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紙魚

Author:紙魚
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Category: 翠滴 2 (全53話)

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翠滴 2  -エピローグ 1-   
←(50)                                          2→  

■■■18禁的要素が強い記事ですので、苦手な方はスルーで!
     

 
 また、花びらが風で流されて、躯の上に舞い落ちた。

 吹さらしの能舞台の床やらそこに敷かれた敷布、一糸纏わぬ享一と周の上にも桜の花びらが留まっている。

 周が、敷布を舞台に持ち込んだとき抗議をしたが、
 「この桜が奇跡的にまだ咲いているのを見た時、
 享一をこの桜の下で抱きたいと思いました。いけませんか?」と返された。

 これが、記者会見の場で気を吐き、大企業に戦いを挑んだ男と同じ男か、と思えるほど甘く拗ねた表情と声で尋ねてきた。享一が丁寧語を使う周に弱いと知っていてわざと使い、奇跡と言う単語を出され、ブリリアントグリーンの強請る瞳で見つめられると、もう断れる筈もない。

 結局、言いなりだ。3年前と同じで、やはり自分はこの男に弱い。

 「桜に見られているみたいで、恥ずかしい」
 再び小声で抗議すると、悦しそうに含み笑いを漏らして
 「恥ずかしがる”サクラ”を抱くのもまた一興、桜の精も喜ぶ」

 花曇の明るい午後、享一の躯のうえに舞い落ちた花びらを周の唇が啄ばんでいる。全身朱に染まった躯に薄紅の花びらが映えて、自分がどれだけ淫らに燃えているのかを教えられているようで、見ていられなくなり顔を背けた。

 「ああ、やっぱり享一は桜だな」
 祝言の時の”サクラ”という偽名は周がつけたものだ。
 「周の言う”桜”はこの桜の事なのか?」

 男の自分が花に喩えられるというのは、今更ながらに面映い気もする。
 見上げると、能舞台の屋根の下にも枝が張り出し、その花びらを散らしている。
 「そう、この桜。
 永邨のもので、俺の手元に残ったのはこの桜のあるこの屋敷だけだ」
 「大事な木なんだな」
 「そう・・大事だ・・・」

 その先は語らず、享一の躯に留まった花びらを一枚また一枚と唇でひらっては食していく。緩慢なその動きに焦れた躯が震えだした。微弱な快感を余すところなく感じ取ろうと、閉じかけた瞳に天井の木組みが飛び込んできた。
 薄暗い舞台の天井に、享一を悩ませ続けた夢を思い出す。熱い泥に塗れながら足袋をはいた白い足が暗い天井を背景に揺れていた。無意識に腕が周を手繰り寄せる。

 「ア・・マネ・・・」 「うん?」

 顔を上げた周の髪の毛からひらひらと花びらが落ちてきて享一の唇の横に落ちた。追いかけてきた周の唇が花びらを掴まえ、そのまま享一の唇へと運ぶと花びらと一緒に唇が落ちてきて重なった。
 周の舌に押し込まれた花びらを唾液と一緒に嚥下する。
 周の頭に手を回す腕には、あの熱く絡みつく赤い泥はなく、ただ穏やかな光の中、春の化身である桜の花びらがその皮膚の表面を撫でながら落ちてくる。花びらから目を離すと周が魅惑の瞳に優しさを滲ませ覗き込んでいる。

 「ここへ、帰ってこれて良かった?」
 「そうだな、でもこれからは享一のいる場所が俺の帰る場所だ」
 享一の喉がこそばゆそうに笑い声を立てる。
 「もう、本当に完敗だ。よくもそんな、恥ずかしい事をスラスラ口に出せるな」 
 押し殺しきれない笑い声を隙間から漏らす唇を親指の先で押さえられた。
 「だったらもう、おしゃべりはこれ位にしませんか・・・」

 言葉の意味と声のトーンに、一気に官能が刺激される。
 ここぞと言う時に効果的に丁寧語を口にする周を睨みつけた。
 「まったく、そんな罪な流し目を一体どこで覚えてきたのやら」
 溜息と共に呟かれ、応酬する。
 「流し目じゃなくて、睨んだんだって。周こそ、ここぞって時にその丁寧語を使うのは狡いぞ」
 「では、完敗の享一君。四つん這いになって」

 含んだような笑い声を上げながら言われた言葉に、享一は耳朶まで赤く染めた。
 その様子を見た周が嬉しそうな表情で訊いて来た。
 「ひょとして、初めて?」

 溜息が漏れた。口には出さないが周は河村に対抗心を燃やしている。子供っぽいと一蹴する事も出来るが、元凶は自分にある。仕方なくノロノロと言われた体勢をとると、今しがた中に放たれた周の精が腿を伝って流れ出し、ブルっと体が震えた。

 周にマーキングするようにその白濁した液体を腿や性器にすり付けられ、その行為に欲情が煽られる。尾てい骨の辺りに周の舌を感じ声が漏れる。腰にあてられた周の掌が熱い。その掌に力が篭ると一気に貫かれ、背中を撓らせながら喜悦の声をあげる。熱い掌がエレクトした享一を包むと羞恥と快感が綯交ぜになって躯が震え、貫かれるたび唾液と生理的な涙が睫を伝い、敷布に落ち新たな染みをつくった。

 喘ぎ、震えながも何とか快感をやり過ごそうとする享一の耳朶に周が背後から唇を寄せる。熱い吐息が耳朶を掠めると視界に霞がかかり、凡てが暗転した。

 享一、桜が見ている

<<← 前話2-1次話 →>>

 □□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
 

 <お詫び>
  昨日の更新分、春雷3の後半に加筆をしました。更新をしたものの、
 文章がどうも紙魚らしくない(しつこさが足りない?・・・苦笑~)と
 大幅に書き足してしまいました。ポッチしてくれた皆様、コメントをくださった方に
 本当に申し訳ないと、反省しております。
 残りのエピローグは慎重に書きたいので、書きあがり次第の更新に
 させていただきたいと思います。
 最近、かなり弛んでますね。本当にゴメンなさい!! m(_ _)m

                       2009/1/30      紙魚
 
 日ごろコメント・拍手・村ポチありがとうございます。
 読み手の皆さまからの、パワーを頂いております。
 本当に、感謝です~~。


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Comments

素敵です!
加筆分も拝読しました♪
益々素敵なお話になっていて、感嘆の溜息が(;´Д`)=3ほぅ

そしてこのエピローグ・・・・・なんて綺麗なのかしら~。
桜の花弁が舞う様が、瞼の裏に浮かんで来るようです。
そして能舞台に敷き詰められた敷き布・・・その上で絡み合う2人。
すごいです、情景がありありと!
さすが紙魚さまーー!!
あぁ~エチィなのにこんなに爽やかって素敵♪
春の風音が聞こえてくる気がします(*´∀`*)
とうとうエピローグですね。
桜、サクラ・・・・そうでしたか。
ここ数話は、本当に開く度にドキドキしながら読ませて頂いてます。
毎回どっぷり引き込まれ、綺麗な映画を観ているような気持ちになります。

紙魚さんの言葉は、本当に美しいですね。
再会してまた結ばれたときなんか、二人の幸せがジワジワと伝わってきて、貰い泣きしそうになりました。
あぁぁ~~~、それにしても周が素敵すぎるんですけど。(壊)



柚子季さま♪ ありがとうございます♪♪
>加筆分も拝読しました♪
 きゃあ~~~改めて読んでくださったんですか(T▽T)アリガトウ~ 
私的に、クドさがどうも足りんぞ~とガシガシ書き加えてしまいました(汗
素敵なコメを頂いてたのに、2度読みさせてしまいゴメンなさい~(泣
書き加えた事で河村のことも決着できて、ちょっとホッ=3としてます。

 そしてこちらの、えろページにも素敵なコメントを・・・(T▽T)アリーーッス
爽やかと言っていただけますか~四つん這い・・(←自分で言うな~~!
四つん這い(マタ・・・この単語だけで紙魚の脳内は振り切りました(゜Д゜;lll)
爽やかさでは柚子季さまとこの、高校生カプにはかないません
ぴちぴち度が違います~~~ポ~
柚子季さまのようなほんわかエチィ、いつか書けるようになりたいッス!!

 素敵コメント、ありがとうございましたヽ(^▽^ )ノ
ゆめねさま、こんばんは~♪(ペコリ
 はい! とうとう、というかやっと本当の最終です!
はじめは、1部と同じくらい40話かそれ以内で納まると思ってたんですが
気付くと、51話・・・よくも、これだけ引っ張ったなと我ながら呆れつつ・・
ここまで、書けたのも、ゆめねさまをはじめ 
読みに来てくださる方々のお陰です。本当に、本当に、ありがとうございます。

>開く度にドキドキ・・・
 ありがとうございます~もうもう、そう言って頂けて、紙魚は幸せもので
ございます。綺麗な映像がゆめねさまに伝わっていると思うと、
本当に嬉しいです。
貰い泣きしそうに??おお、すぐ周にハンカチ持って行かせますのでっ

 嬉しいコメント、ありがとうございます!!
ああっ
また熱がぶり返しそうです..もう周さんたらっ(。-_-。)ポッ
能舞台に敷布を持ってきたり、河村氏にヤキモチ焼いたり忙しいですが(かなり可愛い♡)享ちゃんに落ちた花弁を一枚一枚啄むくだりは..はふ~ん(///ω///)テレテレ♪
愛のあるエチはホントに心温まります。
勝手に幸せを分けていただいてます。ありがたや。
シマシマ猫さま!! とりあえずっ
 ひえピタを、どぞーーーー!!!  ピタッ  !!
お加減は如何ですか?少しはましになられましたか~??

周はもうもう、享ちゃんにアレやコレやで、やる事いっぱいでウキウキ状態っす。
やっと神前から解放された事ですし、当分好きにさせてあげましょう♪
ほんとうに、ここにきてやっと愛あるエチに辿り着くことが出来ました~
思えば、これまで切ないエチばっかり書いてきた気がするわ
苦節、2ヶ月・・・ウッ(涙)

よおし!シマ猫ちゃんの心を温めて風邪菌を追い出すぞ!!OH~
おい、そこの2人!!もっとガンバレ!!!・・・・エ?
余計、熱上がっちゃいますね☆

>勝手に幸せを分けていただいてます
どうぞ、どうぞ、ガンガン、シアワセもってって下さい!!

コメント、ありがとうございまっす!!風邪、早く直してくださいね~(*^o^*)
次の更新は、月曜になりそうな予感です。
素晴らしいです
はふぅ~。
ついにもうすぐ完結ですね。
桜の花が全ての花の中で一番好きなわたし、もう痺れました…。
美しいのに官能的で、本当に素敵です。四つん這い(そこじゃな…
濃厚なエロス、それでいて一幅の絵のよう、というのは紙魚さまならではの
世界だと思います。
舞台は和なんだけどモダンな気分があって、絢爛としている…。
あっっ!
書けなくなりそうな気がしてきたからまたへろへろと逃げます…凹

紙魚さまの世界心から愛してます~~~!!
りりさま~☆
 レスが遅くなってごめんなさいm(_ _)m
昨日からPCに触れない状態が続いていて、やっと今
PCを開きました。

 桜って、清楚なくせに絢爛で、妖しさもある不思議な花ですよね。
桜を愛でる感覚と言うのは、日本人特有のものだと思うと
つくづく、日本人に生まれてよかったと思います。。

>美しいのに官能的で・・・・四つん這い(そこじゃな…
 ↑(こんな切り方で、すいません(笑)  ↑ソコ重要~・・
 ふふふ、今回ひとつ開眼しました。
こうなったら、目指せえろ大将!!・・・・違いますね、違います!!!

りりさまにお褒めの言葉をたくさん頂いて、私ならではの世界と言っていただき
もうもう感激で・・・・(涙)大奮発でケーキセット、どうぞ!!ヽ(^▽^ )ノハイ
あと、一話がなかなか書けない~いつもの事ですが、ハマってます=3

コメント、ありがとうございます!! 無事、終わったら、ソッコウ伺いま~~す!!!
「アマネ」って名前の響きが甘い。

こんにちは、やっと読めました。長い長い
感動したのに、どうもうまく感想がかけなくって。(ごめんなさい)
ともかく、長い道のりを経て、享一君よかったね。やっとアマネさんと一緒になれて。
乗り越えてきた苦難のぶんだけ、嬉しいラブシーンでした。色っぽかったし。
私の苦手な周辺の描写(色が見える感じですね)がとってもお上手で羨ましかったです。

素敵なお話をありがとうございました。
Route M さま♪
 いらっしゃいませ。こんばんは。
わ~~っ、恐縮です。お忙しいのに、読んでいただいていたんですね。
ありがとうございますm(_ _)m

>長い長い
 (笑)~!ふふふ・・・すみません、長かったでしょ~?
お疲れ様です。途中、誤字と脱字と変換ミスの攻撃に遭われませんでしたか?
オメメは大丈夫でした?
Route M さまにも、ホットタオルとケーキセットv-274をご用意したい
気持ちでございます。

>苦手な周辺の描写(色が見える感じですね)がとってもお上手で
 コレで誤魔化してる・・っていう話も(笑)
逆に私はRoute M さまや他の方のようにのように、
人物の置かれた状況や、現実味のある心の動きや考えを明確に
表現することが苦手なので、周辺描写やイメージに頼ってしまうんです。
この辺がもっとしっかり書ければ、もう少し小説らしい体裁になると
思うんですけど・・難しい~

>素敵なお話をありがとうございました
こちらこそ、お読み頂きありがとうございました。
Route M さまに楽しんでいただけたみたいで、私も本当に嬉しいです。

コメント、ありがとうございます♪私も、またそちらにお邪魔しますね~。
ホットタオルは自分で用意しますんで、ケーキセット(コーヒーで)だけ、お願いします。(嬉)
誤字、脱字は気がつきませんでした。
気にしないで、私なんか、眞希3が終わったときに、一度全部推敲したらと言われたのに、放ってあります。それよりも先を書きたかったので。

また、お邪魔させてくださいね。
Route M さま♪
 おはようございます(ペコリ
>ケーキセット(コーヒーで)だけ、お願いします。(嬉)
 了解っ!!大サービス☆ケーキ2個でv-274v-274v-273ハイ、召し上がれ~ヽ(^▽^ )ノ アサカラ・・・ウプ。

>一度全部推敲したらと言われたのに、放ってあります
 おお、心強い!!(←オイ
先に、お話を進めたい気持ちわかります。。
特に、乗っている時なんか驀進するのみで振り返るゆとりなんて無いんですよね。
そういえば、後から手を入れます・・・と豪語しておきながら、
放置している記事もあったなあ・・(遠い目

 最近、整合性を取るために過去の記事の読み直しをすることが多かったんですが、
思わず、後ろにぶっ倒れそうになりました。
ほとんど、RPG状態・・・誤字と間抜けな間違いにぶつかる度、大破していました(笑)
”いつの日か”、ちゃんと推敲したいなぁ。
ランキングを離れた今がそのチャンスだとわかってはいるんですけど、ね~ハハハ・・・

レスレス、ありがとうございます♪またのお越しをお待ちしております♪♪

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