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紙魚

Author:紙魚
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Category: 深海魚 (全31話 )

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深海魚 18
■18Rです。苦手な方は閲覧にご注意ください。

 いつも伊原の瞳を彩っている鼻につくほどのゆとりが姿を消す。代わって嫉妬に燃える仄暗い恋情の炎を認め、静は伊原の言う通り、自分が目の前の男を見誤っていたことに気が付いた。
 普段の軽く見える態度や、派手な恋愛遍歴に伊原という男は本気で誰かを愛することはない人間なのだと勝手に思っていた。客商売にありながら、伊原を表面でしか判断せず、知らぬうちに気持ちを踏みにじり続けていたという事実に、伊原に対する罪悪感が自分の中で育っていく。
ここに来て伊原の懊悩を見せつけられ、身勝手な自分が”翻弄した想い”に静は慄いた。

 瞠目した瞳で伊原を見詰め、自らを責め始めた静を観察しながら、伊原はそれとわからぬようほくそえんだ。そして静の表情を読みながら、巧みに伊原もその表情を変えてていく。
 
 伊原の目に静を責める断罪の色を認め、無意識にシーツの上で後ずさる。その肩を摑まれた。ベッドに強い力で押し付けられ、スプリングに沈められる。身動きが取れずもがいた躯を、うつ伏せに返された。
ローブの裾をめくられ、力強い腕に尻を突き出すかたちで持ち上げられ静は呻いた。

「やっ・・・・やめ、うっ!」
 あまりの屈辱的なポーズに、ショックで身を捩りながら起き上がった側頭部を伊原の掌が捕えた。乱暴にシーツに戻され強い衝撃に息がつまり、俯せたまま咳き込む。そのまま手指が静のローブを掴むと、息を整えようと忙しなく呼吸を繰り返す背中から一気に剥がし、最後の砦のようにしがみ付いて離そうとしない腕からも強引に引き抜いた。

 伊原の目の前に、サーフィンで鍛えられ引きしまった背中や尻が露になる。日焼けを受け付けない肌は、伊原の予想通りに白く、想像以上に伊原を虜にする。その背に掌を這わせ指の腹が背骨を辿ると息を詰めた全身が震えた。やがて染み1つ無い双丘に手が掛かり感蝕を楽しむように柔肌を愛撫した後、指先に力が篭り左右に割り広げられる。賛嘆する伊原の熱の篭った吐息が、自分ですらまともに見たことの無い秘部を掠め、羞恥に身を固くした。

「君は、こんなところまで清楚な成りをしているんだな」
 感心するような呆れるような口調で伊原が呟いた。
「み・・・ないで下さい、お願いです」
「なぜ? こんなに綺麗なのに。この可憐で小さな蕾が熟れて厭らしく綻び、僕を呑み込むところを見せてくれるんだろう?」
 固く目を閉じ、羞恥に顔を真っ赤にした静の顔を覗き込むと、伊原は口角を上げて嗤い耳朶に歯をたてた。生々しい歯の感触に、俯いた格好のまま静の躯が震える。
 
 滑らかな尻朶に食い込む指が更に割り広げ、後孔に感じたトロリとした液体が垂らされ、その不快さに静は息を呑んだ。液体はゆっくり肌を伝い、半ば勢いを失いかけた性器を伝って、シーツの上に細い線を描きながら滴り落ちていく。大きな掌が包み込み、ヌルリと滑る表面を濡れた淫猥な音を立てながら扱くと、静の性器は再び伊原の手の中で張り詰めた。先端の亀裂に親指が突き立てられ、ローションを擂りこまれる。静の爪が喰い込むほど握り締められた双の拳が、なにかに抵抗するように痙攣した。

 じわり、と嫌悪ではないものが自分の中に生まれた。そのことに静は酷く混乱した。
3年間躱し続けた伊原に堕されいる事実に、自分の中のどこかが興奮している。そしてその興奮に気付くことで、より一層、穢れていく自分を知った。

 曝された背後の窄まりに指の腹があてられると、静の躯はビクリとひとつ跳ね上がる。円を描くようにゆっくりと後孔を解し始め、突き破るように自分の中に侵入してくると、静は羞恥の声をあげ身を捩った。躯を引こうとするが、性器を弄り続けていた掌に陰嚢をきつく握られ、呻きながら上半身を撓らせてシーツに伏した。伊原の垂らしたローションは更に継ぎ足され、先端の亀裂からも、徐々に綻び始めた後孔からも浸透していく。液体のヌルつきは摩擦の痛みを軽減したが、増やされた指の異物感に静は顔を歪めた。

 不意に、静を苛んだ両の掌が静から離れた。
 背中や枕に伏せた横顔に、黙って観察するように静を見下ろす伊原の冷静な視線を感じる。
 もしかして許されたのだろうか。慄きながら確かめるように振向いた。
「あっ・・・・・ぅ!」
 直ぐ後ろに迫っていた淫欲が滾る瞳とぶつかった瞬間、躯の奥深くに焼け付く灼熱を感じ、息を呑んだ。

「感想は、どうだい?」
 喘ぎと共に吐き出す吐息まで、熱を孕みだす。
 伊原は静を仰向けの体勢に変えさせ、バスタオルを腰から外すと自分の猛り切った牡を静に見せつけた。優しいラインで切り抜かれた鳶色の瞳が恐怖に瞠るのを見届けると、ローションとカウパーにまみれた静の雄蕊と摺り合せる。同じ固さを持った劣情を掌で一緒に包み、大きさの違う2つの熱を捩じり絡めながら扱き上げていく。

 目を覆いたくなる光景と伊原の熱と摩り合わされる感触に、体内の熱は焔となって一気に燃え広がった。業火と化した炎は、躯とたった1つ守りたかった恋情を焼き尽くすしてゆく。
 気が付くと、静は自分のものとは思えぬ甲高い叫び声を聞いていた。




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深海魚 1 から読む

■静×圭太 関連<SS> ― 願い ―

■河村 圭太 関連作 翠滴 2


□□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
 
FC2が無事復旧、久々のR記事に頭が分裂しそうで~す。
 いつものことですが、文章は既に分裂しています。すみません~~
 

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Comments

着々と
しーちゃん堕とされてますね……。
伊原氏怖いよ~~(;つД`)
守り通してきた操がこんな男に…うう
全てが終わった後のしーちゃんがどうなるのかを思うと…先を読むのが怖いような。
でもそんな風にボロボロになるのってツボだったりするんですよねぇ(←酷っ!
そこから圭太がどう救い上げて行くのかが楽しみです。
今は辛いけど、乗り越えてー!
しーちゃぁ~~ん!!
辛いですね~。
辛いけど、読まずにはいられないほどに、文章に引き込まれてしまいます。
猛禽類を思わせる井原氏の描写と、なすすべもなく蹂躙されていこうとする静さんの魂の対比に息を呑みました。
これってやっぱり、静さんの負けになっちゃうのかしら。
こんなに辛い思いをしているのだから、せめて一番大切な気持ちを捧げる場所・シーラカンスは、静さんのものになって欲しいです~。
(ああ、私も、こんな風に読み手を前のめりにさせる、息を呑む展開を書きたいです)
Re: わぁ~~~
 Kさまこんばんは、いらっしゃいませ♪

> R指定でも綺麗ですねぇ・・・シミジミ・・・
 もうもう、そう言っていただくのが心苦しいくらいの記事です(泣
推敲しても推敲しても・・全然カタチにならなくて、破れかぶれ状態での更新です(汗
やっぱり、R記事書きにくいです。

> シズカさんの今後がちょっと心配ですが、
> 伊原さんとしては、いろんな意味で吹っ切れるのかな?
 静の性格上この後はいわずもがな・・・ですよね。。
伊原は、きっと吹っ切る気なんてはじめから無いですしねぇ~
う~~ん、不毛だ。

> この後の二人の立ち位置が気になりますっ!!
 こうやって成立した関係が良い位置にならないのは確かですよね。
伊原はどんなに静に揺れても、根本は変わらない気がします。

コメント&ご訪問感謝いたします。
お加減、だいぶ良くなられたみたいで良かったです。
Re: 着々と
 柚子季さま、こんばんは!

> しーちゃん堕とされてますね……。
 まさに、伊原の思うつぼ・・・伊原のR記事書いていると、なんですかだんだん自分が立派な(?)人非人になってきているような気になります。

> 伊原氏怖いよ~~(;つД`)
 こんなセリフを私に書かせる伊原が、私も恐いです~~(笑)

> 守り通してきた操がこんな男に…うう
> 全てが終わった後のしーちゃんがどうなるのかを思うと…先を読むのが怖いような。
 そりゃあもう、、どん底決定ですよね=3
静の性格からいくと、とても耐えられないと思うんですけれど、
大人の男を甘く見ていた静にも非はあるかもしれません。

> でもそんな風にボロボロになるのってツボだったりするんですよねぇ(←酷っ!
 おおっ、柚子季さまのツボを上手く踏めるだろうか???

> そこから圭太がどう救い上げて行くのかが楽しみです。
> 今は辛いけど、乗り越えてー!
> しーちゃぁ~~ん!!
 ありがとうございます!!あとは圭太に・・・って圭太に救えるんだろうか?
用意していたラストの記事に書き換えや書き足しが大幅に出そうな予感です(汗

コメント&ご訪問、感謝です!!
Re: 辛いですね~。
Re: 辛いですね~。
 紙森さま、こんばんは♪ようこそです。
折角、来ていただいたのに、こんなイタタR記事で申し訳ないです。

> 辛いけど、読まずにはいられないほどに、文章に引き込まれてしまいます。
 わ~~、、紙森さんからこんな言葉を頂くなんて、勿体無い~!

> 猛禽類を思わせる井原氏の描写と、なすすべもなく蹂躙されていこうとする静さんの魂の対比に息を呑みました。
 本当に、この2人は肉食と草食ほどの違いがありますよね。。
 捕食される静には逃げる術はなさそうです。

> これってやっぱり、静さんの負けになっちゃうのかしら。
 催淫剤入りのローションを使われて、伊原のルール違反だと思うんですが、伊原の気持ちを知って狼狽をした段階で、静の負けが始まっていたのだと思います。

> (ああ、私も、こんな風に読み手を前のめりにさせる、息を呑む展開を書きたいです)
 私は、一度読み出したら止まらなくなる、力強くて繊細な紙森さまの作品に大いに憧れます。
頭の中が常に整理されていない私には、あのような説得力と萌えが気持ちよく混在する文章は書けません~~3

コメント&ご訪問、ありがとうございます!
伊原氏恐るべし。
何もかも伊原氏の筋書き通りに進んで行くのですね..
あーほくそ笑んじゃってますよぉ~(( ̄Д ̄;) ワルだ。本当にワルだこのひと。
本気故に..ですか。
Re: 伊原氏恐るべし。
 シマシマ猫さま♪おはようございます(^O^)

> 何もかも伊原氏の筋書き通りに進んで行くのですね..
 う~~~っ、スミマセン~~ 読み手の方を不快にしてしまう伊原のイタタR記事
 書いていても、ゼンゼン楽しくない(涙)早くこのエリアを脱出したいのに、もたついている自分が歯がゆいです。。

> あーほくそ笑んじゃってますよぉ~(( ̄Д ̄;) ワルだ。本当にワルだこのひと。
 罪悪感を煽って、意のままに・・・って、最低や~~ん!
 ワルだけど・・・最低だけど憎みきれないのは、生みの母だから?え~~~っ!

> 本気故に..ですか。
 屈折してますよね。。私の書く話には、何故かこのテのキャラが多い気が・・・
 書き手の屈折を反映しているみたいで、ヤダな~~~(/// ;)

 こんな萌えも、明るい兆しも無い記事に、コメント&ご訪問、感謝です。
あと、2話でで終わる予定だったのが、また延びそうな予感・・・投石覚悟で続きを書きます。
し~ちゃ~~ん!!
ついにお初は奪われてしまうのね。
可哀想なんだけど、清らかなエロティシズムに悶えます(酷
痛々しいえちぃのはずだけど、透明感のあって美しい…。
初体験を最愛の人と、という夢は叶わなかったけど、しーちゃんが無垢であるからこそ「良いお兄さん」してた圭太も、これで何かを感じればいい。
伊原氏はしーちゃんの心までは堕とせないと思うし。

昨夜はご一緒できて楽しかったです!!
またお話しできると良いな(*/∇\*)キャ
とうとう、静の操が・・・。
あまりに辛そうな展開を予想して今回初めて、更新があってから丸一日読めませんでした。静がかわいそうで・・・。ううっ。

それにしても伊原氏の静への想いは結構深くて執着してるから、このあとやっぱりダメです、は絶対許しそうにないですよね。

純愛奪われてしまった挙句、好きな人への思いを胸に秘め忘れた振りしてほかの人に抱かれるのって、私的に泣きのツボなんです。弱いとこなんです。
どんどん深みにはまっていく静、壊れちゃいそうで切ないです。
今更なんですけど、静は、圭太にとっての『親友の弟』という特別席を賭けてでも、告白しなくちゃいけなかったと思う。無理だとあきらめてしまった罰だよこれは。

R指定の描写、ほんとにいつもながらきれいだなと私も思います。
Re: し~ちゃ~~ん!!
 りりさま、こんばんは♪

> ついにお初は奪われてしまうのね。
 すいません、すいません~せっかく、いらして頂いたのに、こんな内容で(泣
 このところ、鬼畜とは私のことなんじゃないかと思うことがあります。

> 可哀想なんだけど、清らかなエロティシズムに悶えます(酷
> 痛々しいえちぃのはずだけど、透明感のあって美しい…。
 悶えに透明感(////)、、やっぱり自分ではわからないものですね。
 りりさまのホメ文句に悶える、私です。

> 初体験を最愛の人と、という夢は叶わなかったけど、・・・
 圭太は、大事な人を傷付けられ、思い知ることになると思います。
 高いお勉強代を払うことになりそうです。

> 伊原氏はしーちゃんの心までは堕とせないと思うし。
 しーちゃんは圭太バカだから~♪

> 昨夜はご一緒できて楽しかったです!!
> またお話しできると良いな(*/∇\*)キャ
 こちらこそです!!ありがとうございました。
 後半ほとんど寝てた・・という体たらく。
 早打ちの技と「眠眠打破」の必要性を実感しました(笑)
 また、ぜひご一緒させてくださいませ!

 コメント&ご訪問、嬉しいです。
Re: タイトルなし
 甲斐さま、いらっしゃいませ♪

> とうとう、静の操が・・・。
> あまりに辛そうな展開を予想して今回初めて、更新があってから丸一日読めませんでした。静がかわいそうで・・・。ううっ。
 本当に、本当に、、こんな内容ですみません!!ウチのハンカチ係、周を向わせます!
 静たちをここまで思ってくださって、本当に嬉しくて感謝です(泣

> それにしても伊原氏の静への想いは結構深くて執着してるから、このあとやっぱりダメです、は絶対許しそうにないですよね。
 軽いノリの振りして近付いて、実はバリバリ執着しています。
 やっぱりナシ!なんてやっちゃうとただじゃ済まなさそうですね。。
 コワイから静も絶対、言えないとおもいます(゚д゚lll)

> 純愛奪われてしまった挙句、好きな人への思いを胸に秘め忘れた振りしてほかの人に抱かれるのって、私的に泣きのツボなんです。弱いとこなんです。
 おっ、甲斐さまのツボ踏んでしまいましたか!!ヤッタ~~!!←(私、やっぱSかしら~(笑)

> 今更なんですけど、静は、圭太にとっての『親友の弟』という特別席を賭けてでも、告白しなくちゃいけなかったと思う。無理だとあきらめてしまった罰だよこれは。
 私も、そう思います。静は、失うことを怖れるあまり自分の「想い」を殺してしまった。
 これは、想い人に対する裏切りでもあります。圭太にしても同じことです。
 やはり、2人は高いお勉強代を払うことになりそうです。
 でも、BLなので基本的にはパヒエ~♪

> R指定の描写、ほんとにいつもながらきれいだなと私も思います。
 毎度のことですが、自分の書いたR記事は怖くて読み返せません~(笑)ヘタレ~

 コメント&ご訪問、ありがとうございます!!

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