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紙魚

Author:紙魚
近畿に生息中。
拙い文章ですが、お読み頂けましたら嬉しいです。


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*お知らせ*
長らくみなさまから頂戴した拍手コメント・メールへのお返事は、別ブログの”もんもんもん”にてさせて頂いていましたが、2016年4月より各記事のコメント欄でお返事させて頂くことにしました。今まで”もんもんもん”をご訪問くださり、ありがとうございました。く



    
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キャラ対話バトン☆
                   ■■■  キャラ対話バトン ■■■

 この度、敬愛する 『卯月屋文庫』 紙森けいさまより、
キャラ対話バトンなるものを回していただきました♪
紙森さま、ありがとうございま~~す!

初バトン、ドキドキです。では、スタート~!

 形式はですね・・・

   ■自キャラと対話しながら、答えるバトン。
   ■自キャラと、次にまわす相手のことをお話ください。
   ■指定は『切ないキャラさん、いらっしゃ~い』

 と言う事で、『切ないキャラさん』に来てもらおうと思ったんですけど、モノグサ作者のせいでやたらと作品数が少ない拙宅であります。心当たりの2人・・・・次の連載から、時見 享一 『翠滴』と、最近完結した、花隈 静 『深海魚』を引っ張ってきたんですが、どうにも心許ないということで、保護者同伴でもOKにさせて頂きました。では、お二人さん始めましょうか?

紙魚(以下→魚)今日はですね、『切ないキャラさん、いらっしゃ~い』(三枝風!)ということで、お二人さんに来ていただいたんですが・・・なんか、享ちゃん機嫌悪いなあ。

享:「どうして俺が、『切ないさん』 なんだ?一時、誰かさんの所為で、
  辛くて切ない状況に置かれただけで、もともと切ないキャラでもなんでもないよ、俺は。」

(魚)う~ん、ここのとこシアワセ☆ラヴラヴ生活が続いてるから、喉もと過ぎればなんとやら・・で忘れちゃったのかなぁ~。(この先、自分に降りかかる災難も知らずに・・・( ̄ー ̄;)フフフ)

享:「ムッ、その気持ち悪い笑い方は止してくれ。俺は、アンタからの仕打ちを忘れたわけじゃないし
  ・・・なんか思い出したら、余計気分が悪くなってきた。大体、大阪くんだりまで呼び出すなんて、
  普通、そっちから来るもんだろう!?悪いけど、帰らせてもらう!」

(魚)ダメーーーっ!!待って、享ちゃん!タダでさえキャラの数が少ないのに、享一に帰られちゃあ、対談になんないじゃない!静からも、なんか言って~!!

静;「えと、享一君が気が進まないなら、無理に付き合う必要はないと思うけど・・・
  でも、享一君がいてくれた方が心強いかな・・俺もね、この人には散々な目に合わされたし。」
享:「・・・それもそうですね。静さんとも久しぶりだし、静さんがそういうなら、付き合います。
  そういえば、静さん、鬚がなくなったら、なんか感じが違いますよね。
  若くなった・・・っていうか・・その・・」
静:「なに?享一君、言っとくけど、俺は周(あまね)君と同じ年だよ」
享・魚:「ああ、そうでしたよね、たしか・・ハハ」
    (↑↑圭太と並んだらショタっぽい・・とは、流石に言えない)

(魚)まま、お2人とも今日は保護者同伴可ということにしてたんだけど、2人だけ?

享:「周は心配して来たがったけど、俺は子供じゃないし、後で京都で落ち合う事にした」

(魚)ふう~ん。今日は京都でお泊りだな。。
まっ、周と河村圭太が会っちゃうとややこしいもんねえ、今夜が・・ププ。。(享一、ギロッ!)
ひ~~っ!下衆の勘繰りでした!ごめんなさいっ!!
えとえとえと・・・・じゃ、静は?

静:「あなたが適当に打診したせいで、兄貴と圭太さんのどちらか同行するか、
  今も外で揉めているんです。いい加減なことしないでほしかったな」
享・魚:((またか・・・))
静:「血を見ないうちに、早く戻りたいんですけど。夕方までには葉山に戻って店も開けたいし、
  早く本題に入ってください。」

(魚)えーと、そうね、お2人は『切ないキャラ』として指名を受けたわけですが、それについてなにか言いたい事あります?アレ、なんか外が騒がしいですね。

河村圭太(以下→圭):「シズカ、待たせたな。享一も呼ばれてたのか?
              月曜はホテル・エルミタージュの定例だから忘れるなよ。」
享:「わかってます。それより圭太さん、唇切れてますよ。」
静:「もしかして、兄貴がやったの?ごめんね、圭太さん。大丈夫?」
素早く立ち上がり、圭太の口元をハンカチで押さえる静。
花隈薫(以下→薫):「静っ!圭太から離れろっ。静は僕の弟なんだからここは、
             圭太の出る幕じゃないだろう!
             静、兄ちゃんの方がいっぱいやられてるんだから、もっと兄ちゃんの心配
             してよ!」

(魚)ほほう、お2人ともこれはまたカラフルなくらい顔が腫れ上がって、、随分と派手に遣り合いましたねぇ。
ご両方とも、大丈夫ですか?

圭:「より重症なのは、薫だけどな。フフフ・・・おいで、シズカ。」
静:「あ、圭太さん。」背後から抱きつかれ、真っ赤になって俯く。
薫:「圭太っ!!テメェ」
享・静・魚「・・・・・・・・」
圭:「(笑)オカマのメッキが剥がれてるぜ、薫。この通り、悪いがシズカの心は俺にある。
  お前は、兄貴らしくオレ達の事を見守ってればいいだろう?」
薫:「うるせぇ!!誰がテメェなんかに大事な弟をくれてなんかやるもんか!
  このコマシ野郎!!なんなら、テメェの欲望遍歴を、ここで暴露ってやろうか!?」
静:「兄キ!!」
享:「花隈さん、お久しぶりです。少し落ち着いてください。」
薫:「あらっ!!ヤダワ、サクラちゃんも来てたの?最近ご無沙汰じゃぁなあい?
  もう、こんなに髪を伸ばし放題でほっとくなんて、たまにはサロンに顔出しなさいよねえっ!」
全員:ガクッ

(魚)あのお、、お2人とも居てもらってもいいのでぇ、一応ここ、ホテルですし
静かにしておいて下さいね。

静:「すみません。兄キは俺のことになると・・・。一生懸命になってくれるのはいいんですけど
  つい、”地”が出てしまうみたいなんです」
圭:「シズカが、謝る事じゃない。薫が大人気ないだけだ。」
薫:「この、、言わせておけばっ!」

(魚)ささささ、、続けましょうね。何度も言うけど、今回は、『切ないさんいっらしゃ~い』なんですよ。相手を想って、どれだけ切なかったかを語ってもらいたかった訳なんです。あ、静ったら、もうオメメが潤んでる?

静:「どれだけなんて・・・語りつくせない・・。」
  じんわり見詰め合う静と圭太。その隣で歯軋りする薫。
享:「俺もその感じ、わかる気がするな」
静:「そうだね。周君を自分を犠牲にしてまで愛した享一君なら、わかってくれると思う
  俺ね、海の中で圭太さんを見た時、世界中が鮮やかに色着いたような気がしたんだ。
  ぱっと、目が覚める感じって言うのかな・・」
圭:「シズカ・・・俺もだ。俺もあの時、全く同じ事を感じた。ああ、心が震えてきた。」
静:「圭太さん・・俺も。」

享:「(苦笑)参ったな、俺も周を連れて来るべきだったかな・・。」(ボソ・・・
圭:「ふふん。享一、周は元気か?」
享:「元気ですよ、ホテル・エルミタージュの定例会に行く度、機嫌が悪くなってますけどね」
圭:「仕事なんだから仕方ないだろう?俺は大森建設の仕事も、享一のセンスも
  買ってるから当分は今のままだぞ」(ニヤリ

永邨周(以下→周):「断る!次から施工は他の会社にするか、享一はメンバーから外してもおう。」
享:「周!?どうしてここがわかったんだ?」
周:「内緒。」
圭:「おや・・、嫉妬はみっともないぞ、周。」
享:「周、そんな心配なら無用だって、"河村先生"には静さんがいるんだし。」
圭:「先生って呼ぶな、享一。 一気に老けた気がする。」
周:「圭太、お前こそ享一を呼び捨てにするな!オヤジにオヤジといって何が悪い?」
静:「周君、あの・・・・、それはちょっと・・・酷くない、かな?」
薫:「まあまあ、みんな落ち着いてよ」
全員:「・・・・・・・」(にらみ合い

(魚)あのお・・・対談忘れてません?周も来た事ですし、新連載も始まる事だし・・・えーとえーと
ここは一つ、享ちゃんの切ない話もお願いします。

享:「しつこい!俺は、切ないキャラじゃないって言ってるだろうが!!
  ・・・でも、周、好きだ。どうも、そこのボンクラ作者がまたよからぬ事を考えているみたいだけど、
  この先、何があっても、俺を信じていてほしい。」
周:「勿論だ。享一は、俺のたった一人の番の相手だからな(ニヤリ
  けど、気持ちがぶれないように、もっと信じさせてもらおうかな・・・享一・・♪」
享:「ちょ、ちょっと待てよ、周!みんなが見てる。(静さんなんか、真っ赤だし。)」
圭:「ふん。みなの前でマーキングしないと不安か?やはりお前はガキだな、周。」
周:(カチーン)「おまえみたいな間男がいるからな。やっぱり、気が治まらない、圭太、外に出ろ!」
薫:「僕も行くよ、圭太には話が残ってるしね。」
圭:「フフフ、お前ら揃って返り討ちにしてやるさ。」
周:「そのセリフ忘れるなよ。」(ニヤリ

     <185cmの大男ども3人、睨み合いながら、退場>

享:「・・・・。そろそろ、俺たちも帰りましょうか?」
静:「そうだね。今からなら、新幹線も間に合うし、いこうか享一君」

(魚)ええ!帰っちゃうの?

享・静:「はい。あの3人にもあなたにも付き合っていられませんから。では。」


 ううむ。。長い割には『切ない』が出て来ていないような・・・とにかくPTAがうるさかったです。
紙森さあ~~ん!こんなんで、ごめんよう~~!!(泣

享:「謝るなら、もっと考えてからやればいいのに。」
静:「GW遊び呆けていたから自業自得かな」



■次にまわす人

 う~~ん。ブログでの、おともだちが少ないので、
 やっていただけると、面白そうな方といいますと、
 ★ミートン・メートンさま★と★Route Mさま★にお回ししたいと思います。
 この記事に気が付いてくれるかな~~?
 お2人とも、お忙しい方々なので、もしこの記事に気付いて、もし気が向いたら、ぜひ!
 ということで!!

圭:「友達、少ないんのか。ふうん、普段のモノグサが祟ったな」

■指定

 『本当は、あなたってMでしょうキャラ』
 こんな、お題はいやよ!!ってことでしたら、(お気持ちはわかりますので)←オイ!
 拙宅と同じ『切ないキャラさん、いらっしゃ~い』でも、自作されても結構でーす。
 (・・と、勝手に変える私)

静:「他に無かったのかな・・・?発想が貧困な感じがします」


■その人のいいところは?

 小説を書くことが大好きなお2人です。
 キャラクターを虚飾することなく、等身大の人物像を表現しようとする姿勢に脱帽です。
 それぞれ、タイプの違うお2人ですが、お2人とも個性豊かな魅力ある作品を
 お書きになっています。

圭:「無いもの強請りってヤツだな」

■出会いは
 
 ビバ!ブログ村です。よそには、あまり出歩きませんので村の中しか出会いは無いんです。
 そういう意味では、バトンを回してくださった紙森さんは、とても嬉しい偶然の出会いでした。
 HNが起こした奇跡?←(笑)

薫:「何にでも奇跡ってつけるのはどうかと思うわよ。安易ねえ」

■その人は自分のことをどう思ってる?

 どう思ってくれてるんだろう~~?
 一回休んだら、なかなか浮上しないグウタラなヤツ?あ、そのままですね。
 「印象に無い」とかだったら、悲しいなあ。

周:「印象、薄そうだからな。俺のインパクトを分けてやりたいくらいだ」

■今後どうしていきたい?

 モチロン、末永いお付き合いを・・・

全員:「・・・・・・・(モノグサのクセに、図々しい)」

■一生の友?

 大阪のオバちゃんでよければ(笑)

全員:「正解だな、まさしく大阪のオバハンだ」

 ・・・・・。ま、、、いいでしょう。

 キャラ対談、いかがでしたでしょうか?
対談形式で、なかなか難しかったですけれど、自分のキャラと対談なんて滅多に出来ることではないですし、とても楽しかったです♪


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■■ 愛してるんだけどバトン ■■

 [ 愛してるんだけどバトン ]いただきました♪

  回してくださったのは、敬愛する 『 卯月屋文庫 』 の紙森けい さまです。
 緻密に練り上げられた繊細な文章、心理描写も情景表現も秀逸・・・
 何度も読み返したくなる素敵で大人な作品がたくさんの
 紙魚の大好きサイトさまでございます。

 
 では、[ 愛してるんだけどバトン ]・・・行ってみましょう!!

 ■ルール■

1.包み隠さず全て語ること
2.アンカー突っ走るのは禁止
3.指定するキャラは男の子であること
4.また回されても何回もやること
(2と4に関しては、今回、任意としますね)


■指定

永邨 周(ながむら あまね)= 『翠滴』 登場人物 
                   29歳 / 会社代表
                  フランス系カナダ人とのクオーター 
                  身長183cm 髪=黒 瞳=グリーン
                    

●初めて会った場所は?

  田舎の高速をドライブ中、ぼんやり過ぎ行く田んぼや古い屋敷を眺めていたら
 突然、落ちてきたので、運転をしている相方にはナイショでこっそり拾って
 撫で撫でしながらもって帰りました。
 家に帰って、テーブルの上で転がしつつ思いついたことを書き殴っておりましたら、
 人生初の”小説みたいなもの”ができました。
 

●どこに萌を感じる?

 えろ感情が高まると丁寧語になるところと、アクセルに足を乗せたら
 踏み込まずにはいられないスピード狂の悪ガキみたいなところ。(セルフギャップ萌(笑)
 あと、カラーコンタクトを外す瞬間かな。。
 ん~~、多いですね。自分が思ってる以上に、周を愛してるかも・・・


●M?orS?どっちでいてほしい?

  どちらかと問われると、Sでしょう。
 でも、享一の気持ちを引き出すためならちょっとくらい、Mになってもいいかな~なんて、
 たま~に心の奥底で思ってたりもします。
 

●どんな仕種が萌?

 キーボード、早打ち。(もち、Yシャツ着用必須で!
 ↑働く男の人なら誰がやっても、萌~な仕草かも(///▽。////)

●好きなところは?

 享一に一途なところ。
 嫉妬したり、盗聴器を放置したりするくせに、享一の人間性を認め
 とことん愛しているところ。

●嫌いなところは?

 美点も欠点も、自分が生んだキャラなので、
 至らぬ点は自分にあるかと・・・


●望んでることは?


 どんなことがあっても、享一を離さないでね、って言われるまでもないですね♪
 ・・・と、こんなことを言っておきながら、崖から突き落とす作者を許してください。


●もっとこの子とからんで欲しい人は?

 小声で・・・鳴海。・・・どんな風にって?
 それは、もう・・・・アレですよ、アレ。
 もうね、妄想ばかりが先行して筆が全然ついていかないの(泣


●この子を描くときに特に主張して描くところは?

 不遜で大人気ないところ。
 麗しすぎる、容姿(←書きすぎて言葉も尽きて、飽きているという話も・・・
 

●家族にするなら?

 兄弟はやだな、、喧嘩しても口で負けちゃう。
 自慢のお父さん??
 ん~~、自分より美しい親父って・・・なんか、イヤかも(笑)
 従兄弟くらいが丁度イイです。


●学ランとブレザーどっち着てほしい?

 学ラン!いいわ~~詰襟に、金ボタン・・・モールも素敵
 う~ん、妄想が・・・


●私服ではジャージとジーパンどっちでいてほしい?


 ジャージもいけそうだけど、やっぱGパンかなあ。


●結婚したい?

 周と?ありえん。
 「家族にするなら?」に同じく、自分より華があって美しいダンナって・・・絶対イヤです。
 見るには美形は大好きですけど、傍にいると緊張します。
 一緒に住むなら10人並みで十分なんです。


●最後に愛をどうぞ!

 必ず最後には愛が勝つ!・・・筈です。
 めげずに挫けずに、二人三脚で(?)享一の愛を勝ち取りましょうね。
 え?瀬尾を裏から操ってけしかけているのはお前だろう・・・って??
 正解ですね(笑)

 愛してるんだ「けど」可愛いんだ「けど」、苛めたくなるのが『BLの愛』なんだよ、周・・・


● 回したいヲタさんをどうぞ

 私の知っている数少ない書き手の皆さまは終えられた方が多いようですし、
 みなさまお忙しそうなので、任意とのお言葉に甘えて今回はここで止めさせていただきます。
 ごめんなさい。
 
  でもでも、もしこれを読まれた書き手の方で興味を持たれた方がいらっしゃいましたら、
 どうぞ遠慮なくお持ちくださいませ~~♪


        ■■■

        すいれん4
        学ランの周です。クリックすると少し大きくなります。
        もっと大きいのが見てみたいという方は、リンクのイラスト倉庫にお越しください。


  みなさま、如何でしたでしょうか?
 周への溢れる愛(偏愛?)を感じ取っていただけましたでしょうか(笑) 
  今回、自キャラについて、自分なりにも掘り下げてみますと見落としていた
 小さな発見もいくつかありました。
 紙森さま、楽しいバトンをありがとうございました。


  実は、以前頂いた「あなたが好きですバトン」・・まだお答えしていないんですね
 書き出したら言いたいことがあり過ぎて、私ならではのクドイ返答になってしまって
 もう少しスマートになるようスリム化を計ってからUPします。

 
                           紙魚

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ラヴァーズ 1 □20000HITキリ番リクエスト♪part 2□
 □20000HITキリバンリクエスト□にお応いたしまして、第2弾に行ってみたいと思います。 ストーリーは、『深海魚』のスピンオフ、河村 圭太×花隈 静のお話です。
では、どうぞ~♪



 「静君、おやすみ」
 「ありがとうございます。おやすみなさい」

 最後の客が店を出ると、花隈 静はカウンター越しにジンを傾けている人物に鳶色の瞳を向けて微笑んだ。
 相手も包み込むような温かい笑みを返し、胸の中がやわらかく満たされる。
 瞳だけを動かし、その隣に座る人物にもチラリと視線を配ると、今度は心配気にその表情をくもらせた。
 居心地の悪い沈黙に、静は密かに溜め息をつく。
 バー・シーラカンスは開店以来の最悪で険悪な張り詰めた時間を迎えようとしていた。

 目の前の2人、河村 圭太と花隈 薫はむっつりと黙り込んだまま同時にグラスを口に運んだ。あまりに2人の動作ののタイミングが合いすぎて、思わず吹き出しそうになるのを渾身の力でねじ伏せる。
 緊張が嵩じると些細な事にも笑いたくなるらしい。

 プレーヤーからCDを取り出しA・ジルベルトにチェンジした。
 薫が好きな古いアーティストで、素直で上手すぎない所がまたいいのだといっていた。
 確か、圭太のセカンドハウスにも薫から贈られた同じCDがあったはずだ。
 柔らかく、あたたか味のある女性ボーカルのまろやかな歌声が張り詰めた店内を滑るように流れる。哀愁を帯びたメロディに厚みのあるバリトンが重なった。

 「静(セイ)、悪いけどCDを止めてくれる?」
 密かに薫の心を懐柔しようとしたのがばれたのか、薫の顔にはその手には乗らないぞとばかりに強固な表情が浮かんでいる。昔から、いつもは優しい薫に叱られると、首根っこを押さえられしょげ返る子供の気分になった。
 音楽を止めると、代わって波の音が空かした窓から流れ込んでくる。
 風向きが変わったのか、潮騒とともに潮の香りも一段とはっきりしてシーラカンスを充たしていく。

 真っ直ぐに静を見、続いて隣でそ知らぬ風情で酒を飲む圭太を厳しい目で一瞥し、また静に視線が戻ってきた。
 自分とよく似た色の薄い瞳に、じっと見詰められ、息を呑んで判決を待つ。

 先日、仕事先のロンドンから帰国した薫より、土産を渡しがてらに週末に葉山を訪れたいと連絡があった。
 薫には、自分が圭太と付き合い始めたことを言っていなかった。
 週末は圭太と過ごす貴重な時間であることや、自分の住んでいたマンションを引き払い今は圭太のセカンドハウスに住んでいることを隠していた静は、薫からの連絡に内心狽え頭を抱えた。
 超のつくほど過保護な薫に、自分に男の恋人が出来たこと、よりによってその相手が薫の同級生で親友でもあった圭太だという事実は静の口を固くした。

 薫は自分がゲイであり波乱に飛んだ道を歩んできたにもかかわらず、溺愛する弟には常に保守的で、平凡で幸せな人生を歩むことを望んだ。
 学生時代はそんな薫が鬱陶しく、5歳離れた兄に反発したこともあったが、薫の自分に対する深い愛情もまた理解している。幼い頃に実母を亡くし、後妻に入った継母と馴染めずひとり孤立する自分をいつも抱き締めてくれたのも兄の薫だった。

 現在、継母を含め家族ともバランスのよい距離を保ち我ながら上手く付き合って行けているのは、全て薫がいてくれたからだ。
 家業の道場も腹違いの弟が継いでくれ、そのお陰で自分はこうして葉山で好きにバーテンをしていられる、それもありがたかった。
 だからこそ、その薫に嘘をつくのは自分の本望ではない。

 隠し事をする後ろめたさに口篭る静に、”静の保護者”を自負する薫はぷんぷん臭うきな臭さを嗅ぎ取って、静を問い詰めた。
 そして今、こうして3人が顔をつき合わせる事態に陥った。

 「はっきり言うけどね、僕はね、2人の交際には反対だよ」
 「兄キ!!」
 先陣を切って、明朗に2人の仲を認めないと告げた薫に静は情けない声を上げた。
 カウンターに肘を突き頭を支える圭太がちらりと切れ長の目を流す。
 「それは、シズカが決めることで薫が決めることではないだろう。
 お前がシズカを大切に思ってきた気持ちはよくわかるが、シズカはもう大人で、
 いつまでもお前の庇護下において置こうと思うのは、単にお前の我が儘だと
 俺は思う。薫、お前もいい加減子離れしろよ」
 薫の、いつもはクマのぬいぐるみのようにふくよかで柔和な顔が瞬時に凄みのある冷徹な顔に変貌する。高校時代のグレていた時期を彷彿させる物騒な雰囲気に、静はカウンターを挟んだこちらでひとりハラハラ気を揉んだ。

 二人が最後にこの店で鉢合わせた夜、その時圭太と付き合っていた時見 享一のことで言い争いの末、殴り合いに発展し、二人を店から追い出した経緯がある。
 三十路を超えたいい大人が取っ組み合いというのもどうかと思うが、二人とも腕に覚えがあるだけに一旦スイッチが入ると後が大変だ。

 「静の相手が男だったと言うのは百歩譲ったとして、相手がお前だというのは
 絶対、許せないって言ってんだ」
 いつものオネエ言葉は鳴りを潜め、薫が真剣で怒りの度合いが最高値に達していることが手に取るようにわかった。
 「お前みたいな多情男に、大事な弟を渡せるわけが無いだろうがっ」
 「お言葉だな、薫。じゃあ、俺には恋愛は無理で、シズカを幸せには
 出来ないと言いたい訳か?」
 圭太の纏った空気もピシッと音を立てて凍った。

 「あ、あの・・二人ともおかわりを・・・・」

 「シズカは黙っていてくれ」
 「静は黙ってて!」
 これは2人の問題だとばかりに同時に制され口を噤む。

 圭太と会うのは2週間ぶりだ。
 海外での仕事も多い圭太は先週末はロスにいて会えなかった。
 付き合いだして3ヶ月、圭太のセカンドハウスは広くて快適だが、圭太不在のひとりで過ごす夜は寂しくて無性に人肌が恋しくなる。
 波の音は圭太恋しさで火照った躰を慰めてはくれない。
 愛を知ってしまった自分は、もうあの自分を優しく包み込んでくれた深海に戻れないのだと悟った。

 2人が一緒にいられるのは金曜日の夜から月曜日の朝までの限られた時間だけ。
 切ない想いを胸に抱き、潤みそうになる瞳を上げると、自分を見つめる情熱と優しさに溢れた恋をする男の瞳とぶつかった。


 次話→


<関連作品>
『深海魚』1話から読む
『― 願 ―』
『翠滴2』 22話 シーラカンス

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ラヴァーズ 2
 絡まった視線の先で、圭太の目が静を安心させるように細まった。

 「俺はシズカを愛している」
 「ご大層な恋愛遍歴を持つお前の愛なんか、誰が信用できるか」
 「それは、『これは』と思える、運命を感じる相手と出会わなかったからだ。
 俺は相手のことを遊びだと思ったことは無いし、ひとつひとつの恋愛には
 いつも真剣だったつもりだ」
 
        恋愛にはいつも真剣だった。
 その誠実さが、圭太を信頼させ愛しく想うひとつの要素であっても、静の胸にツキリと針でつついたような痛みが走った。圭太はいつも偽りの無い、自分の言葉で話す。

 「圭太が静に飽きないという保障がどこにあるっていうんだ?
 お前の何を見て信じればいいと言うの?」
 薫の言葉に鳩尾辺りがドクンとひとつ脈打って、急激に脈拍が上がっていく。
 静が聞きたくないようなことを、わざとここで話すのは庇護者として静を慮ってのことだとはわかっていても、辛く苦しい気持ちになる。

 圭太の真珠のネックレスのように連なった数々の恋愛のいくつかを自分も知っている。
 思い起こせば圭太の過去の恋人たちは皆、一粒一粒が全く違った輝きを放つ真珠のように個性的で、際立った魅力と美しさを持った人物ばかりだった。平凡でシェーカーを振るしか能の無い自分とは全く違う華やかな世界の住人たち。
 突き詰め出すと目の前に黒煙が立ち込め、底の無い不安に襲われ、何もかも捨てて東京の圭太の元に飛んで行きそうになる。それではまるで、疑心暗鬼に陥った嫉妬深い古典の姫君みたいだ。
 そんなみっともない姿をさらせば、圭太は自分から去ってしまうに違いない。

 「シズカ」 はっきりと自分を呼び戻す声に、我に返る。
 声につられ、いつの間にか思案に耽り俯いた顔を上げると、さっきとは全く違った、静の心を推し量る厳しい圭太の目があった。
 針の痛みを感じた胸がザワザワとざわめき出して、磨いていたグラスが指から滑り落ちた。
 パリンと高く乾いた音を立て足元でクリスタルのグラスが砕け散る。

 「静!大丈夫?!怪我は?」
 「ごめん、俺は大丈夫だから、2人とも気にしないで座ってて」
 すぐにしゃがみ込んで一番大きな破片から摘んで広げたクロスに移していく。その手首を掴まれた。
 再び指先から離れた破片はキラりと光りながら落下し粉々に砕け散る。

 「また、勝手な勘違いをするなよ、シズカ」
 聞き覚えのある科白に胸がひとつ鳴り、振り向くと厳しい表情のままの圭太と目が合う。自分を軽く睨み断罪する切れ長の瞳にゾクリと躰の芯が震えた。
 見蕩れるほど完璧なラインを描く圭太の睫が近付いてきて静の口角に掠める程度で唇が重なり、瞬時に顔に血潮が上る。一瞬心の中で圭太を責め、狼狽える瞳をカウンターの向こう、自分のいる位置からは見えない薫に向けた。一部始終を観察していた圭太が掴んだ手首を引き静を立たせた。
 真赤に染め上げたその身を薫の前に曝した静は所在無げに小さくなる。
 ただでさえ最悪な機嫌が更に急降下する兄の顔がまともに見られない。
 
 「俺がやるから、シズカは退いていろ」 顎で薫の隣の席を指され、薫にもシートを引かれ、いたたまれない気持ちで薫の隣に坐った。
 見えなくとも、自分の赤面し狼狽した様子から、薫は今のキスを察しているに違いない。
 薫は苦味走った顔で、それでも静の手を取りひっくり返しながら怪我は無いかともう一度聞いてきた。兄の大きくて肉付きの良い温かな手が、その心を現すかのように柔らかく静の手をその掌中に収める。
 胸が温かい切なさで一杯になった。
 薫も静にとってはかけがえのない大切な兄であり家族なのだ。

 「静は、本当に圭太が好きなの?」 
 だから、偽りたくはない。
 家族の他のものには認めてもらえなくても、兄である薫には自分の愛する相手を、恋する心を認めて欲しい。
 そして、心から許して欲しい。

 「俺・・・俺はずっと圭太さんの事が好きだったんだ・・・」
 「ずっと・・・?いつから?」
 「圭太さんが一度目にアメリカ留学から帰国した時。俺は、19歳だった」
 手際よくガラスの破片を片付けた圭太も腕組をしカウンターの中で静の話を聞いている。いつもとは逆の位置にいるのが不思議な気がしたが、圭太は普段自分が舞台としているその空間としっくり馴染んで背景の大きなFIXガラスに映る店内とその背後を司る夜の海が劇的に似合った。
 少し癖のある頭髪や形よい縁取りからのぞく黒い瞳、鷹揚な態度で静かに話を聞き入る姿は闇の魔王のごとき品格を醸し、静は密かに更なる恋心を圭太に募らせる。

 圭太が帰国したとき圭太の隣にいたのは青蓮寺という男で、恋人だと教えられ、男とは付き合わないと思っていた圭太が同性の恋人を連れていたことで淡くまだ朧だった圭太への思慕は一気に恋心へと形を整えていった。

 静が丹念に言葉を選び、圭太に焦がれた年月を、幼馴染という近すぎた関係に囚われ苦しんだ日々を語るのを、2人は黙って聞いていた。時折浜を打ちつける波の音が静かな空間を波間へと誘っていた。

 こんな話をするのは、圭太にも初めてだ。
 言葉が見つからず、話が途切れ圭太と目が合うと静を見守る静かな瞳が先を促す。
 言葉の羅列は、静の圭太を想い続けた年月そのものだ。

 「そう、静の気持ちはよくわかった」
 話し終わって誰も言葉を発さず波間ゆらゆら漂うような沈黙の後、薫が口を開き立ち上がった。
 「圭太、圭太は静に本気なの?本当に愛してやってくれるの?
 もし、圭太が静を泣かせたら、いくら親友と呼べるお前でも僕は許さない。
 地獄の果てまでもついて行って、圭太の幸せの邪魔をするから
 そのつもりでいてよ。僕は蠍座だから執念深いよ」
 「薫、お前は乙女座だろう。地獄に幸せなんてあるとは思えんが、今回ばかりは
 俺も本気だ。俺もシズカと同じで、近すぎた関係にシズカの本当の姿がまるで
 見えていなかった。お前の弟だけれど、自分の弟のようにも思っていたからな」
 そう言って微笑みながら圭太はシズカに瞳をくれる。
 その目は、以前の年下の身内を甘やかすような慈愛の瞳ではなく、愛と独占欲で縛る甘やかな恋人の瞳だ。

 「シズカが渾身の思いで告白してくれなければ、こんなに愛しい存在が傍にいる事に
 気付かなかったと思う。今は、シズカが俺を想ってくれていた年月を無駄にして
 しまったことを後悔している」

 「サクラちゃんのことも含めて?」
 時見 享一。
 圭太が静と付き合う前、もっとも深く愛した男。
 蒼い痛みがその鋭い切っ先で、胸に薄い傷を引いてゆく。

 圭太は、ほんの少し逡巡し、「ああ」と頷いた。
 静は、目蓋をゆるく下ろし先程、薫に包まれた自分の手指を見詰めていた。
 その頬を涙が伝い薫の親指が優しく拭い取った。
 「帰るね、静」
 ぽつりと薫が言い、立ち上がった

 


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<関連作品>
深海魚 目次
『深海魚』1話から読む
『― 願 ―』
『翠滴2』 22話 シーラカンス


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ラヴァーズ 3
 「兄ちゃん」
 シーラカンスを出て歩く薫に口を衝いて出たのは子供の頃の兄の呼称だった。
 薄暗い街灯の灯るのアスファルトをひとりで帰って行く薫の後姿は心もとなげで、薫を裏切ったと思う心苦しさと、それを申し訳ないと思う気持ち、そして兄が自分から離れて行ってしまうのではないかと思う寂しさが渾然となって胸で膨張し離れてゆく後姿が滲んで見えた。

 静の呼び声に足を止め、ゆっくり振り返った薫に早足で近付いた。
 何を言えばいいのか判らなかったが、このまま別れるのは厭だった。
 振り返った薫の薄茶の瞳には諦観が浮かぶものの、表情は穏やかで怒らせてしまったと危惧していた静はひとまず安堵に胸を撫で下ろした。

 「今から東京に戻るの?」
 車で帰るのなら、先ほどまでバーボンを飲んでいた薫は飲酒運転になってしまうし、終電は既にない。
 「あの・・・俺、実はいま、圭太さんのセカンドハウスに住まわせてもらってて
 ゲストルームも空いてるから、その・・よければ・・・」
 圭太と自分の関係が行き着くところまで行ってしまったことを暴露するようで、我ながらの歯切れの悪さに困惑しつつも、薫をこのまま帰したくないという思いから申し出た。
 肩に優しい手を載せられ、俯き加減の顔を上げると、いつもの満月のような穏やかな温顔が微笑んでいる。 

 「ありがとう、でも普段離れてるあんたたちには週末は貴重な時間なんでしょう?
 僕はホテルを取ってあるから大丈夫。実は、安里(アサト)も一緒に来てて
 ホテルで待ってくれているし、僕のことは心配は要らないから」

 安里というのは薫の恋人だ。日仏ハーフの安里は兄の右腕として仏語の苦手な薫の通訳をしたり、薫が不在の時はサロンとモデルクラブを取り仕切ったりしていた。
 元は結構名前の通ったモデルだったらしいが、ロスのショーで薫と出会いそのまま東京に押しかけてきて、粘りがちで居付いてしまったという変り種だ。静にとって、羨望したくなるくらいの行動力と、呆きれるほどの押しと芯の強さを持つ人物でもある。
 薫に見合った優しい人だから、弟のカミングアウトを聞きに葉山まで出向く恋人を心配して付いて来てくれたのかもしれない。

 「本当はね、静の圭太に対する気持ちは前から知ってたよ」
 兄よりやや薄く黄色味の強い鳶色の瞳が大きくなり、薫はスンと小さく笑う。
 「そりゃ、お前のお兄ちゃんだもの。
 ただ、ずっと圭太は静の手には負えないだろうと思ってたんだ。でもね、
 今夜2人に会って、一度は静と圭太の本気を信じてみることにしたから。
 誰かを愛することで起こる総てのことは、良いことも悪いことも含めて、
 きっと静を、成長させてくれるよ。だから、恋愛には一生懸命になればいい」
 二十も半ばにしてやはり自分はこの5つ年上の兄に守られていると感じた。
 薫の懐の深さには敵わないと。

 「ただし、お前に対する厳戒態勢はまだ解いていないからな、圭太」
 言葉の終りは静の背後に向けて放たれた。
 驚いて振り向こうとすると後ろから抱き締められ、ふわりと圭太の纏うトワレの香りに包まれた。
 仄かに圭太の汗の匂いの混じった甘やかで奔放な香りは、初夏の夜気に紛れて鼻腔を刺激し、薫の前だというのにくらくらと眩暈を起させ静の血流を速めていく。
 「心配するな、また太るぞ、薫。お前の大事な弟だからこそ、俺もシズカを大切に
 思って見守ってきたし、一歩を踏み出す躊躇いもあった。
 この先、シズカは俺が責任を持って幸せにする」

 まるで、プロポーズみたいだ・・・・。
 静は圭太の腕の中で泣いていいのか、笑っていいのか、どんな表情をすればいいのかもわからない。熱くなった目尻を潤ませて、喜びを噛締めた。

 
 シーラカンスに戻って店を閉め、圭太と並んで帰路を歩き出す。
 夜半になって漸く上り始めた半月が冴えざえと輝き、アスファルトに二つの長い影を引く。
 潮風香る光の中をフワフワした気分で歩いた。着替えたTシャツから出た腕や首筋を、そよそよと潮の香が擽りスルリと解けていった。
 アスファルトの自分より長い影が、自分に向けて手を差し伸べ、圭太と手を繋いでセカンドハウスへの青白く光る月の道を歩く。
 繋いだ掌に圭太の体温を感じながら、薫に認めてもらえた安堵と胸から零れ落ちる幸福感に身を委ねた。
 こんな日が来るなんて夢のようだ。

 「薫は、どう足掻いても根本は男だな」
 何を思ったか、ポンと飛び出した圭太の言葉に笑ってしまった。
 「うん、兄キはカマっぽい言葉を使ったりするけど、本質的にはやっぱり男なんだと
 思う。安里さんとは一体どんなスタイル付き合ってるんだろうかって、時々不思議
 に思う」 
 「アサトって、アンリのこと?」
 安里は海外での仕事の時は、フランス人名のアンリを使う。十代で、モデルとしてデビューした安里は圭太の留学中、雑誌の表紙を飾らない月が無かったほどに売れていたと聞いた。

 「うん。安里さんってモデルやってただけあってスタイルもいいし容姿も麗しいけど、
 性格は凄い硬派で質実剛健って感じだし・・・・」
 「知りたい?」
 腕を引いてTシャツの背中を捕らえ鳶色の瞳を覗き込む。
 驚いた茶色の虹彩に月の光が差し込み柔らかく弾けている。
 「・・・・いい。」

 静は、圭太の腕の中でゆるく頭を左右に振った。
 その顎を捕まえ、「あっ」と驚きの形に開いた唇をそれまで抑えていた欲望のままに貪った。
 せっかくの二週間ぶりの逢瀬だというのに、薫のお陰で「ただいま」のキスすらまともに出来なかった。店やセカンドハウスに近い公道でのキスに、最初は抗っていた静も唇と舌を使った容赦ない攻めに、力の抜けた躰を支えようと圭太の肩に縋りつきながら夢中で応えてきた。
 圭太の舌を感じながら、緩く伏せた睫を震わせる静がたまらなく可愛く、そして愛しい。
 例え、薫が許さないと言っても、もとより自分に静と別れる気など無い。
 家族としてどうしてもダメだというなら、海外にでも攫って行き、2人で暮らすことも吝(やぶさ)かではないと思っていた。

 唇を離すと静は恥ずかしげに俯いた。鳶色の瞳が半分蕩けたまま泳いでいる。
 静には圭太を好きだと思う気持ちはあっても、ゲイの世界については通り一遍の知識しかなく、自分が溶けて無くなり相手と一つになってしまうような深い愛の交歓の仕方を静はまだ知らない。
 頭を逸らして月光に曝された首の後ろまで面白いほど朱に染まっている。
 腕の中で全身、羞恥に染まりきった恋人に圭太は緩く愉悦の満足げな微笑を浮かべた。
 静の知らない深い愉しみ方を教えていくのはまだ先でいい、これから長い時間をかけて愛していけばよい。

 「俺のいない間、どうしてた?」
 繋いだ手を引きながら静を見るとまだ目の周りに朱を差したままの静が、はにかんだ顔を向けてくる。
 「どうって、いつもと同じだけど?」
 「浮気とかはしてないよな?」目の端で笑って悪戯に流し目を送る。
 そんな・・・と言いかけた手中に収まるほっそりした指先が、間をおいて突然ピクリと反応し、次の瞬間、静の顔が蒼白に引き攣った。他愛のないじゃれ合いの戯言を口にしたつもりだった筈の圭太の顔がポカンと固まる。

 「あ、、あの圭太さん?ちょっと今、部屋が散らかってて・・・生ゴミも捨て忘れてる
 し、臭いし・・・、あ・・オレ、ちょっと先帰って片付けとくから、圭太さんゆっくり・・」
 静が繋いでいる手を離そうと引くと、反対に強く握られ引っ張られた。

 よろめいた躰を抱きとめた圭太が、醒めた眼つきで腕の中の静を見下ろしている。
 「あ・・・圭太さん?」
 訝しげに自分を見つめる切れ長の瞳、すっと通った鼻梁、きっちり引き結ばれた唇、端正だが淡く疑いの浮かんだ冷たい表情に背中が冷え切りゾクリと粟立つ。
 無表情だった瞳がはっと見開くと、いきなり静の手を離し踵を返して静から離れた。
 「圭太さんっ!?」

 静の切羽詰った呼び声に振り返ることなく、圭太はセカンドハウスの方向へと脱兎の如く駆けて行った。 




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深海魚 目次
『深海魚』1話から読む
『― 願 ―』
『翠滴2』 22話 シーラカンス

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