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紙魚

Author:紙魚
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Category: 深海魚 (全31話 )

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深海魚 20
■20Rです。露骨な表現がありますので、二十歳以下の方は閲覧をご遠慮ください。

 精を放った躯は、もう次の熱い波に飲み込まれている。
薄い意識の中で、その波が自分を忘我の果てへと連れ去るのを感じた。
外的な要素だけではない。ドラッグは、恋慕う唯のひとへの、自分の手に負えないほどに育ってしまった歪で卑しい欲望を引き摺り出したに過ぎない。

 伊原の背に爪を立てた指先から、伊原に付けられた鬱血痕から。内外の淫靡な要因が絡まり合い溶け合い、何もかもを熱く波打つ情欲の膿となって隙間なく自分を包み、締め上げながら纏わり付いてくるのを感じた。

 どろりとした重く熱い膿は、朽ちかけの花から漂うあの濃厚で甘い腐臭を放ちながら、皮膚の毛穴から浸透し、触れた所から爛れる。苦しくて我慢し切れなくなり、開けた口から入り込んだ熱は臓腑をも爛れさせ、内側も穢れた躯をただの淫欲に塗(まみ)れた肉塊へと変えてゆく。

「シズカ、僕のものになれよ。河村君は、決して君のものにはならない。
僕は君を大切にする。今夜からは、この躯を僕だけを待ちわびる身体にしたい。いいだろう?」

 この身体が違うものになる。生まれ変わる?何に?自分ではない何かなら、なんでもいい。
 この言葉は不思議な引力を持って静を惹き付ける。
 
 圭太を想う事すら許されないのなら、もう何も要らないのかもしれない。
 あの神聖な場所で、穢れたこの手がシェイカーを振るのは、きっと自分が耐えられない。

 目隠しをされた頭が微かに頷いた。

 自分を苛む淫靡な波に翻弄され、頬や唇を血色に染め紅い唇の端からは、透明の唾液が零れ糸を引いてシーツに落ちてゆく。薬の特効でも構わなかった。小さく頷く静の従順な姿に、伊原の征服欲が満たされる。三本に増やした指を引き抜くと、静は切なげな甘い声を上げた。

 正気を失い淫らな傀儡と化した静に、伊原は満足げに嗤った。
 膝裏を掬い、躯を折り曲げ全てを曝すと静の吐息が興奮に荒くなる。

「随分と待たせたね、僕の可愛い人。僕も、もう限界だ。さあ、僕を『君』の中に入れてくれ」
 
 伊原は、苦痛を覚えるほど猛った自分自身を、進入を拒むこともなくなった静の秘所にあてがい一気に奥まで衝き入った。

 静の濡れた唇から嬌声が迸る。

 ポイントを狙いながら抽挿を繰り返す。絶頂を極めようと張り詰め大量に蜜を零し続ける静の性器を、完璧に磨かれた伊原の爪がなぞると、静は気も狂わんばかりに頭を振り、声にならない叫びを上げた。伊原の指を止めようと伸ばされた手を払い、更に激しく打ち付ける。絶頂を迎え躯中が硬直し反り返ったその時、伊原の力強い手指が今にも開放しようと熱く震える怒張の根元を握り締めた。
苦しげにヒクつく先端の亀裂から零れる蜜に白い濁りが混ざりだす。

「!!ぃ・・・ヤッ!、放し・・・・イヤァァーーッ」

 苦しい痛みを伴う快感に堪え切れなくなった躯が痙攣を始めた。
 空を掻く静の足の指が現状に堪え踏み止まろうと広がる。

「はっ・・・・凄く、気持ちイイ。想像していた以上だ。可愛い・・・シズカ」
「あぅっ、ハッ・・・ハ、ぁあ・・・ぅ」

 薄い皮膚の下で暴れる熱に神経が焼き切れ、逃げ場を求めて噴出した甘い匂いのする汗が、朱に染まった躯を滑らせる。眉根を寄せ苦悶に堪える額には、汗がまあるい水晶の粒となって噴出し、やがて形を崩して、こめかみを流れ落ちた。

「出したいなら、もう一度ちゃんと約束して。僕を愛するって、ほら」
「ア・・・ァ、タ・・・・・テ」

 喘ぎとなって洩れる声は言葉にはならなかったが、伊原は言葉を欲しがった。
「答えて、シズカ」
「・・スケ・・・・て、ケイ・・タさ・・・ん」

      助けて、圭太さん。

 荒い刃物で削り出したような伊原の野性味を帯びた顔が、嫉妬で紅黒く染まる。血走った双眸を吊り上げ、乱暴に静の目隠しを毟り取った。焦点の合わない鳶色の瞳が伊原を見ることはない。

「僕は誰だ!?僕を見ろ、セイッ!!」
 肩口を掴み乱暴に押さえつけると、静は声も発せず、窮まった躯を仰け反らせ乾いた絶頂を迎えた。
 潤んだ鳶色は宙を見詰め、眦から零れた滴がきめ細かい皮膚に線を描く。
 意識を閉ざし、放心した静を伊原は冷酷な表情で見下ろした。
 圭太への嫉妬が怨恨へと変わっていく。

「君を、河村には渡さないよ、静。君は僕の傍にいて、僕だけを待ちわびる僕の”オンナ”になるんだ」

 伊原は再びローションのボトルを手に取ると、箱の中に一緒に入れてあったカプセルを割りとろみのある液体の中に溶かし込んだ。静から自身を抜き、血液を滲ませながらひくつく後孔に直接注ぎ込む。

「うっ、く。あ、ぅ・・・・・ん」

 反応を見せなかった静がやがてゆるりと顎を仰け反らせ、朱に染めた瞼を震わせはじめた。
 息の上がった唇は掠れた喘ぎを洩らしながら唾液で妖しく濡れ、鳶色の瞳は欲情に蕩けきる。
 半開きの唇は口角が笑っているように上がり、淫蕩を零す隙間には真珠のような歯列が覗く。
 
 もうどこにも羞恥の色も、苦悶も怯えもない。

 暗い炎を宿した瞳で嗤う伊原は、静の両足首を掴むと脚を割り広げ、高々と持ち上げた。
「可愛いね、シズカ。まだまだこれからだ。思う存分、僕を味わうといい」




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深海魚 1 から読む

■静×圭太 関連<SS> ― 願い ―

■河村 圭太 関連作 翠滴 2


□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ

 みなさま、こんばんは(ペコリ
 週末にこんなスッキリしないものをUPして・・・・m(_ _)mペコペコペコ・・・

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テーマ : BL小説    ジャンル : 小説・文学

Comments

しーちゃんの
助けを求めるひと声が切ないですね(;つД`)

でも、鬼畜(というより鬼?)伊原氏…すげーと感動すら覚えてしまった柚子季です。
歪みまくった屈折した情ではあるけれど、伊原氏なりにしーちゃんを求めている感が伝わって来ます…。
やり方は間違え過ぎですが(´∀`;)

正気を取り戻した時のしーちゃんが、早く見たいような見るのが怖いような…。
狂っちゃいそうですよね、というより、病んでしまいそう…でもそこからが圭太の出番かしら?
う~~~続きが、続きが欲しいです~~!!
まだやっちゃうの?(でも・・読みたい←笑)
伊原さ~ん!!
もう、静を解放してあげて~!!(願)

あ~ん。
紙魚さまのエロス・・最高です!!
見習いたい・・・。
でも、私にはこんな素敵な文章は無理なので、読めるだけで幸せ!(うふふっ・・・)

この後、どうなっちゃうんだろ~ね・・。
静・・壊れちゃわない??
圭太~!
支えになってあげれるのかしら・・??
あ~ん。
次話を待ってる私が悶えそうです・・。(苦笑)
Re: しーちゃんの
 柚子季さま、いらっしゃいませ~♪

> 助けを求めるひと声が切ないですね(;つД`)
 熱い波に攫われようと、やはり根底にあるのは大好きな圭太なのです。
>
> でも、鬼畜(というより鬼?)伊原氏…すげーと感動すら覚えてしまった柚子季です。
 鬼畜・・・概念がわかると余計に難しくて書けませんね。
 そうそう鬼畜眼鏡、ネットで調べました♪品揃えの豊富さに驚いきました~!

> やり方は間違え過ぎですが(´∀`;)
 アプローチを完全に間違えてますよね。ウチはこの手のキャラが多い気がします
 やっぱ、書き手が病んでるんでしょうか(汗
 
> 狂っちゃいそうですよね、というより、病んでしまいそう…でもそこからが圭太の出番かしら?
 平静ではいられないですよね。吹っ切れて晴々と伊原と・・・・は、ありえないですね(笑)
 イタタRは終わって、次のイタタが・・・BLの萌えが無い・・・

> う~~~続きが、続きが欲しいです~~!!
 涙・ううっ、ありがとうございます!

 コメント&ご訪問、嬉しいです♪
壮絶ですね。
すごいなぁ、BLの萌えがないなんて、とんでもないです。
静さんの心情、伊原氏の鬼畜(?)っぷり、ここにいない圭太さんの心中とか、とにかく様々な要素が絡んだRシーン、萌えないはずはないと思います。
うまいコメントが見当たらず、ただただ展開されるイタ切ない世界に圧倒されております。
(どーしましょう、書けなくなりそう…)
Re: タイトルなし
 ミートン・メートンさま、こんばんは!

> まだやっちゃうの?(でも・・読みたい←笑)
 ホント?(笑)でも、もう書けません~~このシーンはこれで打ち止めにさせてください~
 後はみなさまの、脳内妄想にお任せということで・・・

> 見習いたい・・・。
> でも、私にはこんな素敵な文章は無理なので、読めるだけで幸せ!(うふふっ・・・)
 とんでもない!こんな拙文に、、ああ~~~
 ミートン・メートンさまは、とても素直で真っ直ぐ入ってくる素晴らしい文章を書かれるのに・・・
 とにかく、私はこれでこのブログの存在の機密度が、上がったことは確かみたいです(汗
 家人が来るたび仕事の画面に切り替えている、隠れてH本を読んでる高校生のような心境の
 情けない私です(苦笑)

> この後、どうなっちゃうんだろ~ね・・。
> 静・・壊れちゃわない??
 無事ではいられないと思います(llllllll)静の性格上平静でいるのは無理かと・・・
> 圭太~!
> 支えになってあげれるのかしら・・??
 ならなくても、もう圭太しかいませんので・・気張ってもらうしかないです。。。イケ、圭太!!
> 次話を待ってる私が悶えそうです・・。(苦笑)
 うう、ミートン・メートンさままで(号泣) ありがとうございます!

 コメント&ご訪問、感謝です!
Re: おつかれさまでした!!
 Kさま、こんばんは!

> もぉね、濃ゆいところガッツリ頂きました。
> 濃厚ですね。
 ハイ、疲れました(笑)途中で、自分が何書いてるのかわからなくなってました
 これはもう、腐神が舞い降りたとしか・・・
>
> 読み終わった後に肩が凝るってドウイウコトデスカ?
 ご近所でしたら、モミモミしに参上いたしましたのに~(笑)

> 伊原さん・・・ 鬼畜っていうより
> 愛情に追いつけない感じ・・・っていのかな?
> 心と体のバランスが取れない?
 手段を知らない人かと・・・今まで愛情に飢えたことがなくて自ら愛を獲得するということがなかった・・・という設定なんですけど。それなりに、チャーミングなキャラなのでその手の苦労を知らない、一種シアワセで不幸な奴かと・・・

> 今更、解放してあげてもシズカさん、
> もう普通には圭太さんの前に出られないよね・・・ え~~ん
 でも、圭太にしか救えないので、救ってもらわないと・・

 こんな、重イタタな記事にもかかわらず、コメント&ご訪問、ありがとうございます!!
Re: 壮絶ですね。
 ああ~紙森さまに読まれてしまった!!

 紙森さまのストイックに憧れつつ、ドンドン遠ざかっていく私です・・・苦っ!
もう、私の中ではエロ思考が完全に振り切った!←(?)って感じます。
エロの限界を更新、、自分の中にエロ書きの自覚が生まれてきました(苦笑)

> すごいなぁ、BLの萌えがないなんて、とんでもないです。
 ありますか?萌え・・・本当に、自分ではわからないですよね・・
 更新後、ちょっと読み返したら途中で脂汗が出てきて
 ビシッとブラウザを切ってしまいました(汗

> うまいコメントが見当たらず、ただただ展開されるイタ切ない世界に圧倒されております。
 ああ!引かないで~!!紙森さま!!!!

> (どーしましょう、書けなくなりそう…)
 私も、紙森さまの新作が読みたくてウズウズしています。
 でも、今読んだら絶対書けなくなる~
 後、数話で完結し来週中ごろには仕事も片付きますので終わったら
 自分へのご褒美に伺います!それまで、我慢できるか・・私!

 このようなイタタの記事にコメント&ご訪問ありがとうございます!
ひー
色んな反則技を使いつつ、余裕~な感じで自分の筋書き通りに事を運んでいたはずなのに..さすがの伊原氏も嫉妬に我を失ってしまいましたか。
この後、静さんはとことん沈んで行ってしまうのでしょうね..(┯_┯) ウルルルルル 
河村氏はどうやって静さんを救い出すのかな。早く白馬に乗って助けに来て欲しい!あ..そんなキャラじゃないですね(汗)

紙魚さまのどエロは健在ですよ!!!!(チカラ入り過ぎ( ̄▽ ̄;))更新の度に萌え死にそうです。つーか死んでる(笑)
良い子で続き待ってます♡
Re: ひー
 シマシマ猫さま、こんばんは。
 こちらは暖かい、というより暑いくらいの一日でした=3

> この後、静さんはとことん沈んで行ってしまうのでしょうね..(┯_┯) ウルルルルル 
 シーラカンスの為に、高い代価を払うことになってしまった静ですが、一番大切な想いもまでも失うことに。。。

> 河村氏はどうやって静さんを救い出すのかな。早く白馬に乗って助けに来て欲しい!あ..そんなキャラじゃないですね(汗)
 もともと、少女漫画の王子さまが抜け出して来たような人という設定でしたから・・・(どんなんや~笑)
 
> 紙魚さまのどエロは健在ですよ!!!!(チカラ入り過ぎ( ̄▽ ̄;))更新の度に萌え死にそうです。つーか死んでる(笑)
 (チカラ入り過ぎ♡シマ猫ちゃん(笑))書くからには徹底的に書こうと思った今回の記事ですが、冷静になってから読み直すとヘンな言い回しや誤字がやたら多くて、、テンパッて書いていたのが丸見え・・・またまた脂汗が噴出しました(笑)
読み手の方にちゃんと通じていたのだろうかと不安です(汗汗・・・

 どエロ、健在でしょうか?(笑・ヤタ!)伊原とのシーンなので、美しくあってはいけないと・・いつもより露骨な表現を増やしてみましたが、大丈夫だったでしょうか?エグくはなかったですか?

> 良い子で続き待ってます♡
 ありがとうございます!(泣~)次話からラストに向けて一気に行きたい(←希望)です。
 もう暫らく、お付き合いくださいネm(_ _)m

コメント&ご訪問、ありがとうございます!
紙魚さんの描く
人間たちはだれもみんな愚かしさと弱さがある。
そして失敗しつづける。
そういう人間を書くのが紙魚さんはほんとうに上手い。
この記事の愛が痛いというのなら、わたしは痛い静と伊原さんがとても好き。
失敗する愛、制御しそこなう愛、騙す愛、食い違う愛。
Re: 紙魚さんの描く
 7月さま、ようこそです♪あけましておめでとうございます!

 遅レス、本当に申し訳ないです。
お正月はゆっくり過ごされましたか?
現在、お年賀の追加出力をするフリで仕事部屋に篭っております(といっても、ドアも無いスカスカ&ツーツーの部屋です(笑)

> 人間たちはだれもみんな愚かしさと弱さがある。
> そして失敗しつづける。
 ・たぶん、自分もそのタイプだと自覚があるからそういう人が愛おしいんですね(苦笑

> そういう人間を書くのが紙魚さんはほんとうに上手い。
 ・今度は、そういう人の出てこないお話を書いてみたいと思っていましたのに、そう言って頂くとまたハマって書いてしまいそう(笑)

> この記事の愛が痛いというのなら、わたしは痛い静と伊原さんがとても好き。
> 失敗する愛、制御しそこなう愛、騙す愛、食い違う愛。
 ・激しい恋情を抑えることもせず静にぶつけようとする伊原と、伊原の起こす激流に流されてしまう静。愛なのか業なのか。。怪しいところですが、制御できない心というものに愛しさと萌えを感じる私です。
ええ、私が一番救いのない人かも知れません(たぶん、そう。

コメント&ご訪問、感謝です。
本年も、よろしくお願いいたします(ペコリ

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