BL・MLに関心の無い方 18歳以下の方はご遠慮くださいませ。大人の方の自己責任においてのみの閲覧を お願いします。


プロフィール

紙魚

Author:紙魚
近畿に生息中。
拙い文章ですが、お読み頂けましたら嬉しいです。


紙魚は著作権の放棄をしておりません。当サイトの文章及びイラストの無断転写はご遠慮ください。
Copyright (C) 2008 Shimi All rights reserved

*お知らせ*
長らくみなさまから頂戴した拍手コメント・メールへのお返事は、別ブログの”もんもんもん”にてさせて頂いていましたが、2016年4月より各記事のコメント欄でお返事させて頂くことにしました。今まで”もんもんもん”をご訪問くださり、ありがとうございました。く



    
参加ランキング
FC2カウンター
*
検索フォーム
QRコード
QRコード
16

Category: 翠滴 2 (全53話)

Tags: ---

Comment: 8  Trackback: 0

翠滴 2 毒 5  (38)
←(37)                                      (39)→  

 「お久しぶりです。時見さん」
 「鳴海さん、どうしてここに・・?」

 鳴海がいるなら周がいてもおかしくない。享一の目が忙しなく、まだ薄暗い部屋の中を想い人を見つけようと彷徨った。徐々に鮮明になる記憶の中で、優雅に舞うように暴漢を沈める周と、赤いイメージが重なり、まさか・・・と鼓動が早くなる。
 
 「鳴海さん、あの、周は・・・周は無事なんですか?」
 
 「周は怪我も何もしていません、”無事”ですよ。
 あの程度の奴らなら周の相手にはなりません。
 ・・まあ、そもそも何を持って無事と言うか、疑問ではありますがね」

 「どういうことですか?」
 「あなたが中途半端な動きをしてくれたせいで、今頃、周は精根尽きるまで
 神前につき合わされているということです」

 享一は驚き、うろたえた。周を守るつもりで行ったのに、これでは周を窮地に追いやっただけという事ではないか。

 「そんな・・・俺がサクラをやったってバラしたからですか?」
 「笑止。そんなこと、神前はとっくに知っている事でしょう?」
 鳴海は低く乾いた笑い声を上げた。

 「知らないというのは、最強の防御なんですね。
 君は、周を好きだと言いながら、そうやって2年の間
 何も知らずにのほほんと暮らしてきた訳だ
 君を見ていると、想像力を欠いたその鈍さに虫唾が走りますね」
 
 鳴海と自分の間に横たわる静寂に鋭い亀裂が走った。
 「私は、2年前君が庄谷を後にした時、所詮 愛など造作ないものだと思いました
 だが、周はその取るに足らないつまらない愛の為に完全に神前に囚われてしまった」

 祝言の翌朝、享一はベッドの中で裸で抱き合う周と鳴海を見つけた。
 周を信じ、周を想うだけで震えるほどの恋をし、全てを捨てても構わないと覚悟を決めて告白をしようとしていた矢先だった。傷ついたのは自分だ。

 この2年間、その時のトラウマに自分はずっと苦しみ煩悶し続けたのだ。愛しているというのなら、どうしてこんな思いをさせるのか?周と、いま目の前にいる冷め切った怜悧な視線をよこして来る男に対して、今まで封印してきた、重く鉛色に濁りきった怒りが込上げてきた。花隈の話では、鳴海と周は付き合ってなどいないという事だった。

 では、なぜ・・・周は、自分を捨てたのか。
 
 「でも、あれは周とあなたにも責任はある。あなた達は共謀して俺を遠ざけた
 じゃないですか。何故です?
 それに、どうしてその事で周が神前に囚われる事になるんですか?」

 鳴海は、薄笑いを浮かべた。

 「・・・これを聞いたら、君はもう”知らない自分”には戻れません。
 それでも、聞きたいですか」

 享一は頷いた。部屋の中がさっきより少し明るさが増した。
 もう、何も知らないでいるのは御免だ。心は、周と共に真実を渇望している。
 鳴海は、眼鏡のブリッジを左手の中指で押し上げると、享一から視線を逸らさず感情を押し殺した声で話し始めた。

 「2年前、あの祝言の夜です。
 サクラを見た神前は周に新妻である君を要求してきた・・・
 番いで自分のものになれとね。
 周は、あの祝言を機に他の顧客と同じく神前を切り捨てるつもりだったんです。
 だが、逆に神前は君の身の保障をネタに周を強請ってきた
 芝居まで打って周が君を追いやったのは、純粋に君を守るためですよ。
 君を神前から守るには、周は君を諦め”完全に切る”しかなかったんです」

 衝撃だった。
 『知らないというのは、最強の防御・・・』
 頭の中で目の前の男が、無知は罪だと、享一に呆れながら低く笑っていた。


<<← 前話2-1次話 →>>

 □□最後までお読みいただき、ありがとうございます(*^_^*)ペコリ
 
 
  すみません!ご迷惑をおかけしましたっ!!! m(_ _)m 
 2日間お休みを頂いて、ようやくラストの形が見えてきました(泣
 更新していないにもかかわらず、ポチポチと応援ありがとうございます!!
 読んでくださるみなさまあっての、紙魚だなあといつも感じます。
 
 ラストが見えた、と言う割には後何話つづくか、はっきりわかりませんが(汗
 あと、10話くらいで終われそうな予感です。
 ・・・最後までお付き合いいただけますと幸いです。
 ありがとうございました。                                                      
                               紙魚


にほんブログ村 小説ブログ BL小説へ


テーマ : BL小説    ジャンル : 小説・文学

Comments

鳴海さ~ん
彼はもう・・・自分じゃどうしようもないくせに~~うぅ(涙
享一は遂に知ってしまいましたね。
どうするんだろう…鳴海さん、手貸してくれるのかしら?
その気もないなら姿を現す事もないですよね??
あぁ~~ん、神前が憎たらしい(>_<)
し、幸せにになれます・・よね??
ドキドキしつつ、続きお待ちしております!
柚子季さま。お疲れ様です(*^o^*)
 む、むうう~~ぅ
鳴海は、ピュアな柚子季さまご期待に
添える男ではないかも・・・です(汗汗
でも、周のことだけは、何かと考えてはいるので
そこを一応基本にして動いています。

 享一は、ようやく真実を知ることが出来ましたけど
鳴海の語る真実は、猛毒並み・・・もう一山波乱が・・

柚子季さま、大丈夫っすよん。BLの鉄則(そんなんあったけ~(^-^;))
最後はもちろん、ハピエざんすっ♪

 コメント、ありがとうございました♪♪
お帰りなさ~い!!
楽しみに、待ってましたよ♪
鳴海・・どう出るのかと思いきや、真実を語りましたね・・。
その後、鳴海が語る猛毒並みの真実・・・ああっ・・知りたい!!

真実を知ってしまった享一、自分が中途半端な動きをしてしまい、周を追いつめていると知った享一は、どう出ますかね・・。
想像が付かない世界に、もう胸がドキドキ鳴りっぱなしです!
最後はハピエ・・くすっ・・。
良かった!

ああ、もうすぐ完結ですかぁ~?
寂しいなぁ・・。
最後どうなるか凄く楽しみだけど、この翠滴の世界観も、好きだなぁ~。
でも、紙魚さまの書くものなら、次も期待しちゃいます!!
ああっ・・・決して催促ではありません・・。
もう、私は紙魚ワールドにドップリですから・・・うふふっ・・・。
また伺いま~す♪
ありがとうございます(泣
ただいま~~っ!
2日間お休みを頂いて、ちょっと落ち着きました。
お休みを頂く前は一杯一杯だったな・・と、改めて再認識しました。。

 鳴海は、新たな真実を語ると言うよりは、ちょっと追い詰めちゃったり
なんかして・・・すみません!説明不足でした。
愚か者路線、もう一発いきます。
あと、10話程度で完結です。モチ、ハピエ~~~♪BLの鉄則♪
翠滴は、もともと3部作だったのですが(3は瀬尾登場)
少しおいてからのスタートにしようかなと・・・
別のお話の構想も無いし、煩悩復活か・・・

ああ、なんにしても、まずこっちを完結させなきゃ。。。ですね。
無事、纏められるか、、胃が・・う~~

 コメント、ありがとうございます☆
やった!再開ですね♪
鳴海さんキツい..でも第1部の最終回で「周さんの演技を見破れないなんて..享一のバカバカ!」と地団駄踏んでいた私ですので、鳴海さんの言いたいことは分ります。とても。
でもでも、享一くんだって十分苦しんできましたよね(涙)鳴海さんから見たら超アマちゃんかもしれないけれど。

ミートン・メートンさま同様、終盤の展開を心待ちにしつつも完結が間近だと思うと寂しい気持ちを隠せませんが..このドキドキをもうしばらく味わわせていただける幸せを今は満喫したいと思います(●´ω`●)ゞエヘヘ
白状しますと、3部を妄想してすでにヨダレ出てます。だってだってつい最近、瀬尾くんのこと思い出してたんですよ!うそじゃないですって!(←必死過ぎ)「そういえば、享ちゃんの彼女寝取ったお友達って享ちゃんのこと♡だったはず..」と。

それにしても「番いで自分のものに」って..。神前氏の鬼畜ぶりはいっそ清々しい。ちょい萌え..(`□´)コラッ!
長々と失礼いたしました。最後に、とってつけたようですが..享ちゃん頑張れ!!
シマシマ猫さま、おはようございます!!
 鳴海からすると、享一はいろんな意味でイラつく存在・・
この先も機会ある度、ビシビシ苛めるんだろうな~(笑)
手を貸すには貸すけど、その方法がチョット・・・ね・・・
鳴海は、周さえ良ければそれで良し、、かといって、その周にも甘くない。。。
思えば複雑な人だわ・・・・ラブラブな恋でもすれば変わるかな。。

 おお、瀬尾っちを思い出していただけましたか。
フフフフフ、そうなんです彼なんです、3部の起爆剤は。
まだ、大まかでボヤ~~~ンとした形しか頭に無いので
とにかく、2部が完結してからかな、、と・・・

2部は享一の成長物語か?というくらい試練の雨嵐。。
最後のひと山、エベレスト級!行ってもらいましょ~~~!!
神前、清々しいですか?うーん、なんかもう突き抜けてますよね・・ 
清々しい、、そう言われると、私もそんな気がしてきた。。イイゾー!・・アレ?(笑)

 コメント、ありがとうございまっす!!
読んじゃった…!!
怖いよ神前怖いよ~~~(泣
神前憎!
あぁっ自分の書けないうちは読んじゃいけないと思ってたのについに読んでしまった…。
後10話ぐらいで完結ですか?!
こんな究極的な状況、ついに享たん周が自分を守ったのだと知ってしまいましたね。
どうなるの、どうなるの?!
まとめの時期って何かのつけを一気に払わされる感じと言うか、何とか形にしながら
完結しようとするので苦しいですよね!!
うちも一個もうすぐ終わるんですけどラスト決まってないんです(´▽`;)ヾ
あぁ~自戒を破ってしまったああ(←勝手に崩壊中
でも我慢できなかったんだもん!
周さま~~~~!!
(でもわたくしは鳴海萌えなんです実は。

ではでは~。無理せず頑張ってください~~!!
(笑) りりさま、いらっやいませ・・ははは
イヤイヤ・・・・神前は、りりさまとこの三嶽に比べれば
まだまだ、ぬるいワ。三嶽、、、マジ恐かった(泣
今頃、拘置所かしらん?

>何かのつけを一気に払わされる感じ

 そうなんですよね・・・お話の終盤ってなんか、こう
あれやこれやで、開けていた抽斗を片っ端から閉めていく感じ。
あちこちにばら蒔いた伏線を拾って、ひとつひとつに決着をつけて・・・
ああ、もう収拾つかないぜ~~~~って叫ぶの(笑)
これを形にして終わらせるって、もう力技しか・・
強制終了????( ̄○ ̄;)

りりさまのところのお話もラストですか?
エンドの決まってないラスト、、、うお~~っ。想像するだけでも
泥濘にハマって動けなくなりそう・・・胃がぁぁ・・
どれだろう~??最終話終わったら即効、向かいます。
で、湯治状態で長期滞在。。。ウシシ

りりさまは鳴海萌えですか?むむむぅ・・
今日も、キッツい言葉で享一を追い詰めて去っていきます。
鳴海萌え・・鳴海萌え・・・・シツコイ?(笑)

湯治で長期滞在・・・書こ~っと!

 コメント、ありがとうございます☆

Leave a Comment