは~。