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紙魚

Author:紙魚
近畿に生息中。
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*お知らせ*
長らくみなさまから頂戴した拍手コメント・メールへのお返事は、別ブログの”もんもんもん”にてさせて頂いていましたが、2016年4月より各記事のコメント欄でお返事させて頂くことにしました。今まで”もんもんもん”をご訪問くださり、ありがとうございました。く



    
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Category: 翠滴 2 (全53話)

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翠滴 2 水底 2  (43)
←(42)                                      (44)→  

 「俺は、平気だ。・・・・だから、離せ」

 周は、享一の顔を感嘆の思いで見つめた。
 やがてその顔が、やられたとでも言いたげに破顔する。
 「まったく・・・困った人ですね」
 
 目の前の男を、どうして愛しいと思わずにはいられようか。
 自分が守らなければいけない、そう思っていた男は破格の成長を遂げた。愛する者をを守るためなら、身を投げ出す事など訳もないのだと告白し、真摯な瞳で真っ直ぐ自分を見つめてくる。薬でふらつきながらも、気丈に立っていられるのは愛する者を守るという使命感からなのだろうか。捕まえた手を離せば這ってでも神前の元に戻っていきそうな勢いだ。

 両頬を染め、荒い息をしながら潤んだ瞳で周を睨み上げている。
 2年前より更に綺麗になった。顎のラインも眼差しも大人のそれに成長して憂いを秘め、艶を滲ませる。澄んだ黒曜石の瞳は、離れていた時間が深めたその想いを率直に映している。

 艶やかな花弁の唇が言葉を継ごうと少し開いたが、感極まったのか戦慄いたまま何も出てこない。2年間も、享一と離れていられた事が信じられない。

 ふと、視線を感じ目線をずらすと、ロビー中の視線が集まっている。
 享一は背中を向けているから気付かないらしい、周は不敵な笑みでニヤリと笑うと、片手で享一を抱き寄せ顎を捕らえ、そのまま接吻けた。
 この男を。時見 享一を、誇りに思う。

 背後の外国人観光客の一団から、拍手と非難と野次が一体となったどよめきが上がる。享一は背後の不穏な気配に身体を捻るとそのまま固まった。
 「今すぐ、ヤりたいんですが」
 その耳に自分の今の気持ちをストレートに呟くと、享一はそのままぶっ倒れた。


 漂っていた。
 身体はふわふわと揺蕩う水底に沈み、不思議な浮遊感に四肢の感覚が失われていく。ただ、躯の芯に生まれた熱だけを感じ取っていた。
 体温を感じた。懐かしいようないつも隣にあったような。包まれて、しっくり収まって。柔らかい窪みに鼻を擦り寄せて花のような甘い香りを吸い込む。途端に躯の熱が溶け出して更に熱い泥の中へと堕ちてゆく。
 ああ…これはいつもの夢だ。意識の中で安堵の息をつく。

 生まれた熱はどんどん膨らんで、やがて爪の先にまで熱が篭る。
 その熱さに耐え切れず冷たい水を飲み込もうと唇を開けた。
 唇の隙間から甘い水が入り込んできて、その水を飲み干そうと貪った。


 周が、唇を離すと不満げに享一が薄く目蓋をあけた。
 少し眉根を寄せたその顔と目が合った途端、享一の顔にゆるりと笑みが広がる。
 その笑みの形に引かれた唇が言葉を紡ぐ。

 「淫夢だ、周。俺はとっくに狂っているんだ。毎夜、熱い泥に塗れて周と堕ちる夢を見る・・・・」

 薬の影響か、現実と幻覚の間を彷徨う指先は、周の輪郭を辿り唇へと到達する。
 神前の使う薬は完全に自己を失うような強い催淫剤ではない。陵辱に耐える表情や苦悶する様子を楽しむために、わざと軽めの薬を使用していた。だが、薬に対して免疫の弱いものには幻覚を誘う。

 享一が苦しげに顔を歪め、薄く開いた唇から熱い吐息をつく。下肢に自分と同じ昂ぶりを認め、愛おしさに拍車がかかる。自分を抑えることがどうにも難しい。
 唇に当てられたその指を軽く噛み、口腔に招き入れ指の根元まで舐めねぶった。

 「ア・・・ァ・・・」享一の唇から熱い吐息と一緒に喘ぎが漏れ、
 劣情が追い詰められる。
 「享一、俺と一緒に堕ちてくれるか?」
 「今日は、ちゃんと喋べってくれるんだな。ああ・・・この声だ。ずっと、聞きたかった」
 小さな笑い声をたて、笑みが濃くなる。その瞳が切なげに伏せられた。
 やがて震える睫が緩やかに開かれると、その下の黒曜石は甘い情欲を湛え濡れていた。
 
 「周、一緒に堕ちよう。周となら、どこまで堕ちてもいい」
 夢見るように蕩ける視線を向け微笑む。
 妖艶なその表情に薬が完全に切れるまでは、と誓った理性が脆くも砕け散る。
 項に顔を埋めると享一の頭が周に項を差し出すように仰け反った。背中に回った享一の腕に力が篭ると享一は静かに泣いた。

 享一と手を繋いで堕ちていく。そして、堕ちるところまで堕ちてしまえば、後は浮上するしか無い。この手を離さない限り、自分はどこへでも飛んでいける。
 全ての不可能を、可能にしてみせる。
 ふと、前日に会った自分の忌まわしい過去の顧客でもある男の言葉が甦った。

 

<<← 前話2-1次話 →>>

 □□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
 
 終われんのかな?・・終われんのかなあ~~?歩みがノロイ。。
 心配になってきた~(@_@;)
 コメント、拍手、村ポチありがとうございます!! 遅い筆(打ち込み)に気合が入ります!

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テーマ : BL小説    ジャンル : 小説・文学

Comments

ちっすだちっす♪
ギャラリーの前でちっす(///▽//)ぽっ
うんうん。
その手を二度と離さないでーー!!!
2人一緒なら、きっと大丈夫だよ、うん(ウルウル

>この手を離さない限り自分はどこへでも飛んでいける。全ての不可能を可能にしてみせる。

お互いにお互いの為に自分自身さえ投げ出せる2人だからこそ、この一文には説得力がありますよね。
後は幸せになるだけだ、うん。
神前には柚子季が河豚とトリ●ブト贈っておくからね♪うふ♪
ノロくて良いですよ~!
もう!!もう!!
トリ肌がゾワゾワ立ちました・・・。
素敵・・。
紙魚さま、独特の世界ですね・・・。

ふふふっ・・・。
この後は・・・もちろん・・・ぐふふっ・・・。
いえ・・すみません・・ちょっと興奮気味で・・・。
ああ、待っていましたよ~!!
では、では、明日に備えて・・・。むふっ・・。
ああっ・・二ヤける私をお許し下さい・・・。
お邪魔しました~!!
オーマイガッ
外人さんたちに混じって拍手喝采をおくりたい~(●´ω`●)ゞエヘヘ
こりゃ~享ちゃんもぶっ倒れますよ。(ついでに私も)周さんてホントに大胆不敵♡
享ちゃん、いつまでも夢だと思ってる場合じゃないですよ!!ま、それはそれでいいか( ̄ー ̄)ニヤリッ

なんだなんだ?ジイさんなんつった?
柚子季さま♪
 「ヒューヒュー!!」モンで・・・・冷やかしてやってくださいませ~~
この話、何のかんの言って、自己顕示欲の強い人達ばかりなんで・・・
もうもう、見せ付けちゃってます。
実は、このロビーの客の中に3部で登場するはずのあの人も
混ざってます。3部、、、いつになるんだろう・・(遠い目・・

>この一文には説得力がありますよね
 ありがとうございます!!
心の繋がる人がいる、帰る場所がある、だから強くなれる。。
周が、一番欲しがっていたものです。

でわ、柚子季さま、、河豚とトリカ●トをよろしくお願いします☆フフフ・・・

 コメント、ありがとうございます..._〆(゚▽゚*)

ミートン・メートン さま♪
 こんばんは~(ペコリ
いいですか~~!?ノロくて・・ありがとうございます!!
ここに来て迷う事ばかりで、打ち込みも迷いがち・・

>独特の世界ですね・・・。
 そう言って、ゾワゾワしてもらえるなんて・・・
紙魚は幸せモンでございます!!

 えーーと。。。この後の展開はデスネ
バラしていいのだろうか・・?明日は、じいさんとのランデヴーでございます。
周は、神前の息の根を止めるべく東奔西走の日々が始まります。
艶のある話でなくて、すみません~~~(ペコペコペコ・・・
もうもう、精進しますんで・・(ナニニ・・・?

 コメント、ありがとうございまっす!!!
シマシマ猫さま☆
 こんばんは~~☆
 明日はジイさんとランデヴーでござ~ます。。ホホ・・

周は、ロビー客の中に彼の人を見つけたかどうか・・?
とにもかくにも、マーキングする雄犬状態・・・アラ、下品だったワ~
享ちゃんは幸せそうなんで、ちょっと放置して(ニヤリ・・
明日はジイさんと周の会合の話を書きま~す。
明日は、相手老人でマジで萌えなし・・(゜Д゜;)
MLとして、どうだろうか・・・ううむ

因みにジイさんは、1部の祝言の時、享一に「この舞は羽衣だヨ~ン」と
教えた、ジイさんです。

 コメント、ありがとうございまっす☆
神前さんが
いい仕事(媚薬)をしてくれたおかげですね♪
享一がこれまで見てきた淫らな夢、という伏線がここでしっかり生かされたんですね。

でもあいかわらず周は享一にたいしてこういった言葉遣いをするのね。
まだすこし二重人格的なところを引きずっている感じでしょうか?

ところで鳴海はどうなった?(´・ω・`)
Re: 神前さんが
 7月さま、こちらにも♪

> いい仕事(媚薬)をしてくれたおかげですね♪
 ・そっか、周は、美味しいとこ取りですね♪
 享一はたった数週間の恋だったのにここまで夢見て尾を引くなんて、周はどんなけ強烈だったのでしょう(笑)

> でもあいかわらず周は享一にたいしてこういった言葉遣いをするのね。
> まだすこし二重人格的なところを引きずっている感じでしょうか?
 ・や、もう煽ってるとしか・・・もともとの原因がこの神前だったので大いに引きずってます。
やっぱり拉致監禁の件を書くべきか・・・・うーん
 
> ところで鳴海はどうなった?(´・ω・`)
 ・今頃、貴船あたりで丑の刻参りでもしているんじゃないでしょうか(笑)v

 連コメント、ありがとうございました♪

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